島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

グリーン革命の条件

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 前のページ | 次のページ ]

 昨日、民主党エネルギーPTの小委員会が、高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉を求める提言をまとめたと小さく報道されている。報道は小さいが。これは大きな一歩である。

 原発に関するエネルギー問題は、専門家と称する人々のくびきを離れ、「国民の常識」によって決断すべきと思う。
 「もんじゅ」は、毎年500億円の単純維持費を必要とする。しかも、それが50年間続く。総計で2兆5千億円負担しなくてはならない。提言が「これまでどおりの研究開発は許されないのは、ほぼ国民が共有するところだ」というのはまったく同意である。

 しかし、この提言がそのまま与党として採用され、「もんじゅ」がとまるかどうかは見通しがつかない。電事連、電力会社の族議員がてぐすねひいてまっているからだ。

 この小委員会の提言は親会であるPTに報告される。これからが、電事連、電力会社などの族議員の働き場所である。

 族議員は、安全保障に必要など、いろいろいうだろうが、本音はこうだと噂されている。

「電力会社は、使用済み核燃料を『資産計上』している。将来、再処理によって使われる『燃料』という理屈だからかだ。
 その額、二十兆円に上る。核燃料サイクル計画が否定されたら『特別損失』になってしまい電力会社の経営を直撃する。
 ようは、自分たちが生き残れるかどうかだ。電力会社は必死になって、族議員を動かすだろう」

 高速増殖炉のこれ以上の開発には、採算が合わないゆえ、電力会社の良識ある人々も及び腰だとされる。それでも核燃料サイクル計画を否定できない。使用済み核燃料の最終処分方法が否定されれば、前述のように。電力会社の経営を直撃するからだ。

 このところ国民の知るところになったが、どの原発にも使用済み核燃料の貯蔵プールがあり、空きスペースをつくっておかなくてはならない。原発1基を、1年間運転すると、約30トンの使用済み核燃料が生じる。毎年、これをどこかへ片づけなくてはならないのだが、わが国には放射性廃棄物の最終処分場がない。

 できるかどうかわからない「再処理」という言葉が選ばれ、青森県六ケ所村に、再処理工場が建設され、そこに使用済み核燃料が次々と運び込まれた。

 再処理をすると、毒性の高い「プルトニウム」が生まれる。このプルトニウムを燃やす目的で「もんじゅ」はつくられた。

 ところが1995年に、ナトリウム漏れ事故で原子炉が暴走した。1996年、議員になったばかりのころ、「もんじゅ」を視察した。その後、炉内中継装置にも落下事故が起きて、いまやどうしようもなくなっている。

 核燃料サイクルは「実質破たん」している。だが、これを認めると、虚構の上に築かれ、使用済み核燃料を資産計上していた電力会社が「破綻」する。そのために、国民の税金を500億づつ投入するというのは、根本的におかしい。

 与党、小委員会の提言が党の政策になるかどうか見守っていきたい。

 
 

 
 

 

 エネルギー・環境会議が日本の将来のエネルギー政策を決めるとして、0%、15%、20−25%の選択肢を提示して国民的議論を促進している。そこへの対応を経団連としてどうするかの委員会が開かれたので参加した。

 経団連参加企業の多くが「原発維持」に汲々として、現実を直視しておらず、事態の変化に対し、果敢に挑戦する創業精神を失っているなという「悲しい感想」を持った。

 会長、副会長らが参加した、夏季セミナーの議論などを中心にまとめられた提言案を私なりに、要約すると
1.エネルギー環境会議が提示した三案はどれも実現不可能、議論に値しない
2.原子力は維持するのが前提
3・仮に2030年の目標が決まったとしても、すぐに見直せ
4.わむをえずというなら、20−25%以上案

 これに対し、孤軍奮闘(笑)で反対意見を述べた。
1に対しては「ここにおられる皆さんは、会社に戻ると『できない理由ばかり並べるな』と部下に仰ってる人が多いと思う。それなのに、ここでは技術や、高い目標にチャレンジするのでなく、できない理由ばかり書いてある。

2に対しては、「私は原子力維持に反対である。地震が多い日本に原子力を置くこと自体変だという、一般論もあるが、経団連として賛成するならば、再び、原子力事故が起きて、電力会社が経営破たんした時に金融機関など(債権放棄をして)責任をとる覚悟があるのか」

