島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

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○小沢対反小沢の根底にあるもの

  民主党内の闘争が盛んに報道されている。「執行部は・・」とか「小沢氏に近い議員は・・」などと報道されることが多いが、そろそろ、小沢対反小沢の報道はやめてほしいと思っている。少なくとも小選挙区で平均10万票以上の票を得て当選してきている議員たちは単純にそれだけでは動かない。

 この戦いの根底にあるのはマニフェスト、政党、総理大臣候補を提示し、国民に選択をせまるという「政権選択型民主主義を重視する政治家」か、いま流行の言葉で言うと、「マニフェストを方便と考える政治家か」の対立ではないかと思う。

 私は東洋大学で非常勤講師として「政治科学」を。サイバー大学で「情報化時代の政治学」を講義している。このブログやツィッターは基本的にこの立場で述べており、第一義的には学生さんたちに読んでもらいたくて書いている。

 そんな縁もあって、小沢一郎氏が東洋大学学園祭で2008年11月3日に行われた「民主党小沢代表1万人ネット会見」にも参加した。」

 08年というと、政権交代があるかもと期待が高まっていたときである。司会者が小沢氏に聞いた。
「一言で言うと、政権交代とは何ですか」

 小沢氏が答えた、
「政権交代というのは一言で言えば、民主主義が定着することになります。政権が変わることによって民主主義が機能するようになります」
 小沢一郎氏は、政権選択型民主主義重視派である。

  官僚主導であった、日本の政治の大きな問題は、誰が責任を持って決断し実行するかという「権力核」が国民の信を得た政治家でなく、官僚にあったことにある。

 官僚政治では、一度決まった公共事業などの既存政策の廃止、子供手当てのようにどこか財源を廃止しなければ財源調達できないようなトレードオフが選択できないような政策選択などは実行できなかった。国民の信を得た、政治家の責任で決断し、実行するこれが民主主義である。
 
 ただし、議院内閣制では議員一人一人では何もできない。選挙で勝利した政党の代表が総理大臣になり、内閣を組織し実行することになる。
 
 政権選択選挙で総理候補、政党、政策の体系であるマニフェストを掲げて戦い、そこに勝利する。選挙に勝利した政党は、任期の間、ひたすらマニフェストの実現に努め、次の選挙で有権者はそれが実行できたかどうかを判断する。このマニフェストサイクルが回ることが民主主義が機能するということである。
 
 09年の衆議院選挙で民主党が勝利したときのマニフェストは、その意味で民主的正当性をもつ。
小沢一郎氏が、政治塾で語った「我々は国民生活を守るんだという名の下に政権をゆだねられたということを自分の胸に問い正さなければいけない」とマニフェスト修正の動きを批判したのは私にはきわめて筋が通った話に思える。

 しかし、10年の参議院選挙では、民主党は44議席しか取れず、第一党は51議席をとった自民党であった。つまり、菅直人総理が党首討論で話した「参議院選挙のマニフェストに書いてある」というのは正当性を持たないことになる。また、マニフェストサイクルはどうしても衆議院選挙による結果を重視する「衆議院内閣制」になる。参議院選挙マニフェストを持ち出した、菅総理は、「政権選択型民主主義」を理解しているのかなとすら思えてくる。

○民主政治は「期限つき独裁」か?
 
 菅直人総理の笑顔は若いときには男性でもフラッと来たというほど魅力的である。これに対し、小沢一郎氏は仏頂面に近い。したがって、強権小沢のイメージだけが付きまとうが、菅直人氏もなかなかである。

 2010年3月16日の参議院内閣委員会。当時、財務大臣であった菅氏の答弁である。
「議会制民主主義というのは、期限を切ったあるレベルの独裁を認めることだと思っているんです。しかし、それは期限が切られているということです。ですから4年間なら4年間は一応、任せると。
よほどのことがあれば、それは途中でやめさせますが。
しかし、四年間は任せるけれど、その後の選挙でそれを継続するかどうかについて選挙民、有権者が決めると」

