島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

松下幸之助に学んだ政治経営学

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戦後70周年の本日に当たり思い出す松下幸之助塾長の言葉がある。「調和共栄・・指導者は人間みな兄弟の思いをもたなくてはならない」
「四方の海 みなはらからと思ふ世に など波風のたちさわぐらむ」明治天皇の有名な御製である。天皇がこれを詠まれたのは明治37年、日露戦争のときと知って松下塾長は言った。
「明治天皇のお気持ちとしてはやむにやまれぬ理由で敵味方に分かれて一戦を交えているとはいえ、本当はお互いに人間として調和共栄していこうとの思いを現されたものと思う」
 安全保障法制の議論で中国脅威論が強調される。だが、実際の安全保障政策では中国へのそなえは多くない。集団的自衛権行使の方便として中国脅威論を唱え、それが東アジアに緊張をもたらしている。
 中国のGDPは10年に日本経済を追い抜き、昨年は2倍となり、再来年には3倍となる。本来は相互依存を強め、互いにどうメリットを享受するかに知恵を絞るときである。財界は沈黙を決め込まず、一歩先の世界認識を示すときである。
安倍第一次政権の二千六年頃も東アジアは緊張していた。その頃の孫社長の言葉である。
「政治的にはいろいろたいへんなのでしょうが、日本の姿、日本人の生活をたくさんのアジアの国の人々がインターネットを通して見られるようにしたい。顔を見て、生活を見て親近感を覚えている国にミサイルを撃ち込もうなんて考えないでしょう」
平和戦略としての「相互依存」を進めて行きたい。9月には中国で講演をさせていただく。
 
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「ソフトバンクグループが、傘下の米携帯電話大手スプリントの株式を108億円を投じて追加取得。出資比率は79.99%になった。
 スプリントは業界4位に転落するなど業績が低迷。市場ではソフトバンクがスプリントを売却する可能性もと。だが、ソフトバンクの孫正義社長は『解決策が見えた』と述べ、業績立て直しを目指すことを宣言している」というニュースが流れた。
 この話を聞いて松下塾長の「指導者は大事にいたれば度胸をすえてそれにあたることである」という言葉と「カメ割り柴田、鬼柴田」とよばれた織田信長の武将、柴田勝家の逸話を思い出した。
 柴田勝家が近江の佐々木承偵と戦ったとき、城を囲まれ、水の手を断たれるという苦境に陥った。城兵の士気は衰え、落城目前の状況であった。
 そのときに、佐々木勢から使者が来た。城内の様子を探る目的もあった。勝つ家は、残り少ない水を惜しげもなく使って見せた。使者は、水源は他にもあると思ったらしい。
 その後、勝家は残り少ない水ガメを運ばせ、全員にのどをうるわせた後、水カメを打ち割り「武士たるもの座して死を待つより、うって出て立派に死のう」と翌朝未明に斬って出た。その決死の勢いに佐々木氏は総崩れ、大勝利をおさめた。以来、「カメ割り柴田」と呼ばれたという。
 孫社長自身が言うように、数ヶ月前までは「スプリント売却」という道も模索していた。しかし、誰も買ってくれないとわかり「腹が座った」のだろう。追い込まれ、覚悟を決めてからが強いというのが、孫社長であ。
 今回の追加出資は「覚悟を決めた」ことを内外に知らせたのだと思う。なにか「理外の理」が生まれる予感がする。
 
 
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孫正義社長が後継者候補のニケシュ・アローラ氏に165億円の年棒を払ったことが明らかになり、色々と取材を受ける。ほとんどが「報酬が多すぎるのではないか」というものである。
この質問を受けるたびに私が思い出すのは松下塾長の「指導者は人、物すべての価値を正しく知らねばならない」という言葉と、伊勢32万石、三重県津の城主であった藤堂高虎の逸話である。
 藤堂高虎は卑賤から身を起こして、秀吉さらに家康にも重用された人物である。 その高虎があるとき、渡辺了(あたる)という有名な勇者を2万石という高禄で召抱えた。
 他の大名は「いくら渡辺了が強くても、大勢に一度に襲われたら勝てない。一人に二万石を出すのはムダだ。私なら2百石の師を百人召抱える」と言った。
 高虎の言。「それは違う。名もない武士が百人、二百人固めていても相手はそれを踏み破っていく。しかし、武名なりひびく渡辺了が守っていたら、恐れて攻めてこない。その価値は比べ物にならない」
 松下塾長によると「これは、ものの価値がわかるということだと思う」となる。渡辺了の「無形の価値」というものを高虎は二万石出しても惜しくないと判断したのである。
 「会社の経営であれば、人一つとっても、十万円の月給で高すぎるという人もあれば、百万円でもまだ安いという立派な人もある。その価値判断がある程度できないようでは人は使えない」
              松下幸之助
 孫社長もニケシュ・アローラ氏の持つ「無形の価値」を評価したのではないかと思う。

