フィレンツェの空の下で

フィレンツェ在住のイタリア政府公認ツアーガイド・ソムリエのトスカーナ便りです♪

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季節のチーズ

イメージ 1

青い麦が目に眩しい、初夏の始まり。オルチャ渓谷は緑が溢れるすばらしい季節である。
日曜日、渓谷の丘陵地を見下ろす高台にあるペコリーノ・チーズ農家を尋ねた。

前回の記事ですでにこちらの農家の様子はレポートしているのだが、今回訪れて「また書かねば!」という気持ちが沸いた。書かねば!と思ったのは、やはり感動したからであるが、それはこちらの農家の姿勢が「本来の農家のあり方」だからである。

まずは、チーズ作りの生産過程を丁寧な説明付きで見学する。チーズを生産するのは月・水・金のみなので、実際に生産現場を見れるのは限られた日のみであるが、それ以外の日もチーズ作りに必要な凝乳材などを見せてくれたり、製造中のチーズを興味深い説明を受けながら見学できる。

こちらの農家の特徴は、自然に任せてチーズを作るということ。自然に任せるので、季節ごとに違ったチーズができるそうだ。
工場で作られるチーズは一年中同じものが同じレベルで作られるわけだが、手作りすると季節によって、動物が食べる餌が違い、気温・湿気が違い、熟成の仕方が違い、熟成の材料が違い、それにより風味が違ってくる。なんというか考えれば単純なことなのだが、そいうことをまったく知らなかったし考えずにいた私は、自然のすごさに感動した。

イメージ 2チーズを熟成中。旨みの成分となるカビが生えてきている。今の時期だと空気が乾燥しているので、写真のような青白っぽい外皮になるが、湿気が多い冬のものだと赤っぽい色になるそうだ。

イメージ 3こちらは、トリュフ入りのペコリーノ・チーズ。普通のペコリーノは塩水に浸すが、こちらは直接塩をふる。そのほか、ぺペロンチーノ入りや胡桃入りも。

イメージ 4どれだけの期間熟成させるかでも風味に違いがでるが、どのように熟成させるかも違いを生む。こちらは、ぶどうの皮の中で熟成中。

このぶどうの皮の出所は、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノの名門ワイナリー「アヴィニョネージ」が生産する、サンジョヴェーゼ種から造った「Occhio di Pernice」と呼ばれる、甘口ワイン「ヴィン・サント」である。すばらしく上品な深い芳香を放つ果皮に包まれたチーズは、さぞおいしくなるであろう。まだ熟成が足らぬということで購入はできなかったのは、残念である。「秋に来たときは、藁の中で熟成中のチーズを見たけれど?」と尋ねると、「藁は今から取れるからね、まだないのさ」とのこと。なるほど。


イメージ 5こちらは、ヤギの乳で作るカプリーノ・チーズ。ペコリーノは作り始めて約2時間という短時間で作るので酸味が出にくいが、カプリーノは3,4日かけて作る。ゆっくり時間をかけて作ったときに出る酸味が特徴だ。そのためか、私はカプリーノはそれほど好きではないのだが、ここで作ったカプリーノは酸味が旨みとなって、非常においしい。「前回、クリーム状のカプリーノを試食したが今日もある?」と聞くと、「季節が違うから、ない」のだそうで。今の季節のカプリーノは、クリーム状ではなく、固めのものができるのだそうだ。

イメージ 6

天気がよいので、オルチャ渓谷の景色を堪能しながら、試食時間。羊乳で作ったリコッタ・チーズに5種類のペコリーノと2種類のカプリーノを、そのままいただいても絶品だけれど、「玉葱とバルサミコ酢」や「かぼちゃとりんご」などのジャムをつけても組み合わせが絶妙でうまし。さらに、農家が生産するぶどうで造った赤ワインとともに・・・。

自然に任せて作る、そんな行為を昔は普通にやっていた農家も、次第に手間の割には設けがないためか、後継者がいないためか、少なくなってきたように思う。農家を営むご夫婦も、実は20年前スイスからここへ移住してきた。「自分たちでおいしいものを作りたい」という信念のもとに。スイス人だからか、イタリア人のように大げさなリアクションはないが、淡々と語る姿はとても自然体だ。
チーズに関して質問すると、なんでも答えてくれる。作っているのだから当たり前だが、そこにすばらしいものを築き上げたという静かな自信があり、ひとつのすばらしき人生が垣間見える。


この日は近所の幼稚園児たちが親同伴でパン作り教室に来ていて、とてもにぎやかだった。こんな素敵な場所に遠足に来れるなんて、田舎万歳!

