魂磨きの修行中

人は魂を磨くために生まれて、そしてまた生まれ変わります。

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

完結編

この2年、王獣たちに、ひたすら訓練をくりかえすエリン。戦の道具にしたくない、という思いと、真実を知らなければならない、という思いが交差する。
はるか東方の隊商都市群の領有権をめぐって、激化していくラーザとの戦の中で、王獣たちを解き放ち、夫と息子と穏やかに暮したいと願う、エリン。

闘蛇と王獣が激突すると起る「災い」とはいったいなんだろうか?

「神々の山脈」の「残された人々」がエリンとセイミアに事の起りを知らせるべくカザルムにやってきた。入舎の試しに合格したジェシがエサルと共にその「災い」の話を聞いた。

ジェシは王獣の攻撃をやめさせるために、リランの子で身重のアルの背に乗りラザルを目指すが、
エリンは既にアマスルに。

味方の闘蛇軍とラーザの闘蛇軍が激突する。が、闘蛇同士が一定の距離が置き激突しない。

闘蛇の群れが奇妙な形にぐにゃりと変形していうように見えた。激突して噛み合うのではなく、
互いの体を避けるようにまわりながら、流れるように動いている。

闘蛇乗りたちが必死に角をつかんで操ろうとしているが、闘蛇たちは、敵に近付くや身を反らし、
あるいはひねって、互いに触れ合うのを避けている。
闘蛇たちが互いを避けながら走ろうとする動きと、なんとか相手に食いつかせようと必死に角をひねる闘蛇乗りの動きが

生み出してしまう渦が平野にいくつも広がっていた。
その渦のなかから弾き飛ばされ出てきた敵兵は向きを定め、一直線にアマスルの街に向かって走りはじめた。
とたん状況が一変した。みるみるうちに渦が崩れ、千頭もの敵の闘蛇が雪崩をうつように、一斉にアマスルの街に向かって走り始めた。

放つ矢は闘蛇乗りを捕らえるが、闘蛇の走りは止まらない。

エリンは王獣部隊と共に天幕を立つ、闘蛇の走りを止めるために。

リランが、ピーっと鋭い声をあげた。長く尾を引く、その甲高い音が響き渡ったとたん、最前列の闘蛇たちが次々に跳ね上がって、いっくりかえり始めた。
ラーザ兵たちは驚愕の声をあげる間もなく押しつぶされていく。

闘蛇軍に接触しても、なにも起きない

ちらっとそう思った時、他のすべての王獣たちが次々に舞い降りて、闘蛇に襲いかかり始めた。
王獣たちが千の闘蛇の上にちらばって、甲高い鳴き声をあげながら襲いかかったとき、多くの天敵に頭上をおおわえたラーザの闘蛇たちが、いっせいに恐慌に陥った。

薄滋水でゆがめられた体で繁殖を繰り返してきた闘蛇たちが、身をしぼって声なき悲鳴を吹きあげたのだ。
王獣たちの発した鳴き声と、その声なき悲鳴がぶつかった瞬間……それが始まった。

闘蛇の群れが突如変形した。互いの実を押し付け合うようにして、ぐんぐん押しあいながら走っていく。
闘蛇の群れはみるみるうちに右回転の渦を巻き、足もとから土煙りが巻き上げられはじめた。
その異常な恐怖と興奮によって分泌された体液が、互いに身体を押し付け合うたびに鱗のあいだから噴き上がり、土埃とともに巻き上げられて靄のように大気へと拡散しはじめた。

闘蛇乗りが硬直し瞬く間に死んでいく。毒の霧

そして、王獣にも奇妙な変化が起こっていた。
王獣の体がエビのように反り返り、耳、鼻、口からは血を噴き出し悲鳴をあげている。
それでも目に見えぬ紐にひっぱられているかのように、また闘蛇の群れに突っ込んでいく。

