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野田総理が国連で演説をした。その姿を見守る、玄葉外務大臣、長浜官房副長官。皆、政経塾の同窓であり、議員時代の同志である。頑張ってほしいと心から思う。
野田総理に対してオバマ大統領が「彼とは一緒に仕事ができる」( I can do business with you)と語った。メディアの報道が、まだハネムーン期間のようで好意的なのは、野田総理にとってありがたいとおもうが、この本当の意味は何なのかをしっかりと分析する必要がある。
そもそもこの言葉は、1984年、英国サッチャー首相が後に大統領となり、ペレストロイカを推進したゴルバチョフを評して「ゴルバチョフは気にいった。彼となら一緒に仕事ができる」と使ったのと同じである。
何世紀にもわたって世界に君臨してきているアングロサクソンの指導者、鉄の女サッチャーに「気に入られた」ということは、イギリスにとってゴルバチョフがソ連の指導者になったことは、国益上、望ましいということにすぎない。
ゴルバチョフはペレストロイカを進め、チェルノブイリ原発事故を契機に、情報公開を推進した。ペレストロイカは、ゴルバチョフの思う方向には進まず。究極的なところは、長年にわたって英米に対立していたソビエト連邦は崩壊した。たしかに、サッチャーにとって、ゴルバチョフは、英国優位な世界をつくるために「一緒に仕事をする」のに都合のいい相手だったのだ。
国際政治が、右手に高々と理想のたいまつを掲げながら、国益をかけて左手で殴りあっているというのは、野田総理を補佐する人々もよくわかっているとは思う。しかし、なにぶんにも野田総理も含めて経験不足である。はじめての国際舞台である。政治の混乱、震災による国力の疲弊、経験不足な政治指導者層。諸国が日本を見る目は、日清戦争敗北後の清国を見るのとほぼ同じと考えて間違いない。国際政治の本質は、春秋戦国時代から変わっていないのである。
野田総理の方針である、「誠心正意」は外交の秘訣でもあると勝海舟は言う。経験不足は、やむえおぬから「明鏡止水」で心を研ぎ澄まして交渉に望むののがいいという。ただし、「国家のために譲られないことは、一歩も譲らない」という姿勢がかえって相手の尊敬をまねくともしている。
西郷隆盛の遺訓を野田総理に思い出していただきたい。
「彼の強大に委縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に従順する時は、軽侮を招き、好親かえって破れ、ついに彼の制を受けるにいたらん」
国連演説を見ている中に、長島首相補佐官の姿がなかった。きっと、旧知のワシントンでいろいろな交渉をしているのだと思われる。首相官邸の仕事の7割は外交である。頑張っていただきたい。
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