 大阪のタナベ経営主催のセミナーで講演させていただいた。新幹線、新大阪駅のすぐそばのタナベ経営本社に北海道から九州まで経営に携わる方が集まっておられ、ソフトバンクの「飛躍の戦略」を熱心に聞いていただいた。

 タナベ経営は「中堅企業」を育成していくことを目標としておられるのだそうだ。

 中小企業と中堅企業とはどこが違うのか。

 「中小企業基本法」では、鉱工業・運送業では資本金1億円以下、従業員300人以下の企業、卸売業では資本金3,000万円以下、従業員100人以下の企業、小売業・サービス業では資本金1,000万円以下、従業員50人以下の企業を中小企業と呼んでいる。 中小企業の中で、独特な技術力をもち、資金調達が証券市場で行えるのが中堅企業という定義もあるらしい。

 中堅企業とは大企業と中小企業の中間にあるといえるが、もう一つは経営者の思考が中期的か短期的かということがあろう。

 中堅企業は明確な目標、ゴールを持つ。そのゴールに向かって、足し算方式で鳴く、逆算方式で今何をすべきかを考えてゆく。これが、中堅企業でないかと思う。だから、多くの経営者がセミナーにかよって自己を磨いておられるのだろう。


「経営者はいつも将来というものが頭にないといけない。五年後、十年後にどうなるか、どうすべきか。そのうえで、今どうしたたいいのかを考える。将来から現在を考えるのが、経営者としての発想である」

                              松下幸之助



 

 某経済誌から取材を受けた。「最上の経営者」(仮称)という特集を組むので孫正義社長の人物像を聞きたいというご希望であった。

 幸いなことに私は20世紀を代表する経営者である松下幸之助塾長に教えを受け、孫正義社長を八年三千日補佐する幸運を得た。二人との経験を思い出しながら、「最上の経営者」とは何かを改めて考えてみた。

 スタンフォード大学の教授、ジム・コリンズは「ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則」の中で「経営者の能力のうち最高水準を表すもの」として「第五水準のリーダーシップ」をあげている。

 結論から言うと、松下幸之助氏は明らかに「第五水準」を超えた存在であり、孫社長はまだ若いこともあり第四水準から第五水準の中間である「四・五水準」であるように思える。

 第一水準・・有能な個人
 第二水準・・組織に寄与する個人
 第三水準・・有能な管理者
 第四水準・・有能な経営者・・明確で説得力のあるビジョンへの支持と、ビジョンの実現に向けた努力       を生み出し、これまでより高い水準の業績を達成するよう組織に刺激を与える
 第五水準・・個人としての謙虚と職業人としての意志の強さという矛盾した性格の組み合わせによって       偉大さを持続できる企業をつくり上げる。

 第五水準の指導者は「謙虚さ+不屈の精神」を持っている。

 ジム・コリンズは第五水準の大統領の例としてアブラハム・リンカーンをあげている。かれは謙虚であり、内気であり、不器用であるように見えた。これが弱さの印と思われていた。だが、リンカーンは南北戦争を戦い抜き、奴隷解放を実現し、永続する偉大な国家をつくり上げることができた。

 謙虚だが意思が強く、控えめだが大胆なのがリンカーンであった。

 松下幸之助塾長を二十代から三十代前半に身近に見てきたものとして思うと「謙虚さ+不屈の精神」をまさに体現しておられた。ただ、そのころ松下塾長は86歳から95歳だった。

 孫正義社長はまだ五十七才である。アメリカに進出世界のソフトバンクという新たなるビジョンを掲げさらなる飛躍をめざしている。いずれ第四水準から第五水準へと進んでいくであろう。

 取材の最後にこういった。
「私は20世紀を代表する松下幸之助氏に教えを受け、孫正義社長がNTTドコモをぬくまでの八年三千日を社長室長として補佐した。できるなら、孫社長が21世紀を代表する経営者になってほしい」

 相変わらず大風呂敷な思いである。




 

 


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