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福田の雑記帖は

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 一般的には「過去は変えることが出来ないが未来は変えられる」と言われている。私は逆だと思う。過去は変えられるのだ。ただし、カルテの改竄とか、そんな過去の事実をねじ曲げる様な、あるいはこれに類したことを言っているのではない。

 過去を変えることは、事実を変えるのではなく、その評価を変える事を指す。だから、私どもの勉強とか過去の研究とかは全て過去を変えるためにやっていることである。
 
 私は、人からいろいろな相談を受けた場合に常套的に、「例え、何であっても、無かったよりは良かったじゃないですか」と言う。このルーツ、本音は、今回のこの経験は現時点では如何に辛く悲惨であっても、何とか現状を乗り切ることができれば、必ず活かすことが出来るし、そうするべきなのだ、と言う考え方である。

 未来は変えられない。例え選択を変えたとしても変えたことにはならない。未来は過去からの連続性で必然的に決まってくるのだ。例え、多くの選択肢のある中でどれを選択したとしても、その選択によって生きる道が大幅に変わったとしても、未来を変えたことにはならない。

 不安神経症という病気では、まだ 先のことで何も解らないことをいろいろ考えて朧気な概念を作り上げ、それを否定的に解釈し不安になり落ち込み、時にパニック状態にも陥る。まともなヒトから見れば、取り越し苦労をしてもしょうがないと割り切ることはある程度出来るのだが、正常とそうでない領域がはっきりしていないから誰でもそんな状態になる得る可能性はある。その様なときに私は「未来は変えられない、過去は変えられる」と割り切ることにしている。

 日本モンキーパークの設立に尽力しされた京都大学霊長類研究所河合雅雄教授は、数年前に犬山を去り郷里の兵庫に戻られ、そこでヒトと自然の博物館名誉館長、丹波の森公園長、丹波の森大学長とかを務めながら、90歳ほどになられた今でもなおかくしゃくと仕事をされている、と言う。その話を聞きながら、その時も私は人間に備わっている「望郷の念」とはいかに強いものかと感心してしまった。

 河合氏がかつてNHKのラジオ番組に登場した時に、「サル学を学ぶことは人間を学ぶことである」と述べていたことが記憶に残っている。学問途中で戦争に招集され厳しい前線での戦争体験、殺しあいを経験し、無事帰国した動物学者達の一部は何故かサル学の研究の方に興味、視点を移した、と言う。 戦争の最中、彼らの脳裏には何故ヒトは戦争するのか? と言う疑問が激しく沸いてきたのだ、と言う。死の恐怖におびえながら何故自分はここで銃を構えていなければならないのかと考え,感じるのは当然のことなのだと思う。

 動物たちの世界には、チンパンジーの一部を除けば殆ど同類集団同士の勢力争い、すなわち戦争に類似した行為は見られないことから「人間とは何か?」「何故殺しあいをするのか?」と言うことの追求の対象としてサルを選ぶのだ、と言っていた。

 私も興味を持ってサルたちを観察してきた。毎日毎日病める人間を相手に仕事をしてきていると本当に「人間とは何なのか?」「人間は何故こんなに不安が強いのか?」「人間は何故健康や命にこんなにこだわるのか?」という疑問を持つ。何か得られるものはないかと思って園内を回っていた。不安や健康についての疑問は解けることはなかったが、 見ると園内の一角に檻があってその看板に「これがヒトです」と書いてある。周囲に何人かが居て多少気後れはしたが、そこで記念のスナップを一枚撮った。いい年をしていい気なモンであるが、この檻はたぶん河合教授の発想そのもの?、と感じたからである。私のバカさ加減を見ていた人たちの何人かが次々といろんなポーズで写真を撮っていた。なんだか解らないが、これが人間というものなのだ、と素直に認めよう。時間を得てもっともっと勉強したい分野である。

