志度拓哉のブログ

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BSマンガ夜話 「ボーダー」 狩撫麻礼/たなか亜希夫 (2004年)



リスクを負わねえ奴は決して成長しやしねえんだ
 バカ評論家がズレた能書きたれてやがるのは無料の映画やレコードのせいだろうが

夢とロマンを探す思いに駆られて、男は一生フラフラ迷走しなきゃならねえんだ


マンガの原作者という職業があるのは知っているか?
絵は作家(マンガ家)が書き、ストーリーを描くのがその仕事である。
映画に例えれば、脚本家に近いものであると思う。

その(マンガ原作者)という職業を確立させたのが
(あしたのジョー)や(巨人の星)や(タイガーマスク)
の原作である梶原一騎先生であると思う。

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スポーツマンガを得意とする氏の原作が、一流の漫画家とタッグを組む事で
作品は化けて、進化し、当時のマンガ業界のカラーを塗り替えて来た。

私生活でも、波乱に飛んだ梶原氏の作品は、ストーリーにも見事にはまり、
ベストセラー作品の数々を生んだ。

(北斗の拳)の原作者の武論尊も原哲夫と組む事で、作品を膨らませ、
今では誰もが知る、マンガを誕生させた。

梶原氏も武論氏も共通点で、(男臭い世界)(作品を読めばこの人が原作とわかる)
という位、世界観を爆発させている。

そして今回の主旨におけるこの原作者にも、
その要素が爆裂するかの様に存在する。

狩撫麻礼


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この名前を聞いて、反応する人は(こちら側)で生きてる人間であろう!!

名前はジャマイカの神様、ボブ・マリーからヒントを得ている。
元々、レイチャールズやジェームスブラウン等のブラック・ミュージックに
影響を受け、ニールヤングやトムウェイツの世界観に触れた男が、
小池一夫主催劇画村塾に入り、マンガの世界を学ぶ。

酒、ボクシング、学生運動、R&R・・・・・
狩撫の世界観は自身の経験をモチーフにしている。

初期の頃から大友克洋、弘兼憲史、谷口ジロー、かわぐちかいじ
という、今では巨匠と呼べる漫画家達とタッグを組む。

探偵や荒くれものを主人公にしたハードボイルド作品が多く、
この頃から独自な狩撫節と呼ばれるセリフ回しが存在する。

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狩撫節とは何か?

女性には到底理解出来ない、男の勝手な理屈であり、
一般社会に生きるサラリーマンへの反抗であり、
お決まりのレールに乗る受験生への否定であり、
男のやせ我慢・・・・何の特にもならない男の美学である。

ただ70年代のまだ熱き日本にインスパイアした作品の数々は
80年代のバブルに突入する当時の日本では、アンダーグラウンドの枠に
とどまり、一般社会のマンガマニアに受けいられる事は無かった・・・・・・


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1985年。我が国の経済もうなぎ昇りの時代に突入する。

そんな中、劇画村塾で出会った、たなか亜希夫と組んだ短編集(ア・ホーマンス)
を読んだ、松田優作が、これをモチーフに映画を撮ろう!!

と狩撫の元にやって来た。

松田優作。当時の日本でアクションも出来る本物のアウトロー役者であり、
今や伝説の俳優である。まさに狩撫の世界観に通じるリアルな男。

狩撫は原作ではあるが、一切、映画には口出しはしなかった。
松田優作にここまで、愛されたら狩撫も本望であろう。

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この作品で松田優作は最初で最後の監督を務め、
石橋凌や寺島進など、今では売れっ子俳優のデビュー作ともなるのだ!!

豪華なキャスト陣であったが、映画は大成功という枠ではなかった・・・・
記憶喪失な男が、新宿の街を風来坊のように彷徨うという内容をモチーフと
したが、原作とは異なる内容であった。

だが、俺が重要視するのは世界観・・・・・・
狩撫の世界観もうまく反映されていたと
個人的に思う、松田優作のマイナスの演技に脱帽した。

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このア・ホーマンスを皮切りに、たなかと組んだ(迷走王ボーダー)が世に出たのが翌年1986年であった。

狩撫の代表作ともなる作品である。

バブル期の日本で放浪癖がある、蜂須賀と久保田がインドで出会い、
目黒区八雲という高級住宅街のボロアパートで生活する男達を描いた作品である。

(あちら側)と(こちら側)という言葉で世間を分ける。
ニューミュージック(J−POP)を聞いて合コンなどで浮かれる人間を(あちら側)
社会のレールからはみ出して自由に生きてる男を(こちら側)と呼ぶ。

例えば、普通にサラリーマンになる普通の人生を生きるものは(あちら側)
バンドマンやボクサー、芸術家、社会に流されず好きなものに
突き進む生き方は(こちら側)

例え、いい女がいたとしても(あちら側)の人間なら抱かない。
意味の無い仕事をする位なら社会には出ない。

ボロアパート、それも便所部屋で、自ら望んで暮らし、激しく生きる蜂須賀に
憧れたバブル期の(こちら側)人間もたくさん存在したと思う。

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そして1989年の連載終了から20年以上の時を得て、現在(ネオ・ボーダー)
が連載中である。

汚い事に見て見ぬふりが出来ない人間や、尊敬もしていない
上司にゴマをすれない人間ならきっとこの作品から何かを得る事が
出来るであろう・・・・・・・・・


ボーダー終了後も(天使派リョウ)や(ハード・コア)など独自な狩撫節な作品を
発表するが、1995年(タコポン)連載終了後、狩撫はマンガ界から姿を消す・・・・・

ボブ・マリーの代役でウェラーズのボーカルを勤め消えた蜂須賀の様に・・・・・・・

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だが90年代後半にマニアの間に師事される作品が数本誕生する。

