島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

松下幸之助に学んだ政治経営学

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 松下政経塾塾生が密かにおそれる研修がある。それが「百キロ行軍」。茅ヶ崎の松下政経塾を午前0時に出発し、三浦半島を一周して、二十四時間以内に帰ってくるというものである。自衛隊の幹部に聞いたら、「自衛隊でもそんな長距離を一挙に歩かない」とのことだった。

 ゴールデンウィークに箱根に行った。家内に「政経塾の時に、三島神社から箱根を超えて小田原まで歩いたよ」といったら「何で、そんなことするの」と聞かれた。「十二月に百キロ行軍というのがある。三島から小田原まで三十数キロだから、その予行演習」「ますますわからないわ。百キロ歩いてなにかいいことあるの」

政経塾生は、毎朝三キロ近く走っているし、試験には体力試験もあるので決して柔ではない。だから茅ヶ崎を出発して横須賀を通過し、城ヶ島あたりまではけっこうウォーキング気分。時速六キロぐらいで歩ける。

 しかし、それからが大変なのである。膝に来るし、マメはできる。マメをかばって歩くと、膝が完全に故障し、落後したりする。進行速度は時速四キロまで落ちる。

 葉山のご用邸あたりでは、疲労から外見をかまっていられなくなった塾生たちが次々と来る。怪しいとして職務質問を警察から受けたりするものもいる。これ以降、茅ヶ崎までは時速二キロぐらいになる。

 足もあがらなくなる。歩道橋など、「なんでこんなものを作ったのか」と呪いたくなる。
車道と歩道の少しの段差が気になったりするのである。少なくとも体の不自由な方に日本は住みにくいことを実感するには良い研修である。

 途中落後すると「根性がない奴」と見なされる。私の頃は体育も科目にあり、百キロ行軍が一つの試験であった。途中リタイアすると、来年もう一度歩かなくてはならなかった。

 三十年前の私のアルバムに、一枚の賞状が貼り付けてある。百キロ行軍、塾生トップ賞。
そのころはもう少しスマートだったのである。

 塾生達からは常に「百キロ行軍をなぜするのか」という疑問が出ると聞く。そのたびにOBたちの「私たちもやったのだから」という圧力で続いてゆく。よき伝統なのだろう(?)

松下幸之助と書道

 松下政経塾の寮には松下幸之助塾長直筆の「素直」という色紙がかけてある。松下幸之助塾長は小学校四年の一一月二三日までしか学校にいっていない。大阪に奉公にいくので、小学校を中退したわけだ。だが、この「素直」という字はやはり味がある。

 また、名前の「松下幸之助」は秘書を務めた人によると、何度も練習していたのだそうで、見事な字である。

 政経塾生は、週に一度、書道を学ぶ。行書は王義之の「蘭亭序」で学んだ。王義之は東晋の時代、書体、書道具などが取りそろった時代に活躍した。昨年、江戸博物館で蘭亭序、八柱第三本をみた。唐の太宗皇帝が書き写させたもので、清時代には乾隆帝が所蔵していたものである。

 書は今も続けている。前議員会といい、衆議院議員をつとめたものが、月に一回議員会館で先生から書を教えていただくのだ。大先輩ばかり、大臣経験者ばかりの中に、五一歳の私が入ってまさに五十の手習いをしている。

毎年、銀座で開かれる同好の展覧会に作品を出品している。一昨年は「人生意気に感ず」、昨年は「諸悪莫作 衆善奉行」(悪をする無かれ 善をなせ)を半切、聯の作品で出した。
家内に言わせると「あなたは、小さな字はともかく大きい字はうまいね」とのことだ。

 松下塾長にならって「素直」を書いてみたいと思っている。塾長の域に達するのはむずかしいだろうが。

 「たとえ二ヶ月でも、見習いに来ているという考えではいかん。たとえ一日でも手伝いにいけと言われたら、なりきってやらなければいかん」松下政経塾入塾後、まちの電気屋さん、ナショナルショップへの販売店実習の前に言われた言葉である。

 今から三〇年前になる。私は日吉(神奈川県)の普通部通りにある手塚電気店に販売実習生として預けられた。六月、七月のことである。エアコンの取り付けの助手や、冷蔵庫の運び出だしの補助などから始まった実習だったが、政経塾では「なりきって」実際に電器製品を訪問販売することも実習の一つだった。

 政経塾入塾後、「みなさんは将来の日本、世界をどうするかを考えて欲しい」などと有名講師の講話をたくさん聞いてすこし私の鼻が高くなっていた。「電器製品を売れないようではなにもできない」から訪問販売を是非やらせて欲しいとお願いし、一日五〇軒の家を回ることにした。

