イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

小説「夢のミンチ」

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2004年1月から2005年3月にかけて書いた小説です。たくさんの短いシーンからできています。大阪を舞台にしていますが、登場人物たちそれぞれの幻想を投影した非現実世界を作り出すこと自体を目的にしているような作品です。
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デリバリー・サービス その2

 社長がいなくなると、沢村さんの奥さんは幸せそうに笑いながら立ち上がり、そばのティッシュペーパーを何枚かとって、股間から垂れてくる精液を拭きながら、
「瀬谷くん、お疲れさま」と言う。
 瀬谷は沢村さんの奥さんを茫然と見上げる。
「沢村さん、えらい災難でしたな」と沢村さんの奥さんは、部屋の隅で倒れたまま泣いている沢村さんに声をかけ、そばのデスクの上で泣いている赤ん坊を抱き上げてあやす。「わたしらみたいに汚れたもんは、ああいうことされるとちょっとうれしい気もしますけど、沢村さんみたいに真面目な人にはきついでしょうね?」
 沢村さんは奥さんを見つめたまま黙っている。
「でも奥さんが無事やったのが救いですよね」と沢村さんの奥さんが沢村さんに言う。
 ドアが開いて桜庭がカメラを持って入ってくる。
「瀬谷さん、お疲れ様です」と瀬谷に言う。
「なに? どないしたん?」と瀬谷が桜庭に言う。
「いや別に。デリバリー・サービスのお供です」と桜庭。
 沢村さんの奥さんは泣きやんだ赤ん坊をそばに置き、もうひとりの赤ん坊の世話をするように沢村さんの肛門からしみ出している多田社長の精液を拭いてやり、服を着せる。
「おたくはどちらさんで?」と赤ん坊のようになすがままの沢村さんは奥さんにきく。
「人間のパテです」と沢村さんの奥さんが笑いながら言う。「奥さんがおうちで心配してはりますさかい、まず電話してあげてください。それから車でお送りしますわ」

魔法陣

 まだミンチになりたての頃、赤巻教授はよく床に魔法陣を描いて、ぼくの領分と役割をわかりやすく説明してくれた。
「いいか、これがおまえらミンチの世界だ」と教授はぼくを魔法陣の真ん中に座らせて、円陣の外周を指さしながら言った。「糞まみれのおぞましい世界だ。おまえらはそれに気づきもせず、何か意味ありげに生きるふりをしている。とりあえず目標を設定してみたり、幸せになった自分を空想してみたりしながらな。わかるか?」

 わかるような気もしたし、わからないような気もしたが、とりあえず、
「わかります」と言ってみる。
 すると教授は、
「おまえみたいな糞ミンチにわかるわけないだろう」と叫んでぼくを殴った。

「わかりません」と言ってみたこともあるが、それでもやはり殴られた。
「どうしてわかろうもとしないで安易に『わかりません』なんて言うんだ」
 要するにぼくは糞まみれのミンチで、そのことを理解していないだけでなく、卑怯にも気づくことを避けているらしいのだった。

「いいか、おまえは自分の姿にうっとりしながら自分の糞を食らってる糞ミンチなんだ。そんなみじめったらしい生き方をしてるくせに、外の世界があることなど考えてもみない。ときどき自分がいやになってなんとかしたいともがいてみるが、できることといったら必死に身をかがめて自分の金玉をしゃぶることくらいだ。どうしてだかわかるか?」
「わかりません」
「おまえが糞ミンチだからだ!」

 そう叫ぶと教授はぼくを思いきり殴った。ぼくがよろけて魔法陣の外に転がり出ると、
「おれの許可なしに出るな!」と怒鳴られ、円陣の中に蹴り戻された。「いいか、外の世界はおまえみたいな糞ミンチに耐えられる世界じゃないんだ。そこには他人がいて、おまえとはまったく別の法則で生きている。おまえには見当もつかないようなことを考え、主張してくる。そんなことにおまえみたいな弱い糞ミンチが耐えられるか?」

