島さとし(嶋聡)の「大風呂敷のススメ」

松下幸之助に学び、ソフトバンク社長室長3000日の後、多摩大学客員教授を務める元衆議院議員「島さとし」のブログです。

大風呂敷の論理

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 福岡で、ブルームエナジーの開所式があった。これは、日本を集中型エネルギーから、分散型エネルギー体系にする突破口になると期待している。

以下、日経新聞の報道である。

 「ソフトバンクは25日、米ベンチャーのブルームエナジー(カリフォルニア州)の産業用燃料電池を日本で今後3年間に計3万キロワット分を輸入・販売する計画を示した。大企業や官公庁などへの設置を目指す。国内では産業用の燃料電池の普及が遅れているが、ソフトバンクの参入で競争が活発になりそうだ。

 25日にソフトバンクの福岡市のオフィスで燃料電池を稼働させた。運転状況を顧客に見せて販促に生かす。設置した燃料電池は幅約9メートル、高さ約2メートル、厚さ約3メートル。出力は約200キロワットで20階建てオフィスビルの消費電力の約75%を賄える。

 固体酸化物型(SOFC)と呼ばれる方式で都市ガスから水素を取り出し、酸素と化学反応させて発電する。一般的なガス火力発電機より発電効率が高いといい、米国ではグーグルやウォルマート・ストアーズなどの100カ所超で採用されている。」

 日本に原発がない社会をつくるために、事業家として「代替案」を提示するというのが私の志である。日本国民は原発が危険だと知っているが、代替案がないためにやむをえず原発を維持しているのではないかと考えているからだ。

 太陽光発電をいち早く稼動させた。カウベル効果もあって多くの事業者が参入した。風力発電も北海道、オロロン地区の送電線が予算化されたこともあり、スタートしたといっていい。

 今後は、分散型のクリーンエネルギーとしての産業用燃料電池を普及しようと、ブルームエナジージャパンがスタートする。ブルームエナジージャパンは、アジアを市場としており、無原則に原発が推進されることへのアジアのへ代替案もめざしている。

 一挙に一本とはなかなかいかないが、チャレンジに継ぐ、チャレンジを繰り返すつもりである。

 ロシア、サハリンのホロシャビン知事に札幌でお会いした。4月に、「私たちはロシアから電力を輸入するという、アジア・スーパーグリッド構想を持っている。第一ステップはサハリンからの輸入、第2ステップはシベリア、アムール、ハバロフスクなども視野に入れている」と率直に語った。ホロシャビン知事も、私の率直な話しぶりが日本人には珍しかったようで、よく覚えていてくれた。

 率直な話しぶりになったのには、実はわけがある。一般的に、微妙な話をするときは通訳をつける。ある商社が好意から、通訳を用意してくれた。ところが、その通訳がハバロフスクからきた、若い女性で、ロシア語から英語の通訳しかできなかったのだ。私が英語を話し、それをロシア語で通訳するという複雑な経路をたどったので、結局、英語で直接話すことになったのだ。

  11月20日に北海道、高橋はるみ知事と経済面で具体的な協議をした。ホロシャビン知事は「北海道への電力供給はわれわれの国家プロジェクトになった」と述べた後、「日本側のポジティブな姿勢がなければ、実施できない」と電力輸入を可能にする政策の検討をせまったと報道されている。

 ということで、札幌京王プラザホテルでの2回目の顔合わせになった。
 「4月にお会いした以来です。日本の電力不足を解消するうえで、『電力の橋』は有望だという、ホロシャビン知事の日経新聞のインタビューは、注目されました。知事は、日本で有名です」
 「月日のたつのは風のように速いものだ」
 
 知事の話によると、サハリン内の電力需要を満たしても50万から60万キロワットの輸出は可能。さらには、シベリアまで視野に入れれば、原発4基分、400万キロワット以上が可能ということだった。

 北海道は、寒いだろうとヒートテックを着て行った。だが、室内は薄着でもいいように、しっかり暖房されている。汗をハンカチでぬぐいながらの話だったが、アジア・スーパーグリッドという大風呂敷が、時の流れとともに、現実へ一歩、一歩近づいているということを感じた札幌であった。

 
 

 日本から3000キロ。空と草だけで出来上がっているモンゴル高原がある。そこに住む人々は、馬に乗り、風のように駆け、弓をひきしぼり、走りながら矢を放つ。そのスピード感は、はるか南に住む、黄河農耕文明の人々にとって同じ人間とは思えなかった。

 人は遊牧をする。遊牧には、糸のように細く、にら系に属す羊が喜ぶ草が必要とされる。ユーラシア大陸においては、モンゴル高原における草原が一等地であった。
 モンゴル高原は起伏に富んでいる。起伏も遊牧の好条件の一つである。夏には山の上で放牧し、遅く秋が来る低地に下ってゆく。
 蒼い空に白い雲、そしてはるかに続く草原。モンゴルにはいつか行ってみたいと思っていた。

 モンゴル南部のゴビ砂漠の風をとらえ、3000キロ離れた日本に電気として送る。直流送電線を使えば、3000キロ送っても減衰率は5%ですむ。ヨーロッパなどではABB,シーメンスなどの企業が直流送電線を使い、ヨーロッパ全体の電力網を作り上げている。技術的に不可能な話ではない。
 
