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2000年代初め、私がまだ議員だったころの話である。
サハリンにあるガス田から、パイプラインで日本に天然ガスを引くという構想があった。パイプラインはいったん、北海道に上陸し、再び海の中に入って太平洋岸を南下、太平洋岸にある東京電力の火力発電所に引き込まれることになっていた。
なかなか壮大な構想で、政府もガス会社も本気になり、北海道も盛り上がっていた。だが、この構想は東京電力がノーと言って、立ち消えになった。
いろいろと理由はあるが、本質的なものは、東京電力がこの構想の背後に「秩序破壊」を感じたからだと言われた。「地域を超えたエネルギー融通」が、地域独占の電力体制に疑問が出るのを嫌ったからだというのだ。
まさに「電力業界益」あって「国益」なし。エネルギー安全保障の観点からは残念なことであった。
東京電力は、電力業界カルテルのドンであったし、「自分たちだけがわかっている。自分たちだけが業界の権益をまもらなければならない」と思いこんでいた。 実際、政府も簡単に動かせたし、他の電力は東京電力が右を向けば、右を向いたのだ。
それが、様変わりしている。
松下政経塾の畏友、松原仁消費者担当大臣の朝食会にでた。東京電力値上げ申請にあたり、「国民的消費者目線」で経産省と8.47%値上げでおりあった解説があった。以下、松原氏の言葉である。
「8.47%は、本来もっと下がるべきだと私は思っている。ただ、これ以上下げると、スキームが持たない。公認会計士などからも話を聞いてギリギリの線をだした」
「これ以上、下げるなら結果として税金投入になる。(経営破綻になるの意味?)受益者負担か、国民負担かという議論になるが、私はそれでもいのではと思った」
「ただ、今回、料金以外のところは多く勝ちとった。たとえば、今までブラックボックスだったレート・メイクを明らかにさせることにした。これは、他の電力会社にも適用される」
などなど。
松原節が健在で、なかなか面白かった。
東京電力が、料金値上げできなければ「経営破綻」するかもしれないというのが、現実にあることが、松原氏の話で感じられた。
政治は予測できないからこそ政治である。ということは、業界のドンだった東京電力は常に「経営破綻」する可能性をもっていることになる。
業界秩序を維持してきたドンの弱体化は、業界にとって悪夢だろう。しかし、その先にあるのは、電力改革であり「新秩序」である。これをチャンスととらえれば、エネルギー改革は実現し、日本経済は復活できるかもしれない。
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