王獣は狂い闘蛇に襲い続ける。

薄滋水で何世代にも渡り人の手で繁殖されてきた闘蛇の体液は毒に変わる。
恐慌によってその代謝は増す。
排出された毒は土ぼこりと共に舞い、毒の霧を作る。
人も家畜も一瞬で死にいたる猛毒。

「そこから離れて」
エリンの声が届く王獣たちは天に逃げてゆくが、狂っている王獣にはそれは聞こえなかった。
血を噴き出しながら攻撃を続けている。

逃げていった王獣の一頭が戻ってきたのかと目を疑ったエリン。
ジェシが身重のアルの背で音なし笛を口にし飛んでくる。

アルに逃げろというエリン。アルは言うとおり引き返した。

「ジェシありがとう」この毒の連鎖を止められる唯一つの方法を悟った。

「リラン行こう、あなたの子どもたちのところへ」
急降下するリランの背で、思い切り笛を吹いた。

ついに連鎖は断ち切られた。

墜落していく王獣の背に見慣れた衣をイアルは見た。


……あと少し続く

探求編

あれから、11年後。エリンはジェシという8歳の息子を育てながらカザルム王獣保護場でリランたちの飼育を続けている。
真王・セィミヤと大公・シュナンの間には9歳の息子・ヨナンと5歳の娘・ユィミヤがおり三人目を懐妊中。

エリンの故郷の近くのトカラ村の「牙」が大量死し、大公・シュナンの命でエリンはその原因を調べに
シュナンの側近で元闘蛇乗りの武人・ヨハンに守られトカラ村に行く。
特滋水を与えられた雌の闘蛇が5年に一度の産卵期に無排卵性の卵を腹に詰まらせ死ぬという原因を突き止めるも最初の闘蛇村・ウハン村で東の敵国・ラーザに買収された警備兵らに襲われ、エリンもヨハンも深手を負う。
エリンは亡きソヨンが吹いた指笛を吹き、野生の闘蛇にヨハンと乗って難を逃れウハン村を下り、アマスルに。

ヨハンはアマスル伯で大公・シュナンの近親でもあり、闘蛇を操れるトミガリョ(緑の目の民)の子孫でもあり、曾祖父はサイガムルの創始者だった。
ヨハンが護衛として同行したのはエリンを暗殺から守るためだった。エリンとヨハンは同根の民であり、互いに知ることを話す。
ラーザに買収された警備兵らを捕まえ、8年前に闘蛇衆が捉えられラーザに送られていたことを知る。
ラーザはその間に闘蛇部隊をつくっていた。

王獣を操れるエリンはサイガムルからは命を狙われなくなったが、敵国・ラーザが狙っている。

ヨハンはエリンを王宮に同行し保護した。その頃、敵国・ラーザに買収された者たちが今は指物師のイアルを人質にしようと襲ったが、逆に「神速のイアル」に捕らえられ、持っていたラーザのラジウム金貨からその意図が判明。イアルは息子・ジェシを連れてエリンを捜しにでる。

エリンはトカラ村で父の従妹から渡された母ソヨンの形見の日記の切れ端を受け取る。そこには、アフォン・ノア「神々の山脈」のカレンタ・ロウ「残された人々」がいる地に行きたいと書かれていた。

エリンは「神々の山脈」の向こうで起きた事実を知るため旅にでる。が、8歳のジェシを連れて敵国・ラーザが狙っている中を「神々の山脈」の「残された人々」の所に辿り着ける可能性があまりにも少ないことを考えるとそこへは行かず王宮へと戻る。

エリンは真王・セィミヤの命で王獣部隊を作ることに。そして奏者の技をセィミヤに伝えることに。
そして、イアルは堅き盾(セ・ザン)と闘蛇乗りとの架け橋になるべく闘蛇乗りに志願する。

