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朝、窓を開けていたら。
入ってくる冷気と湿度の感じが、ロンドンの夏の朝を思い出させました。
それと一緒に、ちょっと悲しい出来事も。
ロンドンの家族が飼っていたわんこ、コッカースパニエルのPebble。
以前このブログでも紹介したことがありますが、あたくしが学生だったころ家にやってきた女の子です。
「飼っていた」と過去形なのは、もうお亡くなりになったから。
なのですが……
実は数年前、その家のお父さんとお母さんは離婚してしまいました。
一番下の子どもは13歳でしたが、離婚に対して日本よりも理解の深い欧米なだけに、
彼もちゃんと両親の離婚を受け容れ、母親とともに暮らすものの父親とは会いたいときに
自由に会いにいけるという状況でした。
あたくしも、ロンドンに行くたびお父さん、お母さん双方の家を訪ねて交流を続けています。
でも、困ったのはPebbleのこと。
“親権”を争ったのかどうかはわかりませんが、2週間ごとに父母の家を行ったり来たり
ということになっており、その都度 結局顔を合わせることになる離婚夫婦なのでした。
そんな生活を5年ほど続けていたPebble。
おととしの夏にロンドンへ行ったとき、休暇なのになぜか仕事をするあたくしのそばにはいつも
おばあちゃんになって動きが鈍く、ちょっとご機嫌ナナメな彼女がやってきて、
よりそうように眠っていました。
あたくしのことをまだ覚えていてくれているんだな〜と、ちょっとうれしくなったものです。
去年の初夏、またロンドンへ家族を訪ねましたが、そのときPebbleはもういませんでした。
お父さんによると、Pebbleは患っていた皮膚病がひどくなり、治療がかなり大変だったのだそう。
あるとき、いつものようにお母さんの家に受け渡し、2週間後に引き取りに行くと、
安楽死させたから。
と言われたそうです。
なんの相談も報告なく、ただ淡々と「だからもう家に来なくていいから」と。
確かに、Pebbleの皮膚病の容態はかなり悪く、かゆがって辛いため、以前にもまして不機嫌で
夜昼となく無駄吠えがひどくなっていたのだそう。
老犬なので強い薬も使えず、そんな様子をただ見ていることしかできないという状況ではあったようです。
お父さんは「だからといって殺すほどではなかった。私だったら一人でもちゃんと面倒が見れたのに」と
憤っていますが、あたくしはその場にいなかったし、実際に見てもいないのでなんの判断も下せません。
……いや。あたくしだったら、たとえものすごく辛いシチュエーションでも長年ともに暮らしてきた
ペットを安楽死させるという判断を下せるかどうかもわかりませんし。
だからお母さんの判断を、正しいとか間違っているとか、ジャッジすべきではないと思っています。
Pebble。
模様が河原にちりばめられた小石(=pebble)のようだからと、この家の次男がつけた名前。
公園に散歩に連れて行ったら、リードをめいいっぱい伸ばして縦横無尽に駆け回って困らされたっけ。
あのとき、やっぱり犬のお散歩中の男の子が話しかけてきたので、Pebbleをおとなしくさせようと
「sit(お座り)!!」と言ったつもりが、発音が悪くて「Shit(ウ○チしろ)!!」と言ってしまったんだった。
あのときのあの男の子の驚いた顔。今でも思い出す(*´∀`)。
あれから十数年。
あたくしはsitとshitの発音を間違わなくなったし、
クリスマスやバースデーにあの家族から送られてくるカードが2枚になった。
あの家はもうなくて、Pebbleももういない。
そしてあたくしは母になり、より大きな夢を追っている。
Pebble。
長い時間が経っていろんなものが移り変わっていったけれど、
あたくしがとても楽しかったときばかりを思い出すように、
今、あなたも楽しい夢を見ながら安らかに眠っている。
勝手かもしれないけれど、そんなふうに思いたい。
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