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ぶどうの皮の中で熟成させたチーズってどんな味なんでしょう??
チーズをあてにワインを飲む・・・至福の時ですね!^^

2011/5/31(火) 午後 8:03 ciaomami 返信する

どんどんイタリアに行きたい熱が上がっている今日この頃です!そんな私にはこのチーズ・・・うー苦しい・・・笑
(先日、Facabookにメッセージしちゃいました・・・)

2011/5/31(火) 午後 8:19 caffe 返信する

私は日本にいた時はチーズ嫌いだったんですけど、こっちにきて大好きになりました。いろんな種類があって製造工程も違って奥深いですよね。農家が自信をもっている品は特に食べ応えがあります!ポチ☆

2011/6/1(水) 午前 3:13 トミー☆ 返信する

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昔は世界中に、自然から産まれる美味しい食べ物…で溢れていたのに、コンビニで売ってるものを美味しい…と言って食る日本の今に、少し寂しさを感じている、今日この頃です。

やっぱり、自然に任せて作られたもの…が、一番おいしいですよね!

ポチ☆

〜U^ェ^U

2011/6/1(水) 午前 3:58 [ “和 巫”(ゆだね) 柴犬さん ] 返信する

チーズ大好きです!といってもやっぱり食べやすいものが好きなので、
本当のチーズファンではないですが、
チーズの無い生活は寂しすぎます。

今回ご紹介いただいたチーズはどれも一癖あっておいしそう、
やっぱりパンに合わせて塩気は大目でしょうか?
イタリアの農家は何でも手作りですよね、
私はサラミ作りに参加してから肉は義務感でしか食べられなくなりましたが、保存のための昔からの知恵には感動でしたね。

2011/6/1(水) 午前 4:30 monk 返信する

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会社の昼休みにこのページをみて、よだれでそうになりましたよー。
こだわり製法で、地道に作ってるっていいですねー。
しかも、とーっても美味しそうで。
イタリアはやっぱり食文化充実してるんですね。
夏休みまたイタリア行きたいなーと思ってしまいます。 削除

2011/6/1(水) 午後 0:33 [ うさ ] 返信する

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Mamiさん、ぶどうの皮も上記のようなちょっと特別に芳香がよいものなので、楽しみです。チーズにワイン・・・飲むのが大好きな私にはたまりません♪

2011/6/3(金) 午前 2:28 siamofeliciecontenti 返信する

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Caffeさん、イタリアへ来られるのをお待ちしていますよ!イタリアはおいしいものが一杯ですよ〜。ね!

2011/6/3(金) 午前 2:29 siamofeliciecontenti 返信する

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トミーさん、ポチありがとうございます。愛情込めて作られたものは、本当においしいですよね。日本ではなかなかおいしいチーズに出会うのは難しいですよね。そちらもいろんな種類のチーズがあるのではないでしょうか。

2011/6/3(金) 午前 2:32 siamofeliciecontenti 返信する

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柴犬さん、ポチありがとうございます。私も大阪で一人暮らししていたときは、季節も何も考えずにすごーく適当なものを食べていたなぁと思います。自分が何を食べているかを知るって大切だなぁとも思いました。とはいえ、都会にいるとなかなかチャンスがないのが事情だと思いますが・・・。

2011/6/3(金) 午前 2:42 siamofeliciecontenti 返信する

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Monkさん、そちらもおいしいチーズがありますよね〜。モンクさんの水牛牧場の記事、めちゃくちゃ惹かれましたよ。
こちらのペコリーノは塩味が控えめなのです。塩の味ではなく、すべての旨みの味なのです。ですから、塩なしパンも合います。

2011/6/3(金) 午前 3:37 siamofeliciecontenti 返信する

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うささん、こだわり製法でいつまでも続けて欲しいと思います。夏休み、イタリアですか!待ってますよ〜♪

2011/6/3(金) 午前 3:38 siamofeliciecontenti 返信する

ペコリーノ、大好きです。見学だなんて楽しそうですね。しかも試食つきだなんて。
緑の麦穂がきれいですね。雨が降らないフランスではすっかり金色になっています。

2011/6/7(火) 午後 5:22 マダムケイコ 返信する

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ケイコさんもペコリーノお好きですか!フランスでも作ってるのですよね?イタリアでは今週すごい夕立が降りましたが、フランスでも恵みの雨が降ることを祈ってます。

2011/6/8(水) 午前 7:16 siamofeliciecontenti 返信する

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