世界日本化計画

ブログタイトルを「silkroad_desert9291」から「世界日本化計画」に改名した。(2008.12.16)

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ニューズウィーク日本版 2013.6.11号(第28巻22号、通巻1352号)、阪急コミュニケーションズ
cover story「慰安婦問題という名の泥沼」(p.23-33)

○慰安婦問題という名の泥沼: 長岡義博、深田政彦、前川祐補(本誌記者)、横田孝(本誌編集長)

●外国特派員協会での橋下徹大阪市長の会見の後、日本人記者の多くは、橋下ではなく外国人記者のコメントを取ろうと争った。日本人の不安感の反映。問題が解決不能に近いレベルにまでもつれてしまった根源は、日本政府が90年代前半に犯した3つの失敗。

1. 致命的判断ミスで自らパニックに陥り、不要な譲歩を繰り返した。1992.5 訪韓した宮沢首相は盧泰愚大統領に22分間に8回も謝罪。1992.7 第2回加藤談話で関与を認め、「気持ちを形で表す」と表現し、思わせぶりな表現が賠償への期待を高め、問題悪化。韓国の民主化により、以前のようなエリートの談合ができなくなり、反日で求心力を高める。

2. 1993.8 閣議決定なしに河野談話。小沢の離党で宮沢内閣崩壊の危機の焦り。内閣崩壊の5日前。証拠がないので肝心の部分は玉虫色。

3. 河野談話後、日韓両国で大きな論争はなかった。1994 自社さ連立村山内閣成立→村山首相は「寝た子」を起こす行動。左派政治家の思い込みによる失敗。「使命感」から謝罪や賠償。1995.7 アジア女性基金発足。1997 同基金が賠償開始→韓国で受け取り拒否、以後進展なく15年。

●河野や村山の暴走の背景には、外務省が初期対応で後手に回り、信頼を失い、首相官邸主導になった事もある。事実を調べ日本の汚名を晴らそうとしても、逆にイメージを損ない、さらに泥沼に引きずり込まれる。証拠がないのが事実なのに、「慰安婦の存在そのものを否定しようとしている」と曲解されてしまう。日本だけ糾弾されるのは不条理だが、国際社会の「常識」は、正しい史実の追求とは別次元の所にある。泥沼から抜け出すには新たな談話(強制連行は確認できないが、軍の関与は認める。慰安婦の苦痛に理解と謝罪。女性の人権重視の未来志向)を。強制連行がないと立証しても、慰安所の過酷な実態に感じる生理的嫌悪感は消せない。

○反日で「大義」を失った韓国: 前川祐補、朴辰娥(ソウル)

●人道問題だったはずの慰安婦問題が、単なる反日キャンペーンへと暴走したのはなぜか? 1965 日韓基本条約当時、慰安婦の存在は公式には認められておらず、補償対象にならなかった。

●1990 尹貞玉がハンギョレ新聞に「挺身隊取材記」連載、韓国挺身隊問題対策協議会発足。1991 金学順が慰安婦だったと告白、東京地裁に謝罪と賠償を求め提訴。韓国政府は早期幕引きを考えていたが、日韓基本条約締結当時から、交渉担当の金鍾泌らが、慰安婦問題の存在を知っていた事が明らかとなり、親日派への批判が高まる。韓国政府も、対応を誤れば「親日派」とされ、危機に陥るおそれ。

●当初は、韓国政府は日本に謝罪さえしてくれれば良いと言い、日本が河野談話を発表したが、挺対協の主張がエスカレートし、日本の謝罪を認めず基金も拒んだ。償い金を受け取った元慰安婦の中には、涙を流して喜んだ人もいた(大沼保昭 明大教授、基金理事)が、挺対協やメディアは「金で魂を売った」と批判。一時は基金による解決を認めた韓国政府も、世論に押されて基金否定に変わった。

●慰安婦問題は反日キャンペーンと化し、国家賠償以外に、加害者の処罰、慰霊塔の建設、教科書への記載、等を求めている。安秉直(ソウル大名誉教授)は、挺対協の反日運動に苦言を呈している。大沼も「慰安婦問題は被害者の問題ではなく、活動団体の「正義」の実現が原動力と感じた」と言う。大沼が韓国有力メディアのトップに「韓国の世論はひど過ぎる」と話すと、「確かにそうだ」と答えたが、「あなた自身がメディアを通じて、国民や活動団体に冷静な言動を取るよう説得すべき」と言うと、「私にはできない」と答えた。

○アメリカは「被害者」の味方: J・バークシャー・ミラー(米戦略国際問題研究所 太平洋フォーラム研究員)

●米国は、慰安婦問題で韓国を支持するムードが強く、政官界はほぼ一致している。人によって日本にどの程度配慮するかの違いがあるだけ。米国は女性の性的搾取に厳しい姿勢を示してきた事の反映。

●加えて、韓国系と中国系市民団体がロビー活動(NYの「韓国系アメリカ人有権者協議会」など)。昨年、米国永住権を新規取得した中国人は8万人以上、韓国人は2万人以上いるが、日本人は6千人。

●政治家、メディア、非営利団体は、「被害者」の側に付く方がイメージアップにつながるので、ロビイストに促されれば喜んで問題を取り上げる。日米同盟重視派の政治家や官僚は、河野談話の意義を認めているが、シーファー前駐日大使は「この問題に嵌り込むと抜け出せなくなるから触れない方が良い」としている。

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5年前の雑誌の特集記事だが、良くまとまっているので、記録しておくことにした。

この記事の2年半後、2015年12月28日に、安倍政権と、朴槿恵政権の間で、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に」解決されたとする合意が成立した。日本政府が拠出した10億円を基に、韓国政府が「和解・癒やし財団」を設立し、元慰安婦に支援事業を始めた。しかし、挺対協らは、これに反対した。さらに、朴槿恵大統領が2016年12月9日に国会で弾劾され、2017年3月10日には憲法裁判所が大統領の罷免を決定し、朴槿恵は大統領の地位を失った。その後の選挙で成立した文在寅政権は、日韓合意を破棄はしていないものの、合意内容には批判的で、「和解・癒やし財団」は事実上活動停止状態となっている。

記事の中で「1965 日韓基本条約当時、慰安婦の存在は公式には認められておらず、補償対象にならなかった」としているのは、誤りだろう。慰安婦の存在は、昔から、秘密でも何でもなく、一般に知られていた事である。慰安婦が日韓両国間の問題だとは考えられていなかっただけで、慰安婦の存在自体を認めていなかった事はない。


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