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ソフトバンク決算発表会、孫社長は「インターネットの中心はアジアへ来る。アジアを制するものが世界を制する」との趣旨のことを語った。私はデジャブー(既視感)を感じた、松下幸之助塾長も「21世紀の繁栄はアジアにある」と語っていたのだ。
孫社長がインターネットに着目し、「100年に一度の大変動期」と認識したのは20世紀の終わりである。1998年当時、インターネット人口は1.9億人。そのうちアメリカが50%をしめ、アジアは19%にすぎなかった。
インターネット人口は、2015年には約26億人になる。そのとき、アメリカが12%であるのに対し、アジアは50%になる。とりわけ中国の発展がめざましいものとなるのだ。したがって、「インターネット革命」をアジアから起こすために今後、アジア、中国に力を入れるというのが孫社長の主張である。
これに対し松下幸之助塾長は「世界では繁栄が回っている、エジプトからローマに、そしてヨーロッパ全体に広がって、次にアメリカに移った。次の繁栄は日本に来る、アジアに来る。その繁栄を受けて立つだけのものを、今から用意しておかなければならない」と語る。1980年代の事である。松下政経塾設立趣旨の一つが、アジアの時代の人材を養成するために設立するというものであった。
松下政経塾時代、私は「塾長はアジアの時代が来ると言われておりますが、その理由は何ですか」と聞いたことがある。たしか、トインビーだとか、高坂正堯先生の「文明が衰亡するとき」などを枕詞につけ、理論的説明を求めたのだと思う。今から思うと冷や汗である。
松下塾長は私の言葉を「うん、うん」とうなずきながら聞いており、私の長広舌が終わった後、一言。
「それはな、僕の勘や」
結果から見れば、見事な勘である。ちなみにこれは1982年か3年の時の発言であるから今から20年以上前の話である。
写真は、箱根強羅公園にある白雲洞茶苑。明治時代の実業家で鈍翁と呼ばれた益田孝氏によって建設され、後に電力王で耳庵と呼ばれた松永安左エ衛門に継承された、田舎造りの茶室である。
新緑がまぶしすぎるほどの五月、国をつくるという気概に燃えた明治の経済人を偲びながら、お茶をいただいたのであった。
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