王獣編

王獣保護場で傷ついた王獣の仔・リランに出会ったエリンは、リランを救いたい一心で献身的に治療にあたる。人には決して慣れぬとされていた王獣、リランと心を通わせる。

四年の月日が流れたある日森の中で、エリンは霧の民から『「決して人に馴れない獣、決して人に馴らしてはいけない獣」である王獣を操ることは、大いなる災いを招く』と告げられる。
王獣を「掟」によって縛るのを拒み、いずれは野にある姿の王獣に戻したいと望むが、やがてその理由を身をもって知ることとなる。
闘蛇を喰らう王獣、その王獣を操れる唯一の使いとなってしまったエリン、王国の命運を賭けた争いに巻き込まれていく。

隣国からの攻撃に闘蛇軍を持つ大公軍によって守られているにも関わらず、真王領民は戦という現実を知ろうともせず、血で穢れた者たちと見下している。それでよいはずがない。
サイガムルが生まれ、国の根幹がねじれてゆく。真王の命を狙う者たちが後を絶たない。

真王が書かれたという「王獣規範」王獣の育て方が厳しく書かれており、携わる者はこれを守らなければならない。
この王獣規範を知らないエリンは、音なし笛も特滋水(とくじすい)、薄滋水(はくじすい)も使わずリランを育てた。

リランは保護場にいる他の王獣とは違い、白銀の翼を広げ美しく天空を舞う野生の王獣の姿に成長した。
ある日、足を骨折した野生の雄の王獣がカザルムに運び込まれた。エリンは竪琴を使い、その王獣エクを回復させた。
そしてリランとエクの間にアルという雌が生まれた。
その知らせを聞いたハルミヤ真王はことのほか喜び、暗殺を心配する周囲の反対を押して、カザルムで王獣達と会い、エリンの存在を知る。

船での帰路、ある闘蛇の軍がその船に迫りくる。崖の上からその様子を見ていたカザルムの生徒たち。
エリンは「これからすることは間違っている」と迷いながらもリランとともに、ハルミヤ真王の元へ。
生まれて初めて闘蛇を見たリラン。野生の本能で戦闘体制に急降下してゆく。リランの叫びに硬直する闘蛇を次から次へと引きちぎり噛み砕いてゆく。
そんな姿を皆の目に焼き付けてしまった。

無事に王宮へと戻った真王だったが、闘蛇に激突された時に打った頭の中、脳に広がる出血でほどなく帰らぬ人に。

新たに真王となったセイミヤにダミヤが血を絶やさぬよう求婚する。
ねじれた国の様をセイミヤに見せようとする大公の息子シュナン。


大公軍と真王軍が向き合う谷で、セイミヤは祖母を殺したダミヤを前に、シュナンと共に生きる道を選ぶと告げる。

ダミヤの罠にはまってしまったヌガンは父である大公に自らの闘蛇軍で襲いかかる。

「シュナン様を助けて」セイミヤがエリンに願う。王獣を戦闘の道具にせぬことをセイミヤと約束し、
リランと戦場へ飛ぶ。

「セイミヤ様の元へ」シュナンを背に乗せ飛び立つリラン。
矢傷を負ったエリンは横たわったまま闘蛇に喰われる覚悟を決め目を閉じる。

迫りくる闘蛇の群れと指笛のような音。

気がつくとエリンはリランに銜えられ空を舞っていた。

闘蛇編

獣ノ医術師である母とともに、闘蛇衆たちのアケ村で暮らす少女・エリン。
母ソヨンは緑の目を持つ「霧の民」。
アーリョ、アオーローとも呼ばれ、どこの領主に仕えることもなく厳しい戒律を守りながらひっそりと暮らす流浪の民であった。

ソヨンはその戒律を破り闘蛇衆アケ村の棟梁の息子を結ばれエリンが生まれた。エリンもまた緑の目を持つ。

ソヨンはその優れた医術の腕を買われ闘蛇のなかでも特に強い〈牙〉たちの世話を任せられていた。ある日、なぜかすべての〈牙〉が突然死んでしまい、ソヨンはその責任を問われ処刑されることとなった。エリンはヨソンを助けようと、野生の闘蛇が住む裁きの池に一人向う。母を縛っている縄を必死に切ろうとする、闘蛇は獲物(ソヨン)に向かってくる。

