島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

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小説「光の道」 第6回 守旧派対戦うヒーロー

 東京新橋にあるライブテレコム12階に渉外部はある。

最上階三〇階の役員フロアからは随分離れており、社長の宋が足を運んだことはない。本部長を務める井桁が、必要な時だけ会議に呼ばれて説明する。
 渉外部は、JTとの民―民の接続関係を担当する接続課。携帯電話の電波関係を担当する電波課。そして総務省を担当し、松沢が課長を務める渉外課の三課からなる。
総勢、四五名。これに対し、JT経営企画部は持ち株会社、全従業員二五〇〇名のうち、五〇〇名が総務省および政治担当にあたる。アップルトウアップルで比較すれば、渉外部はJT経営企画部の一〇分の一以下の人数でしかない。
 情報収集のためにおかれたテレビは九六年制。薄型テレビ全盛の時代に、大きな図体で場所をとっている。音は消され、画面だけが流されている。

「あっ、早瀬先生」
テレビ夕日のニューズステーションの画面にキャスターの小宮雅子と並んだ、早瀬が座っていた。
「テレビの音をつけて」
松沢が言うと、竹田がリモコンをとった。なかなか大きくならず、テレビのそばまで近づいた。画面には「どうなる、通信の未来。早瀬通信未来懇談会座長、緊急生出演」のテロップが流れている。
「それでは、早瀬先生には十時三五分頃、お話を伺わせて頂きます。最初に国会です」
 やっと、音声が流れた。

「竹田さん、音を小さくして。早瀬先生の出番はまだ後だそうだ」
「はい。でも、早瀬先生は何をいうのでしょうね。総務省の懇談会座長ぐらいで、ニューズステーションが取り上げるなんて珍しいですね」

「早瀬さんは、テレビ夕日の政治トークショーの常連だったからね。顔が利くのだろう。でも、面白くなった。JT組織問題を正面からとりあげるつもりだ。竹村大臣の改革手法は、道路公団民営化のときも、郵政公社民営化のときも組織問題をクローズアップして、守旧派と戦う竹村大臣のイメージをメディアを通じて創りだす。守旧派対、戦うヒーロー竹村大臣、というものだ。そうやって、世論を味方につけて一挙に進める。『竹村劇場』などといわれるけど、その手法をJT組織問題にも使うつもりのようだ。その主役が早瀬先生というわけだ」
「そうなるといいですけど。早瀬先生、これでテレビ番組に出さないようにとJTから圧力がかかって、干されるのではないですか。それに『どうなる、通信の未来』なんて、ニューズステーションにしては、腰が引けていますよ。今日の未来懇談会の勢いなら『JT解体か?』になってもいいはずなのに」

「まあ、でも一歩前進だ。広報に連絡して、録画するように伝えてくれる」
「はい。でも、うちの広報まだいるかしら。記者たちと酒を飲むのが仕事と思っているから」
松沢はニューズステーションの画面に目を向けた。
次の内閣総務大臣とかで、挨拶に行った民政党の中原幸次議員が手を振り上げて、質問しているのが映っていた。

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