島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

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 東洋大学での講義はケインズ、シュンペーター、ドラッカーなどの経済学、経営学を基盤にしながらソフトバンクでのビジネスの経験から得られたことを話している。

 孫社長は「営業は科学である」という。営業と言えば体育会のノリの単なる根性論と思われがちだが、ビッグデータを駆使し科学的に分析し戦略を練っている。これを私なりにさらに深めると「営業は行動科学である」ということになる。

 行動科学、行動経済学が世に知られるようになったのは2002年、プリンストン大学のダニエル・カーネマン教授がノーベル賞をもらってからであろう。
 行動科学を一言で言えば「経済は勘定でなく感情で動く」というものである。

 人間の決断、行動は合理的推論や計算だけでなく、感情や直感によって影響される。ところが、標準的経済学では人は合理的な計算や推論によって行動を決定する「経済人」(ホモ・エコノミカス)と想定されている。
 経済政策が誤るのは「人情の機微」を理解しない、つまり行動経済学に依拠していないからである。これが「政策デザイン」を流れるテーマである。したがって、前半部は「公共政治学」を講義し、後半部は「行動科学」を講義している。

 ということで、先週火曜日の講義でこんな学生さんにしてみた。

「あなたは今、値段はかなり高いが豊富な機能のついた携帯電話(スマートフォン)を使っている。親がリストラにあい、経済状況が厳しくなりました。あなたは、値段の安い基本的な携帯電話に買い換えたいですか?」

 結果は9対1で、そのままスマートフォンを使い続けると言うものだった。

 カーネマンは「今、持っているものを失うことは痛みが大きい」という。新しくスマートフォンを得たときの喜びよりも失ったときの痛みが大きいというのだ。

 「自分が所有するようになったら、所有物に高い価値を感じる」これを保有効果と言い、人間は損失回避の行動をとるとダニエル・カーネマンは言う。学生さんも納得していた。講義終了後「行動科学って面白いですね。先生はどこか他で行動科学専門の講義をしていないのですか」と聞きにきた学生がいたほどだ。

 ところで、保有効果の実例としてヤフーBBがADSLのモデムを無料で配布していたことを話した。だが、だれもそのことを知らず「ポカン」としていた。彼らはそのころまだ4−5歳だったのだ。

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