イージーライターのつぶやき

ちょっとマニアックな職業ライター兼アマチュア小説家が、作品と日常生活のつぶやきを紹介します。

メキシコ紀行1994

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5月27日(金)

ミトラ遺跡の土産物屋で店番をしていたお婆さん。
今にも死にそうに見えるくらい無気力で、話す声も紙がこすれるときのような、かすかなしわがれ声だった。
金属のように見える光沢のある小さな石をつなげたネックレスを買い、写真を撮らせてもらう。
老いた倦怠の奥から、太古の女性の色気が蘇ってくるのが見えた。
さすがは女性だ。

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二等バス(近郊を結ぶ定期バス。ガイドブックにはこう書いてあるが、別に同じエリアをまわる一等バスがあるわけではなく、一等バスは他の州の都市に行くための長距離バスのことだ)のターミナルで七面鳥を見かけた。

脚をひもで縛ってあるようだが、そんなことをしなくても逃げ出さないのではないかという気がするくらい大人しい。500年前、コルテスがメキシコを征服したとき、食用の鶏として飼われていたのは七面鳥で、鶏はいなかったらしい。鶏は元々南アジア原産で、食用というより闘鶏や観賞用に飼われていた。気性が荒くて家畜に適さなかったのだ。

その点七面鳥は大人しく、家畜に向いている。羊が大人しく、人類によって初めて家畜にされた動物だったように、七面鳥も大人しさが災いしたのだ。そのあと気性の荒い野豚が次第に品種改良されて家畜になったように、鶏も品種改良によって大人しく、繁殖力の強い家禽になっていった。

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ミトラ遺跡の特徴は生真面目さだ。装飾には北米インディアンからテオティワカン遺跡、マヤ文明の様々な遺跡などに見られる獅子舞的な化け物が欠けている。奇抜なピラミッド型神殿もない。直方体の建物にきめ細かな模様の繰り返し。見ていて少々退屈とも言えるが、民族的狂気を感じさせない分だけほっとさせられる。

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5月27日(金)

 晴れ。12:00→6:00。メキシコに来て初めて夜中に目を覚まさずに熟睡。下痢も止まった。
 7:20〜8:00公園へジョグ。シャワー、洗濯の後昨日のカフェでトマトとオニオン入りのメキシカンスクランブルエッグとホットミルクとグレープフルーツジュースの朝食。
 
 9:50二等バスのターミナルへ。ミトラ行きのバスに乗り、荒野を1時間ほど走って11:00ミトラ着。遺跡は小さい。土産物を買い、売り子の老婆や若者を写真に撮る。

5月26日(木)

 4:00バスでオアハカへ戻る。鈴江君と別れホテルに戻る途中で休憩したカフェで、アメリカに住んでいる日本人の女の子とルームメイトのアメリカ女(シアトル出身39歳。目がクリクリした、昔は可愛かっただろう顔立ち)に会い、あれこれ話す。日本人の女の子よりアメリカ女と話がはずんだ。世代が近いせいだろうか。彼女は70年代アメリカ西海岸の世相についてよく知っていた。LSDが芸術運動と結びついていた楽しい時代。話足りないので、一緒に夕食をということになった。

 部屋に戻ってシャワーと洗濯をすませ、7:00また同じカフェへ。日米ペアはなかなか現れない。広場では白いシャツを着たおびただしい男たちの群れが行進している。プラカードもシュプレヒコールもないが、どうも何かのデモらしい。オアハカ州の先住民たちは小作農として大地主に搾取され続けている。20世紀初頭の社会主義革命でもそれは変わらなかった。革命で土地は彼らに与えられたのだが、種や肥料や農機具を買う資金がなかった。大地主階級から高い金利で金を借り、大地主が無経営する会社から高い値段で種や肥料や農機具を買ったため、すぐに破産して、土地は大地主に取り上げられてしまった。そんなことが今日まで何度も繰り返されている。

 カフェのとなりのテーブルで本を読んでいた白人の美女と目が合い、話し始めた。ニューヨークの弁護士事務所で働いていたのだが、都会生活がいやになり、海外をあちこち転々としながら気ままに暮らしているという。70年代からタイムスリップしてきたような、ジョニ・ミッチェル風のロングヘアにジョーゼットのブラウスとロングスカート。声が高く澄んでいる。
「仕事はしてないの?」
「英会話の先生をしてるわ。世界中どこでも英会話教師の仕事はあるから食べていくのに困ったことはないわね」
「アメリカ人はいいね」
「日本に行ってみたいんだけど、いきなり行ってだいじょうぶかしら?」
「平気だよ。英語を教えれば」
 いつのまにか日米ペアが現れてシアトル女がジョニ・ミッチェルと話し始めてしまい、話題について行けなくなったので(そもそも彼女たちの英語が早口で聞き取れない)、こちらはしかたなく日本人同士で話す。そのうち鈴江君も現れ日本の話をしているうちに、いつのまにかジョニ・ミッチェルはとなりのテーブルからいなくなっていた。もっと図々しく食事に誘えばよかった。

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