|
実は北極好きなあたくし。
といってもまだ3回しか行ったことないし、先進国カナダの極北エリアなんですけどね。
イヌイットのご家庭で3週間くらいかな、ホームステイさせていただいたりしました。
そのときに聞いたお話。
もともとは狩猟民族で動物を追って移動しながら暮らしていたイヌイット。
カナダ政府がかつて先住民の定住化政策をおこなったこともあって、
現在では多くが村落を形成して定住しています。
でもさすが狩猟民族。「ピクニック」と称して家族で何日も狩猟旅行に出かけることも。
お父さんの運転するスキードゥ(スノーモービル)で、お母さんと子供たちが乗った
そりを引き、延々と続く雪原を疾走して動物のいるポイントまでやってきて、
動物の皮でできたテントをはります。
でね、ここからがウワサ話。
お父さんがカリブー(北極となかい)を狙ってスノーモービルで出かけて行き、
妊婦のお母さんと、よちよち歩きの赤ちゃんが母に背負われ、テントで留守番をしていました。
そのとき、テントの入り口からのっそりと北極グマが。
家族を見つけると立ち上がり、戦闘態勢をとりました。
身重なうえにまだ自力では歩けない赤ちゃんを連れ、スキードゥもなく逃げ場を失った母。
数時間ののち、仕留めたカリブーをそりに乗せ、お父さんが意気揚々と
テントに戻ってきました。
スキードゥの音がすればすぐにテントから出てくるはずの妻。
しかしそのときテントは不気味な静寂に包まれ、誰一人出て来はしませんでした。
イヤな予感がしてあわててテントにかけよる夫。
そこで見たものは……
横たわる若い北極グマの前で、銃を構えた姿勢のまま目を見開き失神している妻でした。
背中では赤ちゃんがすやすやと眠っています。
なんとか妻の目を覚まさせ、事情を聞いてみましたが、彼女は白熊に襲われたことしか
覚えておらず、自分と子どもはもう殺されたと思っていたといいます。
よかったよかったと思う一方、首をかしげる夫婦。
妻はおそらくとっさに銃を取り、白熊を撃ったのであろうことは確かですが、
この白熊は血も流していなければどこにも怪我が見つからなかったのです。
で、村に帰って死んだ白熊を解体して(獲れれば白熊も食べます)いると、
熊の頭部から弾丸が出てきました。
妻がとっさに撃った弾丸はどうやら白熊の目を射抜き、一撃で殺戮者を倒したのでした。
それに気づいてイヌイットは二度びっくり。
ウワサは村をかけめぐりました。
とはいえ、こんな話は日常茶飯事。
すぐに次のびっくり事件に話題はかっさらわれ、あっさり忘れ去られてしまうのです。
白熊の頭骨とか、カリブーの足とか、イヌイットの村では軒先にごろごろしています。
そんな環境で話されるこんなウワサ話は、とてもまことしやかに響きますが、
実話である可能性のほうが大です。まぁ、このお話はあたくしが聞いた中でもかなり
びっくり度の高いものではありましたが。
↓↓↓ところで、先住民族について、補足説明です。↓↓↓
興味のない方は読み飛ばしてね。長いから。
カナダではある種の野生動物の狩猟は法律で禁止されており、
白熊などを狩る場合は政府の許可が必要です。
が、先住狩猟民族にはその法は適用されませんので、イヌイットも食糧を得る手段として
北極の動物たちを狩猟する権利があります。あくまでも生活のためです。
外国人による趣味のハンティングなどの場合、申請して、税金(?)を払います。
聞いた話によると、白熊1頭につき1000ドル。カナダドルか米ドルかは聞き忘れましたが、
8万円から10万円と考えればいいですね。
カナダに住むイヌイットの村にはたいていスーパーマーケットがあるので
わざわざ狩りに行かなくても食べ物自体は豊富にあります。
醤油とかサッポロ一番(カナダ版)も買えますよ〜!北極までの輸送費が高いので値段も高いけど。
でも、先住民族には自分たちの伝統や生活習慣を後世に残す権利がある、ということですね。
だから狩猟民族が(銃を使うようになったとはいえ)狩猟を続けていても違法ではないわけです。
もともと彼らは乱獲をするなどというバカなマネをしないので。
だってそんなことして動物がいなくなったら、食べ物がなくなっちゃうから。
