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私ども家族は黒チビを抵抗無く、暖かく迎えた。
私が幼少の頃は、岩手の片田舎での話だが、我が家では乗馬用のウマも飼っていたし、牛やブタ、ニワトリ、鯉など、日常的にいろいろな動物と接して来た。だから私は基本的には動物が大好きである。
秋田では仕事柄なかなか飼えなかったが、子供達と共にウサギやカメ、コオロギなども飼育したし、イヌ、ネコ、熱帯魚と共に過ごしてきた。我が家ではいつも動物の話題が豊かであった。 その中では、ネコの「ナンナン」、16-7歳にもなるのだろうか、今でも現役、矍鑠として家族の暖かい視線を一気に集め、時に女王の如く振る舞っている。そうそう、賄いの石井さんの飼いネコ「ミーシャ」もいる。「ミーシャ」は厳密には我が家には籍が無く、たまには泊まっていくが、日中を中心とした「通いのネコ」の立場である。
黒チビをめぐってまた話題が増えた。家族が集まる機会も増えそうである。次男はウイークデイに家に戻ってくることは希であるが、昨晩私が帰宅したらネコじゃらしで黒チビと無心に戯れていた。週末には長女がまた帰省し、黒チビの健康診断とか予防注射とかいろいろやってくれるそうだ。週末には黒チビの縁で一家がまた揃いそうである。
黒チビの受け入れに唯一難癖を付けているのが二代目ネコの「ナンナン」。これは「ミーシャ」が来た時も同じで、「ナンナン」は今でも受け入れているとは言い難い。しかし、両者の関係は実に微妙にバランスがとられている。権力で「ナンナン」、体力で「ミーシャ」が勝り、時折対決しているが大事にならないような力関係が働くらしく、私から見て何とか上手く行っている様に見える。
黒チビは今日で3日目であるが、チビのゲージの前で「ナンナン」が時折威嚇のうなり声をあげている。だんだん頻度も少なく短くなってきているようであるが、普段よりはずっと格好つけて、より低域の声で、より長くうなり声を引っ張るものだから、時折うなり声を喉に引っかけて咳をしたり、かすれ声になったりしてわれわれの笑いを誘っている。イヤ、ここで笑っては「ナンナン」の心に傷を付ける、とわれわれ人間共は密やかに笑っている。
だから、黒チビを室内で遊ばせるときは「ナンナン」が外にパトロールに行ったときとか、二階に居るときだけで、まだ直接には遇わせていない。そのうちにに受け入れてくれるだろうと思っている。二匹のネコを上手に共存させるのは結構難しい。今回は慎重に慎重に進めるつもりである。
私はこの件に関してにがく苦しい経験があるからである。
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