イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

フランス紀行2002

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フランス紀行91

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2002年 6月15日

橋の向こう側は中世の街並みが残る小さな村だ。
川縁にはレストランやカフェ、画廊が並ぶ。
「夏になると観光客が押し寄せるんだ」とタンギー氏は嘆く。
僕も観光客なのだが。

タンギー氏は古い家の前で立ち止まっては、「この角度から写真を撮るといい」とアドバイスする。
彼自身世界中を歩き回り、写真を撮り続けている。
光線や構図についてそれなりに意見があるのだろう。

フランス紀行90

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2002年 6月15日

川べりに降りて、13世紀にできたという橋を渡る。
石の手すりはカルナックの巨石のように灰色の地衣類で覆われている。
撫でるとかすかに柔らかく、
かすかに湿っている。

川の水面は池のように静まりかえっている。
「あと1時間もすると、潮が引いて海の方へ流れ始めるよ」とタンギー氏。
潮の干満によって川上に流れたり、流れを止めたりする川。
川ではなく川のかたちをした入り江だ。
橋のそばには古い港がある。
今は観光客に土産物を売っている古い漁船が一隻、
あとは金持ちたちのヨットやクルーザーが少々。

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フランス紀行89

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2002年 6月15日

朝食後、タンギー氏とオーレイの町を散歩。
市庁舎の前で結婚式の参列者たちが集まっている。
その中にトリコロールのたすきをかけた市長がいる。

「彼はコミュニストだよ」とタンギー氏が言う。
「オーレイでは左翼はあまり強くないんだが、こないだの選挙で保守派が候補を2人立ててしまったので、票が分散して左翼が勝ってしまったんだ。彼はとてもいい男だけどね」

フランス紀行88

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2002年 6月15日

去年の暮れ、酒の席で「SMの本質は契約なんだよね」とOが言ったのを思い出す。
(これはフランスだよりを送ってくるなと言った方のO)
栃木訛りのSM談義。
泥棒について語るのに、泥棒をしてみる必要はないが、
所詮評論家は檻の外から猛獣を眺めることしかできない。
異常性欲者の欲望が、どんなふうに社会一般のシステムと深く結びついているか、
彼は決して理解しないだろう。
試しにSMを体験してみたところで無駄だ。
何千回まねごとをしてみたところで。

Oは若い頃、まともな文章をかきたくて、
ホモの有名作家のところを訪ねていったことがあると、いつか話していた。
いい文章を書くにはホモにならなければならないと思いこんでいたのだと。
まじめな男なのだ。
好んで檻に入ろうとするやつは、決して檻に入れない。
檻にぶち込まれるのは、檻から出ようともがくやつだけだ。
檻の中とは変態たちの世界ではない。
それは健常者たちが自分たちの汚辱を隔離するために構築したものだ。
彼らは自分たちのシステムが破綻していることを認めるのが恐いのかもしれない。

檻は様々なかたちをしている。
道徳ばかりでなく文学、哲学、その他いろいろ。
インテリたちは檻の中を眺めながら、
猛獣と変態について、とても詳しく語る。
彼らはシステムの破綻についてさえ、とても詳しく語る。
悪魔払いのように熱心に。

フランス紀行87

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2002年 6月15日

彼氏と別れたら結婚してくれる?

オーレイの船着き場を見下ろす山道をジョギング。
昔の馬鹿げた記憶が次々と蘇ってくる。
運動中にはよくあることだが、
腹立たしさがまるで現在進行中の出来事のように生々しいのはなぜだろう?

80年代の終わり、『ブルータス』の編集者だったO(このあいだ、このフランスだよりを送ってくるなと言ってきたOとは別人の)が、詩人のTを紹介してくれて(おかまでマゾヒストだとOは言っていたが、その作品はすばらしかった)、そのTが文芸雑誌の女性編集者を紹介してくれたことがある。
当時の僕の作品はやはり(今と同じという意味だ)異常性欲者たちがたくさん出てくるものばかりだったが、彼女はそれほど驚いたようにも見えなかった。すでに同性愛は欧米で市民権を獲得していたし、ソフトSMはちょっとしたブームになっていた(少なくともマスメディアの中では。すぐに「SMなんてもう古いよ」と言い出すやつが出てきたが。なんでも浅く撫でるだけのやつら)。

「悪くないと思うけど」と彼女はベッドの中で言った。「うちで活字にするのは難しいかも」
ほかにもいろんな話をしたような気がするが、忘れてしまった。
それから彼女はこうきいた。
「それよりあなたはどっちなの? S? M?」
答えの代わりに首を締めてやった。
彼女はとても興奮していた。はやりのソフトSM。
それが僕の答えだと思ったのだろう。
変態は決して異教徒に本当のことを言わない。
言っても無駄だからだ。
「ねえ、彼氏と別れたら結婚してくれる?」と彼女は言った。
そのとき彼女にはカメラマンの彼氏がいた。
「もちろん」と僕は言った。
もちろん、まっぴらだという意味だ。
半年後に彼女が電話をかけてきて、
「こっちは終わったわ。用意はいい?」と言ったとき、
僕は彼女のことをすっかり忘れていた。
「今、忙しいんだ」と僕は言った。


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