 この菅総理の答弁は政治学の観点から見れば正しい。しかし、これだけでは総理大臣の暴走である。総理大臣と内閣が「期限つきの独裁」を正当化できるのは、マニフェストを含んだ政権選択選挙によって国民の信を得ているときに限られる。これならば民主的統制が効いていることになる。

 やむを得ぬ事情で衆議院選挙勝利した総理大臣が辞任した場合はどうなるか。後継者は、総選挙で勝利したマニフェストの基本方針を遵守しなくてはならない。それが正当性を持つ根拠となる。したがって、鳩山前総理が「マニフェストを守っていない」と批判することも政治的正当性をもつ。
 
 身縮まるのときは初源をたずねるべしという。現執行部には、玄葉大臣、前原大臣など政権選択型選挙やマニフェスト政治導入に尽力した政治家も多い。ぜひ、原点にもどってほしい。そうすれば、党内対立打開の道も見えてくるはずである。

 そうでなければ、総理を途中でやめさせざるをえない「よほどのこと」が現実になってくる。

○沸騰するインド、中国。日本は扇の要になれるか?

 「モバイルホンを制するものはインターネットを制する」「アジアを制するものは世界を制する」孫正義社長がよく話す将来戦略方針である。

 iPhoneをはじめとするスマートフォンが、いまや就職活動の必須アイテムになっている。海外出張のときでも、スマートフォンさえもっていけば、パソコンを持っていく必要がないほど機能は高度化した。実際、インド出張のときはiPhone一つだった。
 
 インドの人たちが使う携帯電話はそこまで高機能ではないが、伸び率はすさまじい。ソフトバンクはおかげさまで純増トップを続けさせていただいているが、1年での伸びは250万台ほどである。
 
 「インドはすさまじい勢いで携帯が普及しています。以前は、1ヶ月500万台ずつふえていて、毎月、シンガポール1国が増えていると言っていました。いまや1ヶ月で2000万台ずつ増えています」
 ソフトバンクの現地駐在員の言葉である。

 オーストラリアの人口が2100万人。毎月、オーストラリアの全人口ずつ増えているかと思うとすごいとしか言いようがない。人々は、インターネットをパソコンでなく、モバイルホンを通して使うようになる。インド人も同様であろう。
 
 インターネットの黎明期である1998年。世界のインターネット人口は1.9億人。そのうち半分を米国が占めた。2015年、世界のインターネット人口は26億人。そのうち、アジアが50%、米国は12%だろうと推定されている。インターネット人口の半分は中国、インドを中心とするアジアになるのだ。インターネットの時代はアジアの時代であるといえる。

 「アジアは一つ」と高らかに宣言した岡倉天心の「東洋の目覚め」。その中に、日本に伝わる民話が紹介されている。8世紀の洛陽でインド人、中国人、日本人があった。中華の地、そのものから来た人が言った。「ところで、我々がここで落ち合ったのは、さながら一つの扇を造ろうとしているのに似ている。中国は扇の紙。インドから来られたあなたは放射状の骨。日本からきたお客さんは小さいが欠くことのできない要です」

 ジャパンアズナンバー1の頃ならともかく、勃興するインド、中国と衰退する日本を見るとなかなか中国が「日本は要になる」と言ってくれるかどうか怪しい。しかし、日本は「要」になるべく努力すべきと思う。

 インターネットの時代がアジアの時代であり、インターネットの主流がモバイルホンになると話は変わってくる。日本におけるデジタル革命はインド、中国よりも少しだけ先に行っている。日本で成功したインターネットのビジネスモデルをインド、中国に移転する。あるいは中国のモデルをよりインターネットインフラが進んでいる日本で大きく展開する。いわばインターネット経済圏の「扇の要」になることを目指すのは可能性がないわけではないと思う。
 
 そんなことを考えていたらインド人が言った。「このところ、日本人がインドに注目してよく来るようになりました。でも、韓国は10年前から来てます」 
 

 

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