3に対しては、「長期目標を決めるというときに、すぐに変えろというのは違和感がある。会社で長期目標をこれから決める時にこんなことを言うのか」と述べた。

4、20−25%以上案を支持することは反対。2030年、ゼロが望ましい。

 この後、経団連の委員会では珍しく、意見が多く出た。原案に賛成したのは、新日鉄、日立製作所、三菱重工などの委員である。

 ある委員など、「エネルギー環境会議の出した3つの選択肢は、経営会議に出す選択には値しないくらい未熟だ」という意味の事を言われた。エネルギー環境会議、内閣府もなめられたものである(笑)

 賛成意見を聞いていて、ずっと不思議だったのは、福島での原子力発電所事故という日本にとっての大変な悲劇現実に直面しているのに、なぜ、「この現実を変えたい」と考えないのだろうかということであった。

人間は、経験の中で学ぶべきである。福島の事故は原発は経済面で合理的でないし、安全なものでないとわかったし、何よりも「国家と歴史を犯す可能性がある」ことがわかった。

 原発の選択は本当に不可避であったか、これまで真剣に問われなかった。代替エネルギーの開発も、原発が合理的という声に抑えられて、挑戦できないままでいた。

 時代は変わったのである。「原発安全神話」「電力業界のくびき」により、今までできなかったことがこれからはできるようになる。大きな創業、チャレンジの機会があるとなぜ考えず、現状維持を支持するのだろうか。

 経団連委員会に参加し、意見を言う人はたぶん、企業かに戻ればエリートだと思う。かれらが、自分の言葉で語ってくれるようになって欲しいとも思った。

 孤軍奮闘であっても、これからも経団連委員会で自らの信念を述べ続ける覚悟である。少数意見が、いずれ多数となるを信じることから、時代はかわってゆくのである。
 

 2000年代初め、私がまだ議員だったころの話である。

 サハリンにあるガス田から、パイプラインで日本に天然ガスを引くという構想があった。パイプラインはいったん、北海道に上陸し、再び海の中に入って太平洋岸を南下、太平洋岸にある東京電力の火力発電所に引き込まれることになっていた。

 なかなか壮大な構想で、政府もガス会社も本気になり、北海道も盛り上がっていた。だが、この構想は東京電力がノーと言って、立ち消えになった。

 いろいろと理由はあるが、本質的なものは、東京電力がこの構想の背後に「秩序破壊」を感じたからだと言われた。「地域を超えたエネルギー融通」が、地域独占の電力体制に疑問が出るのを嫌ったからだというのだ。

 まさに「電力業界益」あって「国益」なし。エネルギー安全保障の観点からは残念なことであった。

 東京電力は、電力業界カルテルのドンであったし、「自分たちだけがわかっている。自分たちだけが業界の権益をまもらなければならない」と思いこんでいた。 実際、政府も簡単に動かせたし、他の電力は東京電力が右を向けば、右を向いたのだ。

 それが、様変わりしている。

 松下政経塾の畏友、松原仁消費者担当大臣の朝食会にでた。東京電力値上げ申請にあたり、「国民的消費者目線」で経産省と8.47%値上げでおりあった解説があった。以下、松原氏の言葉である。

「8.47%は、本来もっと下がるべきだと私は思っている。ただ、これ以上下げると、スキームが持たない。公認会計士などからも話を聞いてギリギリの線をだした」

「これ以上、下げるなら結果として税金投入になる。(経営破綻になるの意味?)受益者負担か、国民負担かという議論になるが、私はそれでもいのではと思った」

「ただ、今回、料金以外のところは多く勝ちとった。たとえば、今までブラックボックスだったレート・メイクを明らかにさせることにした。これは、他の電力会社にも適用される」

 などなど。

 松原節が健在で、なかなか面白かった。

 東京電力が、料金値上げできなければ「経営破綻」するかもしれないというのが、現実にあることが、松原氏の話で感じられた。

 政治は予測できないからこそ政治である。ということは、業界のドンだった東京電力は常に「経営破綻」する可能性をもっていることになる。

 業界秩序を維持してきたドンの弱体化は、業界にとって悪夢だろう。しかし、その先にあるのは、電力改革であり「新秩序」である。これをチャンスととらえれば、エネルギー改革は実現し、日本経済は復活できるかもしれない。

 

 枝野経済産業大臣が、「発送電分離、法的分離を軸に検討」と発言した。2000年代初頭の電力改革では、甘利元経済産業大臣や、元電力会社副社長であった加納参議院議員の活躍(?)により、発送電分離の試みが葬り去られたことをみると隔世の感がある。

 もちろん、発送電分離の詳細設計はこれからであり、予断は許さない。「戦略は細部に宿る」と言われる。電力システムに精通した電事連、電力会社の経営企画部の俊才(?)たちが、発送電分離をしても結局「新電力」が参入できないような「悪魔のわな」をしかけることが、予想されるからだ。

