島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

政治家の品格

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 二一世紀になったばかりの頃、民主党政権運営委員会で前原さんや玄葉さんとドイツの政権運営を研究しに行った。ドイツの国会が、国会において法案をよく修正する「修正国会」だと聞いた。私が「日本では、内閣提出法案がほとんどで、国会で法案を修正することはほとんどない」と言ったら「それでは、国会議員は国会で何をしているのか」と聞かれた。

 民主党の政策調査会長に前原氏がつき、ずいぶん張り切っていると旧知の国会議員から聞いた。なんでも各省ごとの部会も相当権限を持つようになり、部会長に任命された議員は前原さんと同じように張り切っているとのことだ。

 政権交代時の民主党マニフェストを見ている。鳩山政権の政権構想五原則。原則2「政府と与党を使い分ける二現体制から内閣の下の政策決定に一元化へ」。原則三「各省の縦割りの省益から、官邸主導の国益へ」とある。現在の民主党の動きは、この政権構想五原則からは逆流の動きに見える。部会が力を持ち、族議員が生まれるようなことが予測され「民主党が自民党化」していると揶揄される原因である。

 私は民主党議員時代、政権運営構想を代表室で練ってきた一人である。そのころ、イギリスでは労働党への政権交代があり、若きブレア首相のリーダーシップが憧れの眼をもって見られていた。前原さん、玄葉さん、安住さん、原口さんなど、現在のニューリーダーと一緒にヨーロッパの政権運営を研究し、結論として総理のリーダーシップが発揮できるイギリス、ウェストミンスターモデルを政権交代後のモデルとしたのである。

 このイギリスモデルが機能するのは、マニフェストと首相候補の提示が総選挙によって信任され、マニフェストの実現を官邸主導によってスピード感をもって実行するときにのみである。総選挙時代の鳩山首相が退任し、参議院で民主党が敗北したことにより「ねじれ国会」になってしまった今、「政府与党の一元化」をめざすイギリスモデルは機能しない。

 今後、範とすべきは内閣提出法案を何が何でも国会で通すイギリスモデルでなく、法案を国会に提出した後、与野党で修正するフランス、ドイツ型モデルである。

 そもそも参議院がねじれ状態である。法案ごとに連立を組まなければ、法案が通らないのだから、政府と与党が一体化しても仕方がない。連立政権が当たり前になっているフランス、ドイツでは国会での法案修正が当たり前である。数字が明らかになっているフランス議会では、〇八年の会期で1万九七〇件の本会議提出法案のうち、約四分の一の3351件が国会で修正されている。

 内閣が提出した法案を与党議員が政府との間で修正するのも常態である。与党であっても、審議中に法案に反対の立場から自由に意見を述べる。議決時になって初めて、党議拘束をかける。その過程で野党議員とも討論する。これならば、国会審議も活性化するであろう。

 今までの、日本国会は与野党折衝と言っても、水面下で行うことが多く、国会での審議は形式的なものであった。水面下だと、利害が直接ぶつかり合い、声の大きい族議員が勝利し、国民の声が届きにくい。また、実際には委員会理事だけの協議になり、国会審議は若手議員の選挙区向けショーとなってしまう。

 与党は内閣が提出した法案をそのまま通す。野党はなすすべがないから、日程を延ばすことだけに血道をあげる。こんな国会から脱却しないと、政治不信が増すばかりである。

 法案修正という「仕事」を国会議員は国会でする。そんな国会に「ねじれ国会」を機に転換すべきである。

 

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