イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

フランス紀行2002

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2002年 6月16日

ありえたかもしれない

70年代に一夏をフランスで過ごしたとき、
日本に帰って1年間金をためてすぐにフランスに戻ろうと考えた。
しかし、2年たっても金はたまらなかった。
4年後にふたつ目の会社をやめたとき、
手元には二百万の金があったが、
有り金すべて持ってフランスに行き、
金がなくなるまで暮らす気はもうなくなっていた。
ちょうど今のMGくらいの歳だった。

ずっとあとになって、ふたりのパリ在住の日本人と知り合った。
彼らはフランスでただぶらぶらしたり、勉強したりしている日本人たちとちがい、
パリで働いている。
ひとりは日本の映画、テレビ、CMなどのロケの手配をするコーディネーター、
もうひとりは画家。
コーディネーターはフランス人と結婚して子供がいる。
ありえたかもしれない自分の人生。

「ねえ、自分の未来に不安はない?」とMGがきく。
「べつにないね」と答える。
「だって、これから歳とっていく一方なんだよ」
「もう今でも歳とったと感じてるからね」
「これから何かやりたいことはないの?」
「親より先に死ぬのは彼らが気の毒でいやだけど、そのあとは別にいつ死んでもいいよ」
「人生に悔いはない?」
「書きたいと思って書けなかったもののことが心残りだね」
「夢は作家になることなの?」
「作家にはなりたくないね。書くことと職業作家になるのは別のことだよ」
「ふーん」
30過ぎの女の子に、もうすぐ50歳になる男の心境を説明するのは難しい。
50過ぎの男に説明するのも難しいが。

フランス紀行105

2002年 6月16日 

MGいわく、イライラしているのは日本人だけだ

「たしかに仕事はきついし、もうやってられないと思うこともあるけどね、
今日もいきなりひとりで6種類のクリームを作らなきゃいけなくて、
道具をとりにいったら、朝一番だからまだ洗い場の人が来てなくて、
鍋はよごれたままで、
それをやっと洗ったかと思ったら、
ほかの人に持っていかれちゃって、
残っているのは小さなボウルだけで、
同じ量のクリームを作るのに、それだとすごく力と手間がかかるのね、
こんなのじゃできないよって言ったら、
いや、おまえならできるよって軽く言われちゃって……」
「そりゃ大変だ」

「ときどきなんで私はこんなとこにいるんだろうって思うこともあるよ、
いったい自分は何をしてるんだろうって、
8年間働いてためたお金をこの1年でほとんど使っちゃうんだよ、
それで日本に帰っても、別に何の資格もないし、
実績を積んだことにもならないの、
日本には日本のお菓子業界の仕組みがあって、
お菓子の作り方もちがうし、
フランスで勉強してきたことがかえって邪魔になることもあるの」
「そうか……」

「でも、ときどき彼らはすごいなって思うの、
職場はいつもすごく忙しいんだけど、
みんなどんなに仕事に追われていても、
鼻歌うたったりして、どこか余裕があるの、
ひとり日本人の女の人がいるんだけど、
その人とフランス人では仕事のしかたが全然ちがうの、
日本人はいつもイライラしてるの、
フランス人はたしかに私が失敗するとバカとかまぬけとか言うけど、
本気で怒ってるわけじゃないの。
今日も結婚式用に背の高いケーキを配達に行った若い子がそれを落としちゃって、
ぐちゃぐちゃになったのを持って帰ってきたんだけど、
現場のリーダーは『しょうがねえな』と言っただけ、
絶対パニックになったりしないの、
それを作り直して届けておしまい、
そういうのを見てると、
こういう職場で働くのも勉強になるなって思うの」
「なるほど」

フランス紀行104

2002年 6月16日 パリ

カフェ・ル・ロスタンで考えたこと

神輿(みこし)

社会は、政治は、文明は、数十万人、数百万人によってかつがれるみこしだ。
誰もがそれ触れていながら、
まるでそれ自体が独立した意志を持った生き物のように動く。
あるいはすべての人々の意志に逆らって。

そこに神の意志を見た昔の人はそれほど迷信家だったわけではない。
少なくともそこに集合的無意識を見る人ほどは。

フランス紀行103

2002年 6月16日 パリ

カフェ・ル・ロスタンで考えたこと

「SMの本質」について

「SMの本質は契約なんだよね」というOは、事実関係を裏側から見ている。
事実を表側から見れば、すべての契約がSMなのだ。
すべての法律、規則、契約、暗黙の了解が支配/服従であり、
間断ない征服/屈服こそ、人間社会すべての活動の基盤なのだ。
それは常に強いられ、同時に渇望される。

フランス紀行102

2002年 6月16日 パリ

ジョギングのあと、ホテルにもどってシャワーを浴び、
ノートパソコンを持ってふたたびリュクサンブール庭園へ。
サン・ミシェル大通り側の入り口の向かいにある
カフェ・ル・ロスタンで考え事をする。

旅に出ると四六時中考え事をする。
日常の決まり事から解放されて、
頭のほうが勝手に考え事をはじめるのだ。

目の前に6枚ドアのリムジンが停まり、
3人の太ったアジア人が降りてくる。
全員がメタルフレームのメガネ。
2人は紺色のジャケット。
うれしそうにロスタン広場の上空を指さしながら、
ひとしきり何か話したあと、
公園の中に消えていく。

金持ちのアジア人がパリで何をたくらんでいるんだろう?

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