 ただ、時代は大きく動いている。電事連、電力会社の俊才たちは、時代を押しと止めようとする動きをするのでなく、時代をすすめるために能力を使ってほしいと思う。

 ジェレミー・リフキン氏の「第三次産業革命」によると、「歴史上の重大な経済改革が起きるのは、新しい通信技術が新しいエネルギー体制と一体となった時と理解できる」という。

 第一次産業革命の蒸気機関が、蒸気で動く輪転機を創ったおかげで、新聞、雑誌、書籍が大量に生産された。読み書きのできる労働者が育成され、それが石炭や蒸気を動力とする複雑な作業を組織化できるようになった。

 二十世紀初めの第二次産業革命では、石油を動力とする内燃機関と電気通信が一体化した。工場の電化により、自動車が量産化された。コンクリートの高速道路が走り、辺鄙な場所にコミュニティーが建設された。人々は郊外に引っ越しし、電話線が張り巡らされた。テレビやラジオが広範囲にわたる商品化のための通信網として機能し始めた。

 これからはじまる第三次産業革命は、インターネット通信技術と再生可能エネルギーが結びつくことだという。数十億の人間が、自宅や工場で自分で使うグリーンエネルギーを生産し、インターネットで独自の情報を創出し、発信するように分散型の電力ネットワーク「インターグリッド」を通じてエネルギーを共有することになるという。

 これは、すでにEUで動き始めているという。まさに、第三次産業革命である「電力と通信の融合の時代」が訪れようとしているのだ。

 これを阻むのは「旧来のエネルギー業界」だと氏はいう。「政府のエネルギー政策の決定に影響を与えるだけの十分な資金力があるからだ」そうだ。

 日本の電力業界は、経営改革を求められており、政治に影響を与える「十分な資金力」がなくなりつつある。ひょっとしたら、これが幸運となって、日本の第三次産業革命が、早く進むのではないかと期待している。
 

 原発の全電源喪失は「経験もマニュアルもない状況」だった。そして、メルトダウンが起きてしまったという、18日夜のNHKスペシャル、メルトダウンを見て愕然とした。

 危機というのはそもそも「マニュアルを超える」ところにある。また、誰もが簡単に何度も「経験」できるのは「危機」ではない。「経験もマニュアルもない」などというのは、言いわけには全くならない。そもそも「原発は何重もの防護策があるから安心」と思っていた「安全神話」が問題だったのだと思える。

 日本は地震国である。千年に一度の地震も、百年に一度の地震も質的には差異はなく、明日、再度千年に一度の地震が起きる可能性はある。

 その結果、もう一度メルトダウンを起こして、何万年も、ひょっとしたら何十万年にもわたり国土を汚染させてしまう可能性を持っているのである。原発を運営する経営者たちはこの責任に対峙する覚悟ができているのだろうか。

 原子力発電重視はその生みの親である中曽根内閣からはじまった。そして、経済界がこれを全面的にバックアップした。中曽根内閣から小泉内閣にいたる自民党政治と経団連の二人三脚が原子力依存社会をつくったのである。

 もちろん、民主党政権も原子力発電を「安全でクリーンなもの」として、世界に輸出しようとした。これは、すぐに舵を切る必要がある。野田総理に政治決断が必要である。

 ドイツの議員に「なぜ、ドイツは『脱原発』に舵をきれたのか。ドイツの経団連にあたるドイツ産業同盟はどのように対応したのか」と聞いたことがある。

 「もちろん、ドイツ産業連盟は脱原発に反対だった。政府も、産業連盟が全員一致で反対であるなら舵は切れなかった。産業連盟のトップリーダーは、最後まで原発推進を言わざるを得ない。しかし、会員の中で、『高技術国の日本でさえ、原発事故が起きた。ドイツは脱原発に舵を切らざるを得ないのではないか』と思う人が増えてきた。それが、政府の決断を後押しした」

 
 地震が多く、狭い国土ではもう原発を辞めてほしいと国民は思っている。汚染に苦しむ福島の人を見て、原発は経済的にも全く合理的ではないし、長期にわたって家族と地域社会を破壊するものであることが身にしみてわかったと思う。

 さらには、日本という国家と歴史をも汚し、破壊するものであることがわかった以上、日本が長期的には原発から撤退することと、再生エネルギー政策重視に舵をきらなくてはならないことは明白である。

 日本の経済界も目覚めてほしいと切に願うものである。


 

 

 

全7ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7]

[ 前のページ | 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事