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それは暮れも押し迫る大晦日でありました。例年、子供達のリクエストで大晦日の夜前に我遜宅へ行く事になっていました。と言うのも森羅の実家の方では年越し参りと言うのが一般的で、そして神社の境内にはその年の厄年の男衆が厄落しのお振舞いをするのです。ミカンやお菓子や日本酒、甘酒に抽選によるDSなどなど。先着順だったりするので、紅白歌合戦が終わる前から長蛇の列をなす程。按配良く列に並んで年明けと共にそれぞれの列の先頭からお目当てのお振舞いを頂戴し、別の列に並び直して。これが全てお終いになると、広い境内に幾つもある小さなお社めぐり。こちらもお下がりと称して、参拝客にお菓子や日本酒や餅などが振る舞われるのです。これが子供達には楽しみなので大晦日の夕食は我遜宅でともう数年も続いているのです。キリスト教徒で社交性の低いモリラフはもちろん自宅で心気なく過ごす訳で。
所が昨年は少しばかり様子が違いました。と言うのは厳命しておいたキンシコウの部屋の片づけに進捗が見られなかったからです。冬休みに入る前からキツクキツク申しつけておいたのですが、鈍らなキンシコウ、ノラリクラリと日々を過ごし、大晦日にはお尻に火が付いてしまった訳です。いつもなら森羅が運転して3人そろって向かうのですが、キンシコウとモリラフだけにして進むとは思えず。 (モリラフは詰めが甘いんですわ…) キンシコウの未達成より、森羅も出発を遅らせる事に。それに不満なのはサクラン。我遜宅で準備されている食べ物は、洋食中心の森羅宅では頂かない様な物。沢山のお楽しみを逃す気が一考にないサクラン、出発の遅延は受け入れ難しとなりました。我遜の方も3人分は余分に準備してくれています。3人とも夕食に間に合わないのも心苦しく… 「お母さん、私一人でも電車に乗って行く!」 と心を決めたサクラン。
電車での道のり、それは小学校低学年には少々高めのハードルの気がします。乗り換えの駅は一か所。でも、その乗り換えの駅と言ったら、ホームが二桁に及ぶ大きさ。電車の乗り間違えによっては、有らぬ所に到着してしまう可能性もありまして… お迎えの都合が付かなければ、もう一つ乗り換えをして、着いた駅から20分ほどの歩きとなります。まぁ、普段から自分で出来る事は自分でする様に、自分で出来ないと思われたら周囲に手を貸して貰う様にお願いする―― と教えて来ましたので、恐らく一人でも何とか出来るだろうと思う森羅。所が普段から一緒に過ごす時間がなかなか無いモリラフは、トンデモナイ! の反応で。それでも意志強く固めたサクラン、ヤル気マンマンです。で、気掛かりなモリラフは 「我遜たちがピックアップしてくれる途中の駅まで同行する!」 と言い出して。 はぁぁ??? 行くのなら、中途半端に途中の駅でなくって、向うの玄関先まで連れて行ったら良いじゃないのぉぉ?? と思う森羅。それより、大人が送るだけの為に一往復したらどれだけの電車料金が無駄になると思うのよぉぉぉ?? 「貴方が送って行くとあくまでも主張するなら、サクランは行かせない!」 と言い切った森羅でありました。
森羅の勢いに気萎んだモリラフ、スゴスゴとキンシコウの片付けの監視に行きました。そこからです。ネットで時刻表検索し、サクランに荷造りさせ、移動ルートを教え込み始めたのです。何度腰が砕けた事か!! 「(右手にお金を置いて) これが大きい駅までの電車賃。(左手にお金を置いて) これが乗り換えの後に乗る電車の電車賃。」 と数回は繰り返し。「大きい駅に着いたら乗り換えをするけど、どう言う風にするの?」 と乗り換えの手続きを何度も何度も尋ねて確認。が、怪しい感じが残るばかりで、首に下げさせたスペアの携帯電話に紙を巻く事に。 [ ○○駅に行く電車のホーム__番 ○○駅に電車が到着する時間は_:__] と紙に書き、輪ゴムでグルリと巻いて留めました。 「いい?サクラン、乗り換えの駅に着いたら切符の買い方を駅員さんに聞きなさいね。で、次の電車の改札を抜けたら、そこの駅員さんにこの携帯を見せて書いて貰いなさいね!」 と結構、他力本願的な手法でハードルを下げてみました。それでも広い駅ですと、ホームを探すのでも結構な手間です。森羅なら乗り換えも5分あれば間にあうのですが、サクランがモタモタしたら一番連絡の良い電車には乗り遅れるでしょう。兎に角、乗り換えの駅が勝負。到着時間を見計らい、電話を入れてリモートコントロールをするしかないか! とう紆余曲折の結果に至りました。
予定の電車に乗る為、モリラフがサクランを駅まで送りました。大丈夫か??
電車出発の1分ほど後。まだ送っていったモリラフすら戻って来ていないのに森羅の携帯に電話を入れるサクラン。 「あのね、お母さん、幾つ目に停まる駅で降りたらいいの?」 と聞いてくる始末。 「終点までだから、ずっと乗っていれば良いの!」 と早くも前途多難な様子――
降車時間が近くなりました。サクランの携帯を呼