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千九百七十四年、総選挙で敗れた保守党は、教育文部科学相の経験しかないマーガレット・サッチャーを七十五年二月の大会で、党首に選んだ。労働党に対して、二度続けて総選挙に敗れていた保守党は、「女性党首」という奇策に出た。いわば、「やけのやんぱち」で女性に頼ったのである。
一九九四年、労働党はサッチャー、メージャーと十数年にわたって保守党に敗北し続けていた。もはや、イギリスでは政権交代はなく、二大政党制ではないとさえ言われていた。そんなとき、党首ジョン・スミスが急死した。ここで、労働党は学生時代にはロック・バンドのボーカリストをしていたという四一歳のトニー・ブレアを党首にするという、これまた「奇策」に出た。おそらく、これも「やけのやんぱち」だったろう。
私が入社してすぐ、ソフトバンクは携帯電話事業に参入した。そのころは、NTTドコモさんのシェアが55%、KDDIさんが25%。買収したばかり、ソフトバンクモバイルのは3番手の16%だった。NTTさんははるかに見上げる存在だった。
当時、NTTさんのCMには一番人気のあるSMAP,KDDIさんは次に人気がある「嵐」が出演していた。芸能界には一業種一社にしかCMに出演しないというルールがあるらしい。どうしても、三番手のソフトバンクモバイルには三番手のタレントになってしまう。
孫社長は二千六年、「十年以内にNTTさんを抜きます」という目標を掲げていた。それにはいつまでも三番手のイメージではいけない。しかし、既成概念のタレント起用だと、どうしても三番手のタレントしか来ない。
そこで「やけのやんぱち」で、「犬と外人」に頼ったのである。
おかげさまで、お父さん犬こと白戸次郎は国民的アイドル(?)となり、ソフトバンク飛躍の原動力となったのはご存知の通りである。
さて、野党第一党の民主党である。海江田万里前代表の落選という危機にあたり、とるべき方策は「やけのやんぱち」の代表選出しかない。
党員、サポーター23万人が投票し、一月十八日に決定との事だが、この仕組みは「やけのやんぱち」の選択がしにくい方式である。党勢低迷の民主党である。党員、サポーターは実は、組合員などの組織加入が多い。結局、無難な候補のほうが優勢になるのだ。
「やけのやんぱち」の決断ができるかどうか。民主党の決断を見守りたい。
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