島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

政権交代の品格

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 民主党2009年マニフェストに「国の総予算207兆円を組み替え、税金の無駄使いと天下りを根絶します」とあり、その1丁目1番地に「八ツダムは中止」と書いてある。

  ところが、「群馬県八ツ場ダム建設中止を撤回、予算が計上された」と読売新聞にある。コンクリートから人へという、民主党マニフェストの象徴がまたしても否定されようとしている。

 私は単純に、マニフェストに書いてあるから守るべきだと言っているのではない。民主党の2009年マニフェストが支持され、地滑り的な勝利がもたらされた原因をもう一度、考え直すべきだと思うのである。

 2005年の郵政解散総選挙、09年の政権交代選挙と民意は大きく動いた。無党派層というより、選挙のたびに政党支持を変える「そのつど支持層」が増えている。先の大阪ダブル首長選挙もその流れにある。

 なぜそうなるのか。自民党の55年体制を支えてきた安定した中間層が、将来の生活を展望できなくなったからである。将来を見通せる時、人は「安定」を求める。ところが、将来に不安がある時、人は「変革」を求めて大きく振れるのである。

 自民党55年体制下のときは、多くの人が年功序列、終身雇用であった。だから、そのころは、公務員の天下りも大目に見てきた。ところが、今は、「なぜ、公務員だけが」と思えてくるのである。

 公共工事も同じである。成長が右肩上がりのころは、大型で長期の公共工事をもらって、安定した経営をする土木建設会社、さらにはそこに天下る官僚も大目に見てきた。だが、グローバル経済では競争も激しく、無駄は許されない。「なぜ、土木建設業だけが、政治と癒着して甘い汁を吸うのか」と多くの中間層が思っていたのである。

 民主党は「改革勢力」であり、公正で公平な日本をつくってくれる。そう考えた有権者は、総体としてのマニフェストを支持した。

 現に民主党の政治家たちは、自民党と比較して総じて清貧であり、クリーンである。政治にお金がかからなくなったことは政権交代の大きな意味であったと思う。

 
 「事窮まり、勢縮まるの人はまさにその初心を原(たず)ぬべし」(菜根譚)という。なぜ、有権者は民主党を支持したのかをもう一度考え直さないと、また中間層は大きく振れる。日本の将来を考えた時、あまりに大きな振れはけっして望ましいことではないのである。
  

 戦後まもなく「三等重役」という言葉がはやった。戦争協力者ということで、創業社長やオーナーが公職追放され、繰り上がりで工場長クラスが社長や、重役になったことを揶揄したものだ。

 「重役には三種類ある。一等は創業者等の資本家階級。二等は、エリートコースを進んでなるべくしてなった人。三等は戦後の財閥解体・追放で空白ができ、仕方なくにわか重役になった人だ」

 今回の野田内閣を見ると、創業者である鳩山氏や菅氏、小沢氏のトロイカ体制から脱皮したせいで、空白ができ、繰り上がりで主要大臣になってしまったような人が何人かいる。失礼かとは思うが、元同僚として遠慮なく言えば、「三等大臣」で構成された「三等大臣内閣」とのように思える。

 しかし、重要な事は戦後の日本経済の繁栄は、三等重役たちが担ったということである。三等重役は結果として大幅な世代交代となった。十歳以上若返り、40代、50代の重役、社長たちは粉骨砕身、企業の復興と日本経済の復興、創世に没頭した。これが、経済大国、日本を生んだのである。

 また、40代、50代の時に社長、重役となった人々はその後、長期間にわたって経営権を掌握し、長期的に日本経済、日本企業をリードした。今回、若くして大臣になった人たちが、菅直人、鳩山由紀夫氏の年齢になるまで10年以上ある。日本政治家のキャリア・マネジメントしても望ましい姿であると思う。

 私は、「三等大臣内閣」、とくに元同僚であった四十代、五十代の大臣にきわめて期待する。ただ、注意してほしいのは舌禍事件である。主要大臣になった人が若い時に「嶋さん、、原発を誘致したところではクジラをとっていたんだ。クジラ捕りは危険だ。クジラで死ぬのと、原発で死ぬのとを比較したら、確率は原発の方が低い。だから誘致したんだと聞いている」と面白可笑しく話したことがある。サービス精神から話したのだろうが、「綸言汗のごとし」の地位についたら、サービス精神は注意してもらいたい。

 国民の幸福は選ばれた政治家、大臣がいかに自らを修養するかにかかっている。大臣の言は重いことを自覚していただきたい。

  「大臣の職は、大綱を統(す)ぶるのみ。日間(にっかん)の瑣事(さじ)は、旧套(きゅうとう)に遵依(じゅんい)するも可なり。
 但(ただ)人の発し難きの口を発し、人の処し難きの事を処するは、年間率(おおむ)ね数次に過ぎず。紛更労擾(ふんこうろうじょう)を須(もち)ふること勿(なか)れ」「言志録」51

