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半円のすり鉢状の客席の底に半円形のステージがあり、競売人がそのわきに立って競りを進行する。その奥に象が何頭か入りそうな高さ5メートルほどの大きな鉄製の檻があり、両手首、両足首を三十センチほどの鎖でつないだ拘束具をつけた全裸の奴隷たちが数人(多いときでも十人を越えることはない)、手首の鎖によってむき出しのコンクリートの壁につけられた金属の輪に固定されている。奴隷たちの首には競り番号と持ち主によってつけられた仮名を記した札が掛かっている。タキシードを着た競売人がマイクを持ち、番号順に奴隷を呼ぶと、刑務所の看守のようなグレーの作業服姿の男がもっともらしく大きな鍵で檻の扉を開けて中に入り、壁の鉄の輪から奴隷の鎖を外してステージに追い立てる。ステージには奴隷の所有者が待っていて、競売人の質問に答えながら、奴隷に施した調教の種類や奴隷の性格、特徴などを買い付け人にアピールしていく。長所を明らかにするために、調教のさわりを披露する持ち主も多い。奴隷の苦痛にゆがむ顔や羞恥の表情、思わず漏らす声などから奴隷としての魅力がわかるからだ。 |
小説「PELOTA」
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嘔吐事件が一気に恐怖の壁を崩し、お互いに打ち解けた恋愛関係をもたらしていたら、きっと《電子レンジでできる揚げたてフライドチキン》の開発もはるかにスムーズに進行していたに違いない。SUの方にはすべてをさらけ出す決意ができていたが、MJの方はまだ悪臭を放つうんこをSUの目の前で弱い直腸の中からぶちまけ、「ほらSU、僕だってこんなに汚いものを体から吐き出すんだ!」と言える勇気を持っていなかった。したがってSUの胃がレストラン嘔吐事件の後奇跡のように強くなり、二度と吐き気を催さなくなったのに対し、MJはその後もずっとひっきりなしにトイレに立って未消化のうんこをひりださなければならなかった。 |
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小麦粉のプロフェッショナルである彼女にとって、最初のうちMJの要求はそれほど難しいことではないように思われた。ところが彼女が改良した小麦粉は、いずれもそれまでのものより早い段階でチキンを爆発させてしまった。何かがおかしかったが、原因はわからなかった。彼女は失敗にショックを受け、焦った。それまでの彼女は失敗らしい失敗をしたことがなかったし、常に期待を上回る結果を出して周囲を驚かせ、そのことで自分のプライドを肥え太らせてきたのだ。 |
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MJは宇陀食品に入社するまで女のフェラチオでしか射精したことがなかったと語っている。膣の中で射精した女はSUが初めてだったと。少年時代からあまりに女を恐れて過ごしてきたために、彼は手足を拘束されない女の前で勃起することができなかったのだ。厳重に縛り上げ、股間に幾重にも縄を食い込ませた状態で、彼は初めてリラックスすることができた。 |
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SUは当時、エドガー・ハウザーが日曜大工で作った箱の中で暮らしていた。もう少し正確に言えば木製ベッドの中で。そのクイーンサイズのベッドは、マットレスの下が高さ50センチの薄い箱になっていて、錠前付きの横板をはずして出入りできるようになっている。板をはめれば中は真っ暗だ。トライアスロンのトレーニングと、エドガーの気まぐれな拷問のときを除いて彼女はずっとその高さ50センチ、長さ2メートル、幅2メートルの箱の中で暮らしていた。排泄は洗面器にした。(どうやってやるのか不思議かもしれないけど、慣れるとなんとかできるのよ。腹這いになって腰を浮かして、ふくらはぎで洗面器の位置を調節してね)食事は一日三回ウィノナが箱の中に入れた。平皿に盛った柔らかいケーキのようなものとスープ皿に入れたミルクといったメニューが多かった。それとビタミン剤。 |





