世界日本化計画

ブログタイトルを「silkroad_desert9291」から「世界日本化計画」に改名した。(2008.12.16)

世界の文化

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ネタバレ注意!


(その1)より続く

(2)ノベライズ本 「姉妹」
吉村達也「姉妹 -Two Sisters-」(角川ホラー文庫 H12-17)角川書店、2004.7.25

本書あとがきによると、映画を見ただけでは分かりにくい点が多いので、本書は「謎解きマニュアル」にしたそうだ。映画公開前に誤解を避けるためマスコミ向けに謎解き(スミはスヨンを助けられなかった事で多重人格になり、ウンジュの人格を演じている)をした「虎の巻」が配られたそうだ。しかしノベライズに当り著者が映画監督に確認したところ、「虎の巻」にもないもう1つの「真実」(スヨンの霊はスミの妄想ではなく実在している)が分かったので本書ではっきりさせたということだ。また、映画は、韓国では特に説明する必要がない程よく知られた古典怪談「薔花紅蓮伝」を下敷きにしているが、日本人には馴染みがないので、スミが絵本を読むという形で「薔花紅蓮伝」の説明をしている。

「薔花紅蓮伝」(チャンファ・ホンニョン・ジョン)あらすじ
薔花(チャンファ、姉)と紅蓮(ホンニョン、妹)の姉妹の母が病死する。継母は姉妹を邪険に扱い、薔花のふとんにネズミの死骸を入れ妊娠中絶したという濡れ衣を着せる。薔花は耐えられず自殺、紅蓮も姉の後を追って自殺する。2人の霊が役人の前に現れ冤罪を訴える。役人が継母の罪を暴き、継母は死刑になる。

ノベライズ本あらすじ
(p.8)幼いスミに母が「薔花紅蓮伝」の絵本の最初の部分を読み聞かせる。スミが4歳の時スヨンが生まれる。

(p.32)母が病気になり、ウンジュが家に入り込んでくる。スミは「薔花紅蓮伝」の絵本の続きを読み、姉妹が継母に虐められ自殺する話である事を知り、自分達姉妹も同じ運命になるのではないかという思いに囚われる。

(p.75)母が死んだ日。映画の(099分)のシーン。スミ、スヨン、ムヒョン、ウンジュ、ソンギュ、ミヒの6人で昼食。2階に病気の母がいる。口論になりスミが席を立つ。スヨンがウンジュに叱られお粥を流しに捨てる。ドーンという大きな音がする。

(p.108)以下、映画の(005分)から(091分)までの田舎の家の出来事が、ほぼ映画のまま描かれる。但し、(024分)のシーンのスヨンの部屋で起こった事は、そのまま描かれず、スヨンがスミの部屋に来て語る形になっている。また、(063分)のシーンで、ウンジュは緑色の服の女は見るが、化物の手がウンジュの手を掴む場面がない。

(p.303)母とスヨンが死んだ日。映画の(106分)のシーン。

(p.321)スミの人格が分裂していたことの解説。

(p.330)スヨンの霊は本当にいたことの解説。スヨンは箪笥の中でウンジュが来るのを待っている。

(p.334)病院。医師が話しかけてもスミは一言も話さない。スミは、スヨンしか知らないこと(箪笥が自分に向かって倒れてくることなど)をなぜ自分が夢に見るのか疑問に思う。スヨンの霊が自分の中に入り込んできているような気がする。最後に、医師に名前を尋ねられたスミは「スヨン」とつぶやく。スヨンのことを思い出してつぶやいたのか、自分の中にスヨンが乗り移って医師の質問に答えたのか、スミ自身にも分からない。終。

上記以外に、ノベライズ本では映画とは違って、映画の(096分)の病院のスミとウンジュの場面、および、(102分)のウンジュの前に化物が現れる場面はない。化物を見たのはミヒだけになっている。