 長岡在住のお二人から中越地震のことが報告という形でじっくりと述べられ、これは圧巻であった。

 新潟県中越地震は言うまでもなく平成16年(2004年)10月23日17時56分に、新潟県中部深さ約13kmを震源とする大地震で、ブリタニカ年鑑のデータで見ると、マグニチュード6.8、最大震度7、避難者約10万人、住宅損壊約9万棟、被害額約3兆円超えで、地域社会への深刻な打撃は「阪神・淡路大震災」にも匹敵するとされる。

 私は迂闊にもこの地震についてはあまり深く知らなかった。地域の被災状況、新幹線の脱線、幼児救出のニュース等は新聞等で見てはいたが、多忙な業務の中深い関心を持っていたとは言えない。比較的多額(?)の義捐金は病院の募金を通じて送ったものの、どちらかというと対岸の火事的感覚でいた。

 お二人のうち一人は長岡日赤の副院長であり、一人は耳鼻咽喉科医院院長である。住民としての立場からと組織の管理者として、医療従事者としての立場から実態を述べてくれたが、それを聞きながらあまり関心を向けていなかった自身を深く恥じ入った。
 特にライフラインが立たれた状態での医療の維持の問題、自らの生活の不便さ、悲惨さは約一年を経過した今だからこそ静かに語ることが出来たのかもしれない。
 本震による被害はさることながら頻発する大型の余震は心底から恐怖であり、住宅の中で休息・睡眠を取ることも不安で出来ず、車の中で眠ってみたがそれも耐え難く、最終的には住宅の中に眠るための場所だけは何とか確保したとのことである。
 
 救援物資、ボランティアなどによるマンパワーは比較的短時間に供給されたが、電気、ガス、水道の復旧までの不便さは大変なもので、特に排泄物の処理の問題、入浴出来ない不便さは何ともし難いものであったという。

 お二人の話の中でよく出てきた言葉は「TVでご覧になったでしょうが・・・」であったが、実は私は殆ど見ていない。これも拙いことで情報として仕入れておくべきだった。

 今回、私は一人の生活者としてだけでなく、病院管理者として無関心でいてはならない重大ごとだと認識をあらたにして聞いていた。秋田で同様のことが生じたら、特に厳冬期間中であったら私どもは当面何をすべきなのか??
 
 長岡日赤だけでなく被災された周辺の医療機関でも今回の地震の総括などまとめるであろうから是非とも手に入れて勉強したいものだと思う。また、新潟県中越地震に関する資料集等も購入しようと思っている。

 昨年、開催の前日まで順調に企画が進み、私共も準備万端の状態まで行きながら台風の急接近で中止になった新潟大学46年卒同級会が、去る10月9日名鉄犬山ホテルで開催された。私は新潟、長岡の会に次いで3回目の出席である。家内は私より数回多く出席している。

 日中にはゴルフ大会が催され、夕方からの同級会である。ゴルフは私共夫婦にとっては全く知識もない世界だが、聞くところ殆どがやるらしい。
 ゴルフの実際の出席者は不明であるが、夜の交歓会は出席者19人と少なかった。しかし、丁度良い規模と思われる会で、誰かがスピーチしていてもみんなが集中して聞いて居れるし、気軽に質問したり、笑えたり、しみじみと共感も出来た。卒後34年振りに会うメンバーも数人居て、懐かしく、楽しい時間が過ごせた。

 私どもの同級生は4年ほど前に一名だけ胃ガン?で欠けたが、ほぼ全員生きているらしい、珍しいクラスである。だから、香典用の積み立て金も遣い道がなくて○百万円もたまっているとのこと。次にこの積み立ての恩恵を授かるのは誰かな、もしかしたら私かな?、と思ってしまう。今回は中越地震の見舞い金としても役だったらしい。

 出席者全員が一言ずつコメントを述べたが、内容的に大別すると4群に分けられた。まずは長岡在住のメンバーから中越地震のことが報告という形でじっくりと述べられ、これは住民として聴いても病院管理者の立場からも圧巻であった。次はやはり全員年だから健康面のことなど、聞いていてとても他人事と思えない内容である。さらに人生観の変遷など。もう一つは聞いていて全く分からないゴルフの腕自慢の話であった。

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