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安倍首相が衆議院の予算委員会で「朝日新聞の捏造」だとか、「朝日新聞は安倍政権を倒すのが社是」だとか言ったとかが論争になっています。
私は予算委員会の理事をしていましたが、正式な議事録をきちんとみるまで「信じられない」という気持ちです。そもそも、私の頃は予算委員が質問で特定企業の名を出すこさえ、理事会での慎重さが求められました。一国の総理が、しかも、マスコミの一社に対し、敵対的な発言をするなどということは私が予算委員会の理事をしていた8年前にはあってはならないことでした。
私が理事だったら「憶測による問題発言だ。さらに、首相は『言論、出版その他一切の表現の自由』を保障した憲法21条をどう考えているのか」と委員長席につめよるところです。国会の議論は変わってしまったように思えます。
19世紀後半、イギリス憲正論を書いたバジョットは「議員の大多数はその国の一般的知的水準を代表している」「その知的水準はその時代の社会の水準とまさに同程度のものである」と述べます。
ただ、バジョットはこの事態に悲観的ではありません。国民教育により知的水準はあがるとみており、その国民教育の場となるのが他ならぬ議会だと考えたからです。
「イギリスは『陛下の野党』という言葉を最初に発明したと言われている。また、イギリスは政治の批判を政治そのものにするとともに政治体制の一部にした最初の国家である。このような批判する野党の存在は、議院内閣制の所産である。偉大な討論の場となり、また民衆教育および政治論争の一大機関となるのである」日本野党にもこのような論戦を期待します。
国会の議論の中で、もっとも重視されるのが総理の発言です。首相は本来、全国会議員の最大の教師であり、国民の最高の教師でなくてはなりません。首相は、権威と才能によって討論に高い格調を持たせたり、ときにはユーモアを持たせたりして、国会を通して国民に語るべきです。
総理の発言は「名言」であるべきです。残念ながら、安倍総理の発言は「迷言」だと思います。
最後に、第29代犬養毅内閣総理大臣のマスコミに対する「名言」を引用します。全国護憲記者大会での新聞記者たちに語った言葉です。
「政党には党勢拡張、政権獲得などという一種の病気がつきまとう。そのためにあるいは不正手段に出たり、あるいは敵に向かって進む勇気を失ったりすることがある。
これを監視し、激励するのが言論に従事する人々の責任でなければならぬ」
安倍総理にも「名言」を語ってほしいと思います。
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