「耐えられません」ととりあえず言ってみる。すると、
「糞ミンチのくせにどうしてわかる?」と怒鳴られ、殴られる。
「耐えられるように努力してみます」と言ってみたこともあるが、
「糞ミンチがやってもいないことを偉そうに宣言するな」と怒鳴られ、殴られた。

 教授は軽快なステップで何度も魔法陣の中と外を往復して見せた。
「いいか、よおく見ておけ。こういう芸当ができるのは世界に何人もいないぞ」と自慢した。「おまえはちょっと気の利いた言寄りを口走るからって、外の世界に出ていって託宣を持ち帰っているような気になっているかもしれないが、それはとんでもない勘違いだぞ。おまえは魔法陣の中に縮こまって夢を見てるだけなんだ。おまえの夢を意味のある仕事にできるのは、このおれがいるからなんだよ、わかったか!」
「わかりました」

 教授はちょっと怯えた表情を見せ、挑むように言う。
「それじゃひとつどれだけわかったか見せてもらおうか」
 闘牛士のように腕を背中と腹の前に置き、牛を挑発するように靴で床をドンと踏みならしてみせる。
「いいか、外の世界は恐いぞ。おまえの軟弱な性格でうかうか出ていったらぐさりとやられるのがオチだ。それでもいいと言うんなら、一歩外へ出てみろ、この糞ミンチ」

 ぼくは床に尻をつけたまま恐る恐るいざって円陣の外に出る。別に出たからといってどうということもない気がした。すると教授が、
「ほら、おれの言った通りだろ。おまえはなんにもわかってないんだ!」
と言い、ぼくを思いきり殴った。
 ぼくは泣きながら「すみません。もうしません。もうここから出ません」と謝った。

「あああああああああ」と奥さんは甲高い声をあげた。
「ちゃうちゃう、誰がそんな鳥みたいな声で鳴け言うた? 《海綿構造スチール》は社長の素晴らしいアイデアから生まれました、これを製品化するのが沢村の役目ですとはっきり言わんか、ぼけ」

「あああ……海綿構造スチールはああああ……社長のすばらしいいいいいい……あああああアイデアから生まれましたああああああ……これを製品化するのが沢村の役目ですうううううう……」
「その調子、その調子」と社長はすっかりいい気になって奥さんを後ろから突き続ける。「誰が一度でええ言うた? もっと気持を込めてくり返すんや。わしに心から屈服してるいうところを見せんと、いつまでたっても終わらへんで」

「あああ……海綿構造スチールはああああ……社長のすばらしいいいいいい……あああああアイデアから生まれましたああああああ……これを製品化するのが沢村の役目ですうううううう……」

 奥さんは社長にうながされて何度も同じ台詞を言わされ、いい加減疲れ果てて声がかすれてきたところでようやく社長がおおおおおおおおおおおおおおという雄叫びと共に射精し、奥さんは精液をたっぷり膣の中にぶちまけられ、床の上に倒れ込む。

「ああ、ええ気持や」と社長は勝ち誇ったように大声で言い、床に倒れている沢村夫妻を見下ろした。「ええか、おまえらはワシの飼い犬や。これからもワシの命令はなんでもきかなあかんで」 
「はい、わかりました」と奥さんが床の上で息を切らしながら答える。

「ワシが糞を食え言うたら糞を食うんや。死ね言うたら喜んで死ぬんや。わかったか?」
「はい。社長がうんこを食べろ言わはったらうんこを食べます。死ね言わはったら喜んで死にます」と奥さんが床の上で股間に指を入れ、社長の精液をかきだしながら答える。

「よう言うた。それでこそ社員の嫁や」
 そう言い放つとよろけながらうんこつきのブリーフをはき、ズボンをはき、裸足のまますたすたと研究室を出ていく。

「奥さん、見ましたか? 沢村は《海綿構造スチール》がわたしの発明で自分は下働きの雑魚にすぎないことを奥さんの前ではっきり認めました。そうですね?」
 奥さんは自分が何を確認されているのか飲み込めない様子で黙って沢村さんを見下ろしている。

