島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

松下幸之助に学んだ政治経営学

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 塾生が聞く。「私たちは成功できるのでしょうか」「君たちが成功できるかどうかわからん。しかし、成功のコツはあるんやで」松下幸之助塾長の言葉に塾生達が緊張する。

 今でこそ、衆参国会議員30名以上、知事2名などを出している松下政経塾である。だが、私が入塾した2期生のときは実績もなかった。いくら勉強しても本当に政治家になれるのだろうかとだれもが不安に思っていた。

 それどころか、当時は終身雇用システム。私なども実家に帰ると「今からでも遅くないから松下電器にいれてもらえ」と両親にいわれる状況であった。

 そんな漠然とした不安が、「私たちは政治家を目指したり、経営者になろうとして必死に研修しています。でも、本当に政治家になり、経営者になり成功できるのでしょうか」という質問となって出た。

 この質問に応じて、経営の神様、松下幸之助塾長が、「成功のコツはある」と言う。塾生達は皆、一言も聞き漏らさないようにと緊張した。後で聞いたら、「このコツを聞いたら松下政経塾をやめてもいい」と考えた塾生も何人かいた。
 
 松下塾長が水を口にする。塾生達をぐるっと見渡した。一瞬の沈黙。

「成功のコツ。それはな、成功するまでやめんこっちゃ」

 正直言って、そのときは「なあんだ」という思いであった。

 しかし、衆議院議員を九年つとめソフトバンク社長室長として経営に参画するようになった今、この言葉の重みをひしひしと解るようになった。

 「成功の要諦は成功するまで続けるところにある」

 写真は、松下政経塾二年生のころ、二四歳の時である。後ろには長浜参議院議員、河内山哲朗柳井市長の姿も見える。

 当時の政経塾は一学年一五名程度。論語に門人が孔子の周りを囲むような形で一問一答し、修行する姿がある。松下政経塾も同じで、塾生が松下幸之助塾長に質問し、答えをいただいた。

 この写真を見て、再び原点に戻り、自分の人生をリブート(再起動)させたいという決意を固めている。

 ところで、もう一つ決意を固めたことがある。写真を見ると私も今よりスマートである。一〇七歳まで生きるためには「ウォーキング」は不可欠という決意を再び固めたのであった。

 

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 ソフトバンク決算発表会、孫社長は「インターネットの中心はアジアへ来る。アジアを制するものが世界を制する」との趣旨のことを語った。私はデジャブー(既視感)を感じた、松下幸之助塾長も「21世紀の繁栄はアジアにある」と語っていたのだ。

 孫社長がインターネットに着目し、「100年に一度の大変動期」と認識したのは20世紀の終わりである。1998年当時、インターネット人口は1.9億人。そのうちアメリカが50%をしめ、アジアは19%にすぎなかった。

 インターネット人口は、2015年には約26億人になる。そのとき、アメリカが12%であるのに対し、アジアは50%になる。とりわけ中国の発展がめざましいものとなるのだ。したがって、「インターネット革命」をアジアから起こすために今後、アジア、中国に力を入れるというのが孫社長の主張である。

 これに対し松下幸之助塾長は「世界では繁栄が回っている、エジプトからローマに、そしてヨーロッパ全体に広がって、次にアメリカに移った。次の繁栄は日本に来る、アジアに来る。その繁栄を受けて立つだけのものを、今から用意しておかなければならない」と語る。1980年代の事である。松下政経塾設立趣旨の一つが、アジアの時代の人材を養成するために設立するというものであった。

 松下政経塾時代、私は「塾長はアジアの時代が来ると言われておりますが、その理由は何ですか」と聞いたことがある。たしか、トインビーだとか、高坂正堯先生の「文明が衰亡するとき」などを枕詞につけ、理論的説明を求めたのだと思う。今から思うと冷や汗である。

 松下塾長は私の言葉を「うん、うん」とうなずきながら聞いており、私の長広舌が終わった後、一言。

「それはな、僕の勘や」

 結果から見れば、見事な勘である。ちなみにこれは1982年か3年の時の発言であるから今から20年以上前の話である。

 写真は、箱根強羅公園にある白雲洞茶苑。明治時代の実業家で鈍翁と呼ばれた益田孝氏によって建設され、後に電力王で耳庵と呼ばれた松永安左エ衛門に継承された、田舎造りの茶室である。

 新緑がまぶしすぎるほどの五月、国をつくるという気概に燃えた明治の経済人を偲びながら、お茶をいただいたのであった。

 



 

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 「野党はなぜ反対ばかりしているのか」「与野党協力すればいいではないか」という発言をワイドショーなどでよく聞く。政治家時代、私は「野党の役割は与党への批判にある」として、何をアマチュアが甘いことを言っているのだと思っていた。だが、民間に転じてみると、なるほどと思う。

 松下幸之助が「政党は互いに非難中傷する競争をするより、国民に良い政策を訴える競争をすべきだ」と塾生達に語っていた。

「我々、企業経営者は他の業者を悪く言わない。けれども、こと政治になるとみんな悪く言うておる。あれおかしいと思うな。(略)

 そやから今度、諸君が立候補するとなると演説をやらなならん。そのときには皆が感動するような相手の長所を調べて、相手の党はこういうことこにいいところがあるとほめたらええんや。『しかし、私らの考え方にはそういうものも入っています。そして味がさらによくなっています、だからよりいっそうよろしい』と、こういう風に話した方がええと思うな 」

 松下政経塾出身の民主党政治家が対案主義をとるのはこんなところに原点がある。


 野党の存在意義は、与党の案に対して反対の立場から対立意見を出す。政党は社会勢力のある部分を代表するものだから、政党の対立は国民の対立である。この対立の中から正しい結論が出るというのが教科書的な答えである。

 しかし、実際の国会ではこのプロセスは働かない。法律は、与党審査の中で細かいところまで決められている。国会での法案修正がされることはほとんどない。

 したがって、与党はとにかく法律を出来るだけ早く国会を通すことを目標にする。野党はとにかく、非難をするだけ。しかも、政策内容より、審議が止まる可能性が高い、スキャンダル中心ということになるのである。現に私も予算委員会でスキャンダルを追及していたことがある。

 国会において法案修正するという習慣をつけなければ、国会議論は品格が低いままである。ドイツ国会を訪問したとき「国会で法案修正をしないなら、国会で議員は何をしているのか」といわれ愕然としたことがある。

 松下政経塾出身の民主党議員は、なんとか対案主義をねづかせようと頑張ってきた。今のところ、民主党は対案主義をすて、古典的な野党の役割(?)に回帰したようである。
こんどつくるマニフェストはぜひとも「政党の善政競争」であって欲しい。

 箱根に行き、新緑を体一杯に感じてきた。イロハモミジの若葉に光が透け、全体が緑にぬれ、木漏れ日まで緑にいろづいて見えた。新緑の中で日本の政治と日本の将来を考えた。





 




 

 松下幸之助が塾長として政経塾生を選ぶとき、その基準は運と愛嬌であった。ゴールデンウィークの書店に行くと、松下幸之助氏の本が並んでいる。直接、教えを受けた身として「松下幸之助の政治経営学」をこのブログでも少し書いてみたいと思う。

 東洋大学で、政治科学Iの講座を担当している。学校行事の関係や、祝日が入ったりして、まだ二回しか講義していない。ただ、第一回の講義の時に、多くの学生さんが注目したのは、松下政経塾の選考基準は「運」と「愛嬌」であるというものであった。

 愛嬌がなければ、人はよってこないし、人も助けてくれない。だから、愛嬌というのはよくわかるし、面接でわかるだろう。しかし、「運」というのは短い面接で分かるのか。松下幸之助塾長にある新聞記者がきいたところ「私にはわかる」といったそうだ。

 私も松下政経塾に二期生として入塾した。だから松下幸之助塾長に運と愛嬌があるとお墨付きをいただいたことになる。

 たしかに、政治家の二世でもない私が、第一回の小選挙区制度選挙で、小選挙区に勝利し衆議院議員になり、九年つとめた。次の内閣総務大臣や代表補佐をつとめた。

 郵政選挙で民主党は惨敗し、私も議席を失ったかと思ったら、孫正義社長の補佐としてソフトバンク社長室長に転身した。ソフトバンクの業績は、私が入社した二〇〇五年には1.1兆円の売り上げで、営業利益赤字であった。入社後三年で、売上高三.六兆円。営業利益は三五九一億円。これは日本企業の中の一一位である。

 私が何かしたというわけではないが、ソフトバンクに松下幸之助、お墨付きの「運」を持ってきたのではないかと思っている。

 これも松下幸之助塾長のことばである。「成功した理由は」との問いに「1%の汗と、99%の運」と答えた。私の今までの人生も、なにかそんな気がするのである。
 

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