映画(066分)のシーンでスヨンのベッドに小鳥の死骸があったのは、「薔花紅蓮伝」で薔花のふとんにネズミの死骸を入れたことに対応している。

本書によると、実母が死んだ時、スミは15歳、スヨンは11歳だった。それから何年経ったのか、スミが今何歳なのかは、スミ自身にも分からない。箪笥にたくさん同じ服があったのは、スミがソウルと田舎の家を何回も行ったり来たりしていて、そのたびに記憶をなくし同じ服を買ってくる事を繰り返しているからだ。時計をスヨンが死んだ時間で止めたのもスミ自身だ。

文章で謎をはっきりさせたが、平板になって味わいが薄くなったようなところもある。

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(3)評論 「韓国ホラー映画に見る『反日』の深層」
佐藤健志「韓国ホラー映画に見る『反日』の深層」別冊正論Extra.02、産経新聞社、2006.4.19

評論あらすじ
スミがウンジュを憎んでいたのなら、スミは妄想の中でウンジュを殺そうとするはずだ。しかし反対に、スミは妄想の中で自分がウンジュになりスヨンを殺そうとしている。実はスミは(心の奥では)実母を嫌いウンジュに憧れているのだ。病院でスミが帰ろうとするウンジュの手を掴んで離さなかった事も、それを裏付ける。そしてスミは、実母を慕うスヨンを憎み、スヨンの死を喜んでいたのだ。しかし、そういう自分に嫌悪感を持ち、それを認めたくないために強く抑圧し、精神を病んでしまったのだ。そして、田舎の家で死んだはずのスヨンの亡霊を見てショックを受け、改めてスヨンを殺そうとしたのだ。

スミの意識の歪みは、現代の韓国の意識の歪みを映し出している。スミ=韓国、スヨン=北朝鮮、ウンジュ=日本、実母=伝統的な朝鮮、という対応関係が成り立つ。スミが田舎の家に着いた時、青と赤(韓国国旗の色)の服を着ていた事、ウンジュの拠点である食堂の床が赤い(日の丸の色)事、ウンジュは以前に家に入り込んで実母の死につながったが、今はウンジュは別の場所にいる事、が対応関係を裏付けている。

表面では、韓国(スミ)は、日本(ウンジュ)を敵視し、北朝鮮(スヨン)を擁護しているが、実は抑圧され隠された奥底では、日本(ウンジュ)に憧れ、北朝鮮(スヨン)を否定したいと思っているのだ。冷戦終結で南北統一が現実性を帯びてきたが、経済格差を考えると、統一は韓国が2000万人の難民を抱え込むのも同然である。そのため、統一への不安感が高まる一方、民族主義の理想(建前)のために、不安感が存在すること自体を認めることができず、それを抑圧し、その反動と自己欺瞞から「反日」の傾向を高めているのだ。実際には統一を避けながら、民族主義を満足させるために「反日・反米・親北朝鮮」の姿勢を取っているのだ。

監督はこの映画を国際関係のメタファーとする意識などなかったのだろうが、結果的にそうなっているところが面白い。そう思ってみると、スヨン(北朝鮮)は、スミ(韓国)の妄想ではきれいな姿であるが、他の人物には化物に見えている、というのもそうだ。

映画ではスヨンの亡霊(北朝鮮)が、本物のウンジュ(日本)を攻撃し、スミ(韓国)は正気を取り戻さないままであった。ノベライズ本では更に、スヨンの亡霊(北朝鮮)がスミ(韓国)の中に入り込んで乗っ取ろうとしているのだ。現実の国際関係はどうなるのだろうか。

閉じる コメント(2)

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拝見しました。なるほど、ホラー映画にも民族主義の影・・・・なんですね。

2007/9/2(日) 午前 8:26 [ chaamiey ]

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はじめまして^^
解説助かりました。ありがとうございます。

2009/3/20(金) 午前 0:16 [ takashi ]

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