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読書の書庫にあるように、ここ数年間、世界の歴史や文化について、いろいろ本を読んでいる。そこで、現在から、1000年前、2000年前の過去の歴史を見るように、今から1000年後、2000年後の未来から現在の歴史を見てみると、どのように見えるのか、と考えてみた。
20世紀の歴史というと、まず、2度の世界大戦や、共産主義とファシズムなどが思い浮かぶ。しかし、人類の歴史が始まって以来の様々な文明の興亡を、数百年の長い単位で、大きな流れを眺めてみれば、この150年間で最も重要な、世界の歴史を大きく変えている要素は、日本文明の勢力拡大ではないか。
江戸時代に、日本の識字率は世界最高であり、江戸は人口100万人の世界最大の都市であり、大阪に世界最初の先物取引所ができるなど、既に高度な文明社会を築いていた。しかし、いわゆる「鎖国」のため、日本から世界に対する影響はあまりなかった。だが、明治維新以後、日本文明は、大きく勢力を拡大し、世界全体に大きな影響を与えるようになった。
19世紀後半〜現在まで続く、日本の勢力拡大は、
紀元前4世紀〜紀元前1世紀の、アレクサンドロス大王の遠征とヘレニズム、
7世紀〜15世紀の、イスラームのスペインからインドやインドネシアにわたる拡大、
13世紀〜14世紀の、チンギス・ハーンのモンゴル大帝国の建設、
15世紀〜20世紀前半の、西洋による世界の植民地化、
などに匹敵する、世界の歴史上の最大級の変化である。
日本文明の勢力拡大は、3つの段階を通じて起こっている。
●第1段階(1868〜1945)、軍事的拡大
明治維新以降、西洋に対抗するため、富国強兵政策で、急速な近代化、工業化を進め、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦などを経て、台湾、朝鮮、南洋群島などに領土を拡張する。さらに、満洲からシナに侵攻するが、アメリカと利害が衝突し、第二次世界大戦となる。最大時には、朝鮮、満洲、シナの主要部、東南アジア全域、インドの一部、太平洋の西半分にわたる、広大な地域を支配したが、アメリカによる、核兵器による一般市民の大虐殺と、都市や工業地帯の破壊により、壊滅的な打撃を受けた。
日本の近代化は、世界各地の独立運動や近代化運動に大きな影響を与えた。朝鮮の甲申政変、清の変法自強運動、孫文の東京での中国革命同盟会の結成、ベトナムのファン・ボイ・チャウの東遊運動、などがある。第二次世界大戦でも、チャンドラ・ボースのインド国民軍、アウンサンのビルマ独立義勇軍、インドネシアのスカルノらが、日本に協力した。第二次世界大戦で日本は敗れたが、西洋は植民地のほとんどを失い、世界地図が根本的に塗り替えられた。
●第2段階(1946〜1989)、経済的拡大
第二次世界大戦後、日本は、軍事的、政治的にはアメリカに依存しながら、経済的拡大に集中した。敗戦後の廃墟から急速に復興し、高度経済成長を実現し、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国となった。株式市場では、アメリカをも上回り、世界全体の株式時価総額の半分を占めるまでになった。しかし、バブル崩壊により、その後は長期的な経済低迷に陥った。
日本の経済成長は、周辺諸国に対して、経済援助、技術援助、企業の海外進出などの直接的影響と、マレーシアのルックイースト政策などの間接的影響とにより、大きな影響を与えた。日本を先頭に、NIES(韓国、台湾、香港、シンガポール)、アセアン、中国、インドなどが後に続く、雁行型の経済発展が起こった。西洋のプランテーション地域が工業化され、世界の経済的な地図が根本的に塗り替えられた。
●第3段階(1990〜未来)、文化的拡大
既に19世紀のジャポニスムから、日本の文化は西洋に影響を与えていたが、以前は、ゲイシャ、サムライ、など物珍しさによる興味が中心だった。西洋以外の地域では、日本の近代化、工業化に興味が集中し、日本文明固有の要素には、関心が薄かった。しかし、近年は、マンガ、アニメ、コスプレ、オタク、スシ・バー、J-POP、カラオケ、ゲーム、秋葉原、原宿、カワイイ、モッタイナイ、など、世界各国で日本の文化が、日常生活の中に広く深く浸透しつつある。
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