|
私が松下政経塾に入塾した1980年代、「ジャパン・アズ・ナンバー1」という本がベストセラーになっていた。当時の日本経済の成長がそのまま続けば、21世紀には日本は経済規模でアメリカを追い抜き、世界一になるだろうというのがテーマであった。
これを今、東洋大学の学生さんに話すとみんな「えーっ」という顔をする。彼らが生まれてから20年、日本は経済成長をしていない。彼らは「成長を知らない子供たち」なのである。このことから、現在のトレンドをそのまま延ばして将来を予測することのむずかしさがよくわかる。
日本は今や衰頽過程に入っていると多くの専門家はみている。
だが、ちょっと待ってほしい。日本はいつも、超大国アメリカや中国と比較するから悲観的になるのである。
「数百年にわたって、国のパワーは経済生産力(GDP)、一人あたりの富、人口の規模、技術基盤、そして政治的安定によって形作られてきた。現状では、民主国家であるかどうかもパワーの構成要因に加えることもできるだろう。
この六つの要因のすべてをめぐって、日本を上回っているのはアメリカだけだ」
GNPと人口の組み合わせを見れば、イギリスは日本の2分の1だし、ドイツ経済は日本の半分に過ぎない。それなのに、イギリスもドイツも国際政治の中で存在感を増している。日本にだってできないはずはない。
イギリス、ブレア首相がが政権交代を果たした時、新たなイギリスの針路を発表した。
「イギリスは(経済において)最大の国でもないし、(軍事において)最強の国でもない。だが、イギリスは最良の国、世界の指針になる国となることはできる」
日本も「最良の国」「世界の指針」となることはできる。実は、「脱原発依存」「再生可能エネルギーで競争力ある経済を」というのは、この思想を基盤にでてきたものである。これも、政権交代で変わってしまいそうなのが残念である。
(参考論文)フォーリン・アフェアーズ
「日本衰退論の虚構
――みえない日本の等身大の姿
Japan, the Never Normal
ジェニファー・リンド ダートマスカレッジ准教授」
|