でも若い世代になると、遊びでカリブーを撃ちまくったりする人もいたりして、
そろそろ注意が必要なのではないか、と少し思います。
狩りで得た食糧の多くは、解体して屋外に放置しておけば自然に冷凍保存されます。
冬場はマイナス60度にもなる北極ですから、冷凍庫なんかよりもずっと早く凍っちゃいます。
とはいえ、定住化政策でカナダ政府が建てた家は、一般的な戸建て。
室内はセントラルヒーティングで温度設定が可能なので、屋内では半そでで過ごす人も多いです。
だいたい村ごとに発電所がありますが、冬場の電気代はとんでもない金額に。
でも政府から援助があるので、そこはまぁ、なんとかやっているようです。
イヌイットの集落にも田舎と都会があって、田舎に行けばなんの産業もありませんから、
お金を稼ぐ手段が限られているため、生活保護を受ける人も少なくありません。
これも、政府の「誤った政策」に対する補償のひとつです。
イヌイットやエスキモーと呼ばれる北方の先住民族はロシアやスカンジナビア、
グリーンランドなどにたくさんいるのですが、カナダのイヌイットは
2000年にイヌイットのイヌイットによるイヌイットのための準州を設立しました。
ヌナブットという名のこの準州、意味は「我が土地」。
公用語はイヌクティトゥトというイヌイット独自の言葉と、英語のふたつです。
まだまだ自治州になれるほど成熟していませんし、広い土地がありながらも
産業を興すことが困難なため、金銭的にも人事的にも“南”のお世話になることが
多いですが、世界で初めて先住民族が自立したテリトリーを認めてもらった例として、
とても画期的なことではあります。
失業率の高さ、教育水準の低さのほかに、言葉の問題もあります。
イヌクティトゥトはヌナブット東部の言葉で、西部ではイヌイナクトゥンという
ちょっと違う言葉を話すので、西部のイヌイットは「我が土地」の公用語が
イヌクティトゥトになったことをあまり歓迎していません。
また、かつてイヌイットの言葉を話すことを禁じられた経験から、今の子供たちの親世代には
英語しか話せない人も多く(祖父母から教えてもらっていないため)、現在イヌイットの
小学校では「母語の教育」に力を入れるなど、ちょっとおかしなことになっています。
実際のところ、英語が話せなければ大学などへの進学も難しいし、イヌイットの言葉を
話せたところでなんのメリットもない、と思ってしまう子供も多いのです。
それでも最近ではイヌイットの言葉を話せるようになってきた子が増えてきたといい、
特に東部では現代のイヌイットとしての文化を築きつつあります。
カナダの極北、意外と近いので興味のある方は行ってみてください。
トロントとかイエローナイフから3時間くらいでいけますよ。しかも毎日定期便があるし。
あたくしの中では南米行くより近いという印象です。
よほど大田舎でなければ宿泊施設やレストランもあります。
ただし、冬場に行くのはお勧めしません。よほどきちんと準備しなければ、
宿から一歩も外へ出られないという状態になりますし、ずぅ〜っと太陽が出ないので
どんよりと暗い気持ちになっちゃいます。
準州の州都、イカルイットは大都会だという話なので、こちらならなんとかなるかも?
ここまで興味を持って読んでくださった方、ありがとうございます!
北極好きのせいでつい力が入っていろいろ書いてしまいました。
あたくしが北極に行ったのは3、4年前が最後です。
もしかしたら、状況はもっと変化しているかもしれませんので、
また機会を見つけてぜひ出かけてみたいと思います。
|
すごく興味深い記事でした。私は世界の少数民族や先住民族にとても興味があるので、イヌイットの現在の姿を読めて、とても勉強になりました。イヌイットの子供たちには、もっと自分の言語を大切に、受け継いでいってほしいですね。そして、文化も。それにしても、白熊を打った母強し!!ですね。自分がその状況におかれたら・・・どうするだろう?と考えてしまいました!
2005/12/7(水) 午前 11:15
こんばんは。
感想ではなく申し訳ないのですが、イヌイットの家庭にどうすればホームステイをすることができますか?
2018/12/30(日) 午後 7:49 [ lzb***** ]