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2カ月ほど前、旧知の某副大臣から電話があった。「TPPで各国を回ってきた。メキシコを訪問したのだが、面白い動きがある。ペニャニエト大統領が、2013年3月11日に憲法改正案を出した。その中に、通信改革がある。興味はないですか」というものだった。
正直言って、政治家からの話というのは、あまりに長期的すぎてビジネスに直結しないことが多い。だが、この某副大臣は「つねに長期的、総合的、抜本的に考えて大風呂敷に行動している」という私の話を聞いて、電話をかけてくれたようだった。
メキシコの通信市場は世界一の資産家であるカルロス・スリムが率いるアメリカ・モバイルグループが携帯電話の7割、固定電話の8割を占めている。その結果、アメリカンモバイルの携帯電話会社、テルセルは「世界一高い電話料金。電話料金が世界一高いから、世界一の金持ちになるのは当たり前」と言われているそうである。
どうもこれではいけないと、前メキシコ州知事で、国民的女優のアンヘリカ・リベウさんを妻に持つペニャニエト大統領が、政治改革、エネルギー改革とともに通信改革を打ち出したようなのだ。
憲法改正の項目を見て驚いた。
「憲法第6条の基本的権利の強化策として、「表現、情報へのアクセス、情報技術へのアクセスの自由にも基本的権利を広げる。具体的には、正確かつタイムリーで多数の情報にアクセスする権利」とする。
「通信は公益サービスで、競争、質、多様性、カバー範囲、相互接続、自由なアクセス、継続性などが国家によって保障される」
なにか、2009年に我々が訴えていた、「光の道」の基本的理念であった「情報アクセス権」がそのまま、書かれているようにすら見えたのである。
この目標を実行する機関として、憲法上の独立機関として、連邦通信機関(IFT)を創設する。そして、IFTは「電話、インターネットの地域独占網を解体する」とはっきりうたっているのである。
さらには、私たちソフトバンクが提言していた公営の「ネットワーク会社」を立ち上げようとしている
というのである。
IFTの長官や、通信運輸省の次官などにお会いした。その時に、私たちは、2年前に「情報アクセス権をうたい、日本の独占的企業であるNTTのアクセス分離をし、公設民営のアクセス会社をつくるべきと提言した。しかし、道半ばで頓挫した。これから既得権益の大変な巻き返しがあるだろうが、頑張ってほしい」と伝えた。
メキシコシティは海抜2240メートル。早歩きで歩くと高地のせいで、息切れがしてくる。このメキシコの改革が息切れしないように、私たちの「光の道」の英文資料を参考までにとお送りしたのであった。
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