 この大風呂敷の構想を具体化するために、2012年3月12日、モンゴル、バトボルト首相立会いのもとにソフトバンクとモンゴルの投資会社との間で合弁会社をつくった。その名も「クリーン・エナジー・アジア」。

 2ヶ月後、私ははじめてモンゴルの地を踏んだ。ウランバートルから70キロ。大風力開発構想の第一歩として、実験的につくる「サルキッド・ウィンドファーム」を視察するためである。「サルキッド」とはモンゴル語で「風の強い丘」を意味する。

 この建設工事で、私は「モンゴルのスピード」と農耕民族である「日本のスピード」の違いに驚くことになる。

 

 

 

 成長著しいアジアの電力消費は2009年で、6千テラワット。これが、2030年には倍以上の一万三千テラワットになると予測されている。中国が、海洋進出を図ろうとしているのも、これから石油の中東依存を高めなくてはならず、シーレーンが重要と考えているからであろう。中国の石油依存度はいまや59.4%に達している。

 尖閣諸島をめぐっての日中緊張が続いている。ひょっとしたら、現実の衝突があるのではとすら思える。尖閣諸島や、中国とフィリピンの間の南紗諸島問題も、つまるところ海底エネルギーの資源権益を巡る争いである。
 中国の軍備拡張に対し、備えることは必要である。しかし、この地域の緊張を解くことを抜本塞源的に考えれば、エネルギー問題の解決しかないのである。

 日本が第二次大戦に踏み切った原因の一つは、ABCD包囲網により石油をとめられ「座して死を待つよりはと考えたことにあると言う。
 昭和16年当時、日本は原油500万キロリットルあれば何とかやっていけたという。戦後、採掘技術が発達して大慶油田が開発され、最盛期には数千万キロリットルが産出された。大慶は旧満州である。採掘技術の開発に集中していれば、無謀な戦争に突入する必要もなかったように思われる。

 モンゴルにあるゴビ砂漠。ここは世界一風が吹くところである。さらに、砂漠であるので太陽光も降り注ぐ。再生エネルギー開発に最も適しているのがモンゴルである。モンゴル国立再生エネルギーセンターの資料によると、風力で8千テラワット、太陽光発電で5千テラワット。合計で一万三千テラワットになり、2030年のアジアのエネルギー需要に匹敵する。

 かつて、石油は土壌を悪くする厄介者だった。それが、イノベーションによってエネルギー資源に変わった。再生エネルギーのイノベーションを進めていけば、モンゴルの風がエネルギー資源に変わる。そして、アジアを救うのである。

 

 情報通信業界を震撼させたと言われた「光の道論争」から3年がたった。来年、2014年は包括検証の年である。総務省前次官が、「ブロードバンド普及率は98%で世界一」とある議員の朝食会で胸をはったが、これはあくまで中継地点までの「整備率」。実際に家で使われている「普及率」は54%でしかない。

 結局、NTTからアクセス回線を分離して、中立な「光アクセス会社」をつくるという抜本的な改革が既成勢力の反対でできなかったため、日本のITインフラは変わらないままに終わった。もし、3年前にNTTの完全分離をしていたら、医療、教育、行政分野での新産業が花開き、日本は第4次IT革命のトップランナーになっていたにちがいない。

 今回、メキシコに行って驚いた。私たちが提言していた中立的なネットワーク会社を、メキシコ政府が創ろうとしていたのである。

 独占を禁止し、50%以上のシェアの会社を分割する権限を持つIFT(連邦通信機関)を創設。さらに、「公共通信ネットワーク」を整備し、そのネットワークの上で、新事業者を参入させ、競争を促すというのだ。

 政府の土地、建物および利用権はその公共通信ネットワークに現物出資。光ファイバは国有電力会社がもっているものを供出させる。さらに、私たちの提言よりすごいのは、携帯の時代にあわせ、テレビの地デジ化により利用可能になった700メガヘルツのプラチナバンド、90メガヘルツをその公共通信ネットワークにもたせるというのだ。

 日本で言えばNTTグループ並みの公共通信ネットワーク公社を、現在のアメリカン・モバイルグループに対抗する形で構築。2014年末までにスタート、ネットワーク整備98%を2018年までに終わらせるという。そこにMVNOで新規事業者を参入させようという抜本的な大改革である。

 外資規制も撤去されるので、すでにイギリス、バージングループのサ―・リチャード・チャールズ・ニコラス・ブランソンや、スペインのテレフォニカが関心を示していると報道されている。
 
 IFTの上級幹部と話したが、皆、理想に燃えていた。ただ、マキャベリではないが「新しい制度を導入することは、何よりも困難な企てであり、実行に危険が伴い、成功が不確かであるのを銘記すべきである」という思いは自分の「光の道」の経験からも禁じえなかった。

 大風呂敷で抜本的な改革をもたらそうとするものは、旧態のものを決定的に敵に回し、新体制で栄える可能性があるものからは、中途半端な支持しかえられないからである。
 世界一の金持ちである「カルロス・スリム」率いるアメリカン・モバイルグループの力はすさまじく、これからどう手を打ってくるかである。
 
 ところで、メキシコで、テオティワカンのピラミッドに行った。頂上に登り、願い事を叫ぶとかなえられるとのことだった。小泉元首相ものぼり「郵政民営化」と叫んだとか。今なら「原発ゼロ」とでもいうのだろうか。

 IFTのメンバーがなそうとする「大通信改革」が成功するよう祈らざるを得なかった。

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