10年間、一室に監禁された男の復讐を描く(オールド・ボーイ)
殺気ゆえ、湯煙スナイパー・・・・

原作者の名前は違うが、ファンは一発でそれが、狩撫の作品だと分かる。
それは、何度も書いたが、独自なセリフ回しと世界観が
狩撫麻礼そのものだからである。

実際、狩撫はイメージを変える為、初心の気持ちで再デビューする為、
また元々、シャイな性格の為、劇作家、狩撫麻礼の名前を捨て、
カリブ・マーレィ、ひじかた憂峰、土屋ガロン、椿屋の源、marginal、ダークマスター等
作品ごとに名前を変えて、世に出ていたのである。

そして、乾き切った80年〜90年代では、マニアにしかリスペクトされなかった
狩撫の作品が次々にドラマや映画化されて行くのである。

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殺し屋だったシャイな男が、堅気になり、田舎の温泉町で静かに暮らす
物語を描いた(湯煙スナイパー)

浅草の川沿いで探偵業を営む(リバーズエッジ 大川端探偵社)

深夜枠の短編ながら、どちらの作品もTV枠でも映画手法の展開で
70年代の(傷だらけの天使)や(探偵物語)を彷彿させる完成度である
と個人的に思う。

そして50代から60代へと成長した、狩撫麻礼の(ボーダー)の頃より
成長した、大人の狩撫節が魅力である。

今までは、説教であり、アンチヒーローであった作風(若き反逆)から
悲しみや痛みを取り入れた(大人の哀愁)的
要素が滲んだ作品へと変化して来たと私論的に思う。

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中でも(オールド・ボーイ)は韓国やハリウッドで映画化されて、大ヒット作へとなる。

言い方を返ると、狩撫麻礼は海外に通用する作家であり、日本人が彼の
テンションに追いついていないとも感じるのである。

あだち充や鳥山明が好きな人間に狩撫が受けるわけがないし、
ジブリ映画やディズニー映画の正反対の事を描いているから。

だが、少しだけ世の人間とのズレた感覚が生じる人は一度、狩撫の世界に
足を踏み入れる事をオススメする。

今や死語の(ハードボイルド)の世界を情けなく、そして激しく描き

狩撫麻礼、今も名前を変えて世に作品をぶっ放している!!

そして貴方の常識を切り裂く狩撫節を放っている!!


狩撫麻礼 作品

East of The Sun,West of The Moon (画・大友克洋、漫画アクション掲載 1979)
エイント・チャウ(画・弘兼憲史 1980)
青の戦士 (画・谷口ジロー、ビッグコミックスピリッツ連載 1980-1981)
LIVE! オデッセイ (画・谷口ジロー、平凡パンチ連載 1981)
ナックル・ウォーズ (画・谷口ジロー、プレイコミック連載 1982-1983)
ライブマシーン (画・松森正、アクションヒーロー連載 1983-1984)
ハード&ルーズ (画・かわぐちかいじ、別冊アクション→アクション・キャラクター連載 1983-1987)
ルードボーイ (画・谷口ジロー、プレイコミック連載 1984)
POWER FOOL (画・守村大、モーニング連載 1984)
B (画・平野仁 1984)
ア・ホーマンス (画・たなか亜希夫、週刊漫画アクション連載 1985) - 松田優作により映画化
迷走王 ボーダー (画・たなか亜希夫、週刊漫画アクション連載 1985-1986) ※『ネオ・ボーダー』続編(ひじかた憂峰名義)
マニュアル(画・谷村ひとし 1989)
サード・ギア(画・本そういち 1990)
エッヂ(画・田村信、コミックギガ連載 1990)
天使派リョウ (画・中村真理子、ビッグコミックスピリッツ連載 1990-1992)
BOX (画・池上遼一、ビッグコミック連載)
ハード・コア(画・いましろたかし、グランドチャンピオン連載 1991-1993)
タコポン (画・いましろたかし、週刊漫画アクション連載 1995-1997)
ルード戦士ラスタバイ(画・守村大、モーニング連載)
ギィルティ (画・中村真理子、ビッグコミックスピリッツ連載)

別名義

少女ネム(カリブ・マーレィ名義、画・木崎ひろすけ、コミックビーム連載 1996)
ルーズ戦記 オールドボーイ(土屋ガロン名義、画・嶺岸信明、漫画アクション連載 1996-1998)- 2003年映画化
殺気ゆえ(不動チカラ名義、画・木村直巳、近代麻雀ゴールド連載 1998)
平成大江戸巷談 イレギュラー(椿屋の源名義、画・江口寿史、漫画アクション連載 2002)
湯けむりスナイパー(ひじかた憂峰名義、画・松森正、漫画サンデー連載 1998-2012)- TVドラマ化
リバースエッジ 大川端探偵社(ひじかた憂峰名義、画・たなか亜希夫、週刊漫画ゴラク不定期連載 2007-2011)
ネオ・ボーダー(ひじかた憂峰名義、画・たなか亜希夫、漫画アクション連載 2011- )



今日のナンバー、狩撫作品といえば、ボブマリー、ニールヤング、レイチャールズ、
ブルーハーツといろいろあるが、ボーダーで流れた
RCサクセションですべてはALL RIGHT


キヨシローこそ独自なキヨシロー節を持つ(こちら側)の人間であろう・・・・

この記事に


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