「奥さん、沢村はたった今《海綿構造スチール》がほかならぬわたしの発明で自分は下働きの雑魚にすぎないということを奥さんの前ではっきり認めたやないですか。奥さんはそれを認めんのですか?」と社長が奥さんを難詰する。
 奥さんはおどおどした視線を社長に移し、
「あ、はい」とだけ言う。

「奥さんは認めるんですか、認めないんですか?」
 奥さんはしばらく社長の顔を意味もなく眺めてから、
「認めます」とつぶやく。

「そうですか。それでは今度は奥さんの番ですわ。奥さんにも《海綿構造スチール》がほかならぬわたしの発明で沢村は下働きの雑魚やいうことを承認してもらわないかん」
「今認めましたけど」

「いや、それは沢村が《海綿構造スチール》がわたしの発明で沢村は下働きにすぎんと認めたいうことを認めただけやないですか。今度は奥さんにも《海綿構造スチール》がほかならぬわたしの発明で沢村は下働きの雑魚にすぎんということをきちんと認めてもらわないかん」

 そう言いながら社長は大きなペニスを勃起させたまま奥さんの方に近づいていく。奥さんはすでに社長が何を要求しているか直感で理解しているが、それでも子供を抱いたままその場で固まっている。

「何をしてるんや! やっぱり沢村の嫁やな。アクションが遅い。さっさと子供をそこのテーブルに置いて服を脱がんか!」と社長は奥さんを叱りつける。

 奥さんはしかたなくそばのテーブルに赤ん坊をそっと置き、震えながら着ているものを脱ぐ。
下着を脱いだところで、社長がうれしそうに後ろから奥さんを抱きすくめる。

「ええ子や、ええ子や。さすが沢村の嫁だけあって、呑み込みは悪いけど飼い主に対しては従順やな」と言いながら社長は奥さんのおっぱいを乱暴に揉む。「さあ、今度はあんたの番やで。《海綿構造スチール》は社長のすばらしいアイデアから生まれました、これを製品化するのが沢村の役目ですとはっきり言うてもらおうやないか」

 奥さんはたぶん沢村さんと同じ生真面目な性格なのだろう。またしばし沈黙が続いてから、
「で、わたしに何を?」と社長にきく。

「証人になってやってください」
と社長は言いながら険しい顔で沢村さんに近づき、さっきと同じ体勢で後ろから覆い被さる。沢村さんはそのとき初めて社長に抵抗してもがいたが、大柄で筋肉質の社長にしっかり押さえ込まれていてまったく身動きがとれず、情けない顔で奥さんの顔を見上げる。奥さんも泣きそうな顔で沢村さんを見下ろしている。

「さあ沢村、奥さんの見てる前でさっき言うたことをもういっぺん言うてみ。《海綿構造スチール》は社長のすばらしいアイデアから生まれました、これを製品化するのがわたしの夢ですて大きい声で言うんや」

 社長の顔はさっき以上に嫌悪と疲労で赤黒く上気しているが、ペニスの方はいよいよ元気に固く勃起し、手を添えもしていないのにずぶずぶぬるぬると沢村さんの直腸に入り込んでいく。
「あああああああああああ」と沢村さんは呻く。

「あああやあらへんがな。《海綿構造スチール》は社長のすばらしいアイデアから生まれました、これを製品化するのがわたしの夢ですや。男やったら嫁はんの前ではっきり言うてみい」と社長の檄が飛ぶ。

「あああ……海綿構造スチールはああああ……社長のすばらしいいいいいい……あああああアイデアから生まれましたああああああ……これを製品化するのがわたしの夢ですうううううう……」 社長が激しく腰を動かすたびに沢村さんの頭は大きく揺れ、もれ出る声がだらしなく波を打つ。

「そやそや、ええ子や、よう言うた」
 社長の顔に初めて安堵と喜びの笑いが浮かんでくる。
「ワシは天才科学者で、おまえはただの使い走りにすぎんのや。そんな雑魚が身の程知らずなこと考えたらろくなことないで、わかったな?」
「はあああああ……いいいいい……わかりましたあああああ」

 社長は勝ち誇った顔で立ち上がり、沢村さんは敗北感にうちひしがれ、はあはあ息を切らしながら床に這いつくばる。


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