このままでは我が子も喰われてしまう、ソヨンはエリンに「大罪を犯すから」と言い指笛を吹く、闘蛇を操れる指笛を吹いた。ソヨンはエリンを闘蛇に乗せ「生き伸びて」と別れをいい、自らは闘蛇の渦の中へ沈んでいった。母と引き離され天涯孤独の身の上となってしまう。

蜂飼いのジョウンに助け出されたエリンは彼と共に暮らすうち、山奥で天空を翔る野生の王獣と出会う。その姿に魅せられたエリンは母と同じく獣の医術師になることを決意し、ジョウンの昔なじみでもあるエサルが教導師長を務めるカザルム王獣保護場の学舎へと入舎する。

ファンタジー

概要
「リョザ神王国」と呼ばれる異世界の地を舞台とするファンタジー巨編。運命に翻弄される少女エリンを軸に人と獣の関わりを描く全四冊。

2006年11月に講談社から「I 闘蛇編」と「II 王獣編」が二冊同時刊行。2008年に「月刊少年シリウス」(講談社)で武本糸会の作画で漫画化、2009年には『獣の奏者 エリン』のタイトルでテレビアニメ化がなされた。テレビアニメについてはテレビアニメの節も参照されたい。
子供向けに、全ての漢字にルビが振られ、一部の漢字がひらがなに改めたられた青い鳥文庫版も刊行されている。全4巻で、漫画版と同じく武本糸会が挿画および挿絵を務める。「守り人シリーズ」と共に海外での出版が予定されている。

本作は「決して人に馴れぬ孤高の獣と、それに向かって竪琴を奏でる少女」という上橋の心に浮かんだワンシーンが執筆のきっかけとなっている。この構想は何年も前に心に浮かんだが、そこから発想を膨らませることがなかなか出来なかったという。しかし、ある日、ふと手に取った「ミツバチの養蜂」に関する本を読み進めていくうちに、生命の不思議に心震わす少女のイメージが浮かび上がり、こうして仕上がった作品が本作である。

原作者の上橋にとって物語の結末は『II 王獣編』のラストシーンが究極のものであり、彼女の中では物語は完結された。

アニメの放送が始まり視聴者からのお便りや周囲から「続きを読みたい」という声が数多く寄せられた。ただ、闘蛇編、王獣編に何かを足しても蛇足にすぎなかったが、自らも物語の中で描ききれなかった謎への決着を付けたいという思いがあったために、2009年8月に続編となる「III 探求編」と「IV 完結編」が刊行された。


舞台
物語の舞台は王獣と闘蛇という獣が存在するリョザ神王国。

神々の山脈(アフォン・ノア)と呼ばれる峰の向こうからやってきた、金色の瞳を持つ長身の女性・ジェが国の神祖だと伝えられている。神祖ジェの子孫であるハルミヤ真王(ヨジェ)一族を国王とし、真王に仕える大公(アルハン)が闘蛇軍を率いて国と王を守護している。大公も真王と同等の権限を持ち、真王は国の西側を、大公が国の東側をそれぞれ統治している。真王が政治と行政を、大公が軍事力をそれぞれ司るという、権威と権力が二分されている状態にあるため、国内では様々な軋轢が生じている。

幾多の血を流して国を支えてきたのは自分たちである、と自負している大公領の臣民(ワジャク)たちにとっては、貧しいくせにプライドだけは高い真王領の臣民(ホロン)たちが自分たちのことを「血で穢れた者たち」と見下すことに強い不満を抱いており、こういった不満から「大公を王国の王に」と望むサイガムルと呼ばれる
集団が生まれた。真王の命を狙うサイガムルから王を守るべく、セ・ザン(堅き楯)と
いう真王の護衛士が生まれた。


.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事