 小さな事にこだわらず、大きな方針と肝要なところだけをおさえる。ただし、人の発しがたき言葉を発して歴史をつくってゆく。それが大臣の仕事であるという意味である。

 自らが、発展途上の「三等大臣」であることを自覚して「三等大臣」でしかできない、思い切ったことを発言し、実行してほしい。どうせ、来年九月には代表選がある。したがって、任期は一年である。

 戦後の三等重役たちは、社長、重役になっても一等車に乗らず、三等車にのって駆け巡り「三等車にのった一等重役」と後に評せられた。三等大臣が近い将来、一等大臣と評せられることを切に希望したい。


 

 
 


 

 民主党政権が「改革の1丁目1番地」としてきた、地域主権戦略大綱が21日の地域主権戦略会議でまとまった。マニフェストでも掲げられた「ひもつき補助金の一括交付金化」は明記されて一歩前進のようにはみえる。

 しかし、「戦略は細部に宿る」ことを忘れてはならない。

 原案にはあった「地域が自己決定できる財源」との記述が各省庁の抵抗で削られた。「民主党政権、恐るるに足らず」。官僚の高笑いが聞こえるような気がする。

 「改革の時計の針を遅くしよう、あるいは逆向きにしようという思いが強まっている。それならば、なんのために新政権をつくったのか。その意味がまったくうせてしまいかねません」

 鳩山前首相は4月の地域主権戦略会議でこう述べた。鳩山首相は地域主権の確立を「改革の1丁目1番地」と私が代表補佐役の時代から言っていた。これに対して、各省が抵抗するのは当然である。地方をコントロールする権限を失うからである。

 これに呼応するかのように原口総務大臣は、インターネットで公開されている政務三役会議で「大綱の内容を決めるのは戦略会議であって、各府省庁にその権限はない」と一貫して述べてきた。

 省あって国無し、大臣がともすれば各省庁の代理人になった自民党時代の政策決定システムを脱却するのが民主党政権が目指したものである。
 首相が議長をつとめる地域主権戦略会議で決めるとは、官僚主導では決められなかった国を考えた意思決定を、首相の責任と権限で決めるという事である。まさに、政治主導ならではの挑戦であった。

 これが、いつのまにか骨抜きになった。各省が巻き返したのは仙谷官房長官が週末の19日、20日に大綱について各省の了解をとるよう調整を支持したからだ。これでは調整型の自民党政治に逆戻りである。

 管政権は、鳩山前政権が官僚をうまく使いこなせなかったのが政権崩壊の原因と分析し、官僚に過度にすり寄っているように見える。政治はふりこのようにいったり来たりするので、ある意味同情もするが、なにか釈然としない。

 政権交代は選挙によって果たしたが、その後は官僚の意のままというのでは、形式上の支配者は変わったが結局何もかわらないということになってしまう。

 鳩山前首相の発言を再び。
「それならば、なんのために新政権をつくったのか。その意味がまったく失せてしまいかねません」

 

 普天間問題、福島消費者担当大臣の罷免による社民党連立離脱で、メディアには「首相責任論」の言葉が踊っている。ブレが出やすい電話による緊急世論調査では朝日19%とNHK21%と支持率はさらに下がったので、今週の永田町はにぎやかになることだろう。

 私はそれでも「鳩山政権を支持する」し、鳩山首相は躊躇する事なく次期総選挙まで首相の任を全うすべきであると思う。それは巷間言われているように私が元側近であるというからでない。有権者が総選挙を通じて307議席を民主党に与え、政権交代をなしえたという鳩山政権の歴史的意義が損なわれてしまうからである。

 首相が代わるのはあくまで総選挙をであり、選んだら次の総選挙まで4年間はしばらくやらせてみるというのが成熟した民主主義の姿である。イギリスなどとくにそうで、首相は基本的に総選挙で敗北しない限り、その座にすわる。この慣習が中期的な視野にたった改革を可能にし、イギリスを復活させたのである。

 イギリスには首相の任期途中に代表選挙などない。マスコミや野党も有権者がマンデートを与えたからには多少のことに目をつむって長い目で任せてみようと考える。

 支持率が低いので首相を変えるなどというのは自民党という永久与党が短命政権をたらい回しにするという発想である。渡辺副議長がその趣旨の発言をしているというのを聞いて、失礼ながらまさに古いタイプの政治家の発言であると感じた。ブレが多い支持率が低くなるというので首相が変えられたら、それこそ短期では痛みを伴うが中長期的には日本にとっていいという不人気な政策はいっさい採用されなくなる。

 だいたい、電話緊急世論調査というのは小泉内閣の頃から始まったにすぎない。わりと手軽な方法なので緊急に調査ができる。支持率が低い事が報道されると支持すると答えにくくなり、不支持がどんどん増える。福田(19%)。麻生(13%)となった。逆に高い支持にどんどんなったのが小泉内閣であった。小泉内閣の功罪は冷静に考えたい。

 もちろん、政権を担う官邸側にも調整力の弱さは即座に反省し、強化すべきであろう。政治主導確立法案が成立していない事情はよくわかるが、イギリスのように首相の補佐機能がきちんとしていないとまた混乱をまねく。

 今回の「鳩山おろし」の動きを見ていると、02年秋の鳩山おろしの動きをデジャブーのように思い出す。02年9月の代表選挙で勝利をえた鳩山代表が幹事長人事でメディアの批判をあびる。支持率の低下におびえた政治家たちが批判を繰り返す。NHKニュースを見ていたら、02年のときに批判を繰り返していた同じ政治家がまた批判していた。最後は鳩山代表が自由党との合併推進に単独で乗り込んだ事を批判され、辞任。後継は菅直人氏であった。

 代表の補佐機能が不慣れで機能しずらかった事も今に似ている。それまで代表室長だった小沢さきひと氏、そして次長で政策担当だった私も次の内閣の総務大臣となり、代表室を離れていた。代表を補佐する代表室は優秀だが不慣れな議員たちで構成され、それが事態をさらに悪化させたのである。

 その後、辞任の原因となった「自由ー民主」合併は菅直人代表のもとで実現され、民主党を躍進させる。小沢一郎氏の豪腕がなければ、日本に政権交代がなされたかどうかわからないし、そのために鳩山代表が動いていた事を知る人も少なくなった。

 「菊作り 菊見るときは 陰の人」鳩山氏が自由ー民主合併が実現された頃によく挨拶で使っていた句である。

 普天間問題はまだ交渉中の案件である。日米安全保障条約が破棄を通告されたという事態ならともかく、首相記者会見にもあるごとく「政府は普天間飛行場返還の為の代替施設の建設と沖縄の負担軽減に向けて邁進していく」と宣言している。

「どんなに時間がかかっても、日本の平和を主体的に守る事ができる日本をつくって行きたい」「沖縄の基地問題の解決もその先にあると私は思っている」という首相会見の方向性は正しい。外交交渉には時間がかかるし、マックス・ウェーバーではないが「堅い堅い板にじわりじわりと穴をあけていくような」ねばり強い努力が必要なのである。それは1年に満たない時点で評価されるべきものではなく、4年の任期終了時に総選挙により、国民が判断するものなのである。

 

機密費の問題について浅尾議員の発言がもとでツイィッター上で議論になっている。

浅尾氏が指摘する「官房機密費が選挙対策費に使われているのではないか」という噂は、01年6月に私が民主党機密費改革ワーキングチーム座長として機密費流用防止法案をとりまとめていたときにもたしかにあった。ただ、それはあくまで前政権のときの事である。

機密費について小泉純一郎首相と鳩山代表が党首討論で戦った。そのとき小泉氏が言った言葉が忘れられない。

「機密費というのは公開できないから機密なんですよ」

私の10年以上も前のメモなどでもう変わっているかもしれないが、当時の官房報償費、機密費の政府見解は以下のようである。

「国が国の事務または事業を円滑かつ効果的に遂行するため、当面の任務と状況に応じ、その都度の判断で最も適当と認められる方法で機動的に使用する」となっている。

これを拡大解釈すると、法律を通す為に機密費を国会対策費として使うのも可能になる。国=政府が、立法ができず国の事務が滞る行けないので「事業を円滑に進める為」に機密費を使えるのだ。

政権交代がない時代は、自民党=政府だった。野党は、不逞の輩であった。「野党に選挙を勝たせると国の事業が円滑に遂行できないので選挙対策に機密費を使うのかな」という冗談がワーキングチーム内でされたこともある。

そこで、機密費改革ワーキングチームでは、報償費(機密費)を機密費と一般経費にわけ「機密費」の定義を「国の安全、外交、国の重大利益などに関わる活動に使用する経費」とした。

昨年、機密費改革が話題になった。そのときに平野官房長官に当時の経緯を含め、説明の電話をしたことがある。平野官房長官も民主党が機密費を使用した場合、使用者、金額を明記した文書を作成し、気密性の高いものは25年、それ以外は10年で公開するという法案をだしたことは十分理解されていた。したがって、浅尾氏がジャーナリストから聞いたという話は信憑性としてうすいのではなかろうか。それこそ、そのジャーナリストは誰かという事が問題になるぐらいである。

なんにしても、ツィッター上で機密費が大きな議論となり、機密費改革が進むのは望ましい事と思う。




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