 それが、甘かった。「ごめん下さい、手塚電器です」というと、知られた電気屋さんだけ会って戸は開けてくれる。しかし、考えると当たり前だが、「エアコンやテレビいりませんか」と言って買ってくれるはずがない。最初の一か月売れたのは、電池や蛍光灯ばかりだった。店員が男性三名、女性二名といた。朝会で報告するのが苦痛だったものだ。

 最初にやっと売れたのは、一ヶ月と少したった七月のはじめ。商品は「大根おろし器」。何度も訪問するので可哀想と思った奥さんがたぶん、同情で買ってくれたのだと思う。名前も福島さんとしっかり覚えている。ただ、朝会での売上高グラフではうっすらと赤の線が引かれただけであった。

ところが、この大根おろし器が転機となる。七月でボーナスシーズンのせいもあったのだろうテレビだとか、発売されたばかりのビデオ、森昌子がCMしている電子レンジなど次々と売れ出したのである。

何でもすぐにあきらめることなく継続してやらなくてはいけないと私が悟った(?)原点が日吉にある。

さて、娘が慶應義塾大学に入学した。慶應義塾大学は日吉にある。そこで、懐かしい手塚電器を訪問した。ひょっとしたら、時代の流れと共に「手塚電器も・・」と思ったのだが、三〇年たつ今も存在していた。というより、デジタル家電が並べられ、益々繁盛しているように見えた。変わったのは一緒にエアコンをつけていた専務が社長になったぐらいのものだ。

このブログも継続が大事だと思う。みなさん、よろしくお願いします。

松下幸之助と掃除

「君たちにやってもらいたいことがあるんや」政経塾、入塾して二ヶ月の松下幸之助塾長講話である。私を含む塾生達は身構えた。「日本の改革のための維新」とか「新党結成で政治大改革か」とか一瞬、思ったのである。

まだ、私が二二歳のとき、三〇年前のことである。ちょうど五月で、政経塾の庭はさつきがきれいだったことをはっきりと覚えている。
「それはな・・掃除や」

正直言って、なんとなくがっかりしたことも思い出す。
「みんな、掃除をやってるやろ。それを完全にできてるか。掃除ひとつできないような人間だったら何もできない。そんな簡単なことと皆さんは思うかも知れませんが、本当は掃除を完全にするということは一大事業です。百貨店に行っても掃除の行き届いている百貨店と、行き届いていない百貨店は違う。掃除がどことなくお粗末な百貨店ははやりませんわな」

政経塾は全寮制。朝、六時に起床して掃除をするというのは日課である。しかし、「なぜ掃除をしなければならないのか」という議論が塾生達の中にあった。この年になり、経営に携わってみると松下塾長の言ったことの重みがよく分かる。

私が政経塾の指導塾員だったとき、塾生の中で「なぜ、朝早く起きて、掃除をしなければいけないのか」という議論があった。掃除は誰かに任せて、その時間も勉強したいというのである。
その中で、勉強は決して好きではなかったが、素直に毎朝、愚直に掃除をしていた背の高い青年がいた。「トイレの水を飲めるようになるまで掃除する」とかいって一生懸命だった。

後に、その男は衆議院議員から横浜市長になった。いうまでもなく、後輩ながら誇りに思っている中田宏さんである。

ゴールデンウィークが終わる頃、松下政経塾では2泊3日の円覚寺座禅修行が行われる。
茅ヶ崎にある松下政経塾から鎌倉まで約10キロの道のりを歩いて円覚寺まで行く。修行だから当然であるが、歩くのは湘南海岸沿いの国道253号線。青春のメッカであり、同世代の若者の楽しむ姿を見ながら歩いていく。

 円覚寺は、元寇に臨んだ北条時宗が両軍死者を弔うために建立された。すでに30年以上前になるが、私にとっても座禅というのは初めての経験であった、2泊3日では参禅のまねごとをするだけに終わるしかないのだが、禅道場の厳しい修行をかいま見ることが出来た。

  政治家時代を振り返ると日々、多忙すぎると思う。忙しいというのは「心を亡くす」と書く。政経塾での座禅修行は政治家になっても、座禅をして心をすえてかかるための導入教育だったと思える。

 長時間の座禅が苦しいので、経行(きんひん、座禅のつかれをとるため軽いジョギングのようなことをする)や作務(掃除などをする)が楽しみだったことを覚えている。

 政から民に転じて、再び座禅修行に円覚寺に通い出した。といっても第1週に行われる足立管長の法話と座禅会に参加することをペースメーカーとして、後は自宅で1日1?夫座ることを目標としている。

 足利尊氏が酒を飲んだときでも、かならず1?夫(約30分)座っていたそうだが、それに倣ったものだ。

 ただ、マンションの1室では、線香の臭いがこもりすぎる。円覚寺で買った「伽羅」の線香なのだが、家族に評判がよくない。そこで東京ミッドタウンで「宵桜香」を買ってきた。こちらは桜のにおいだし、短いので約15分で終わる。これなら続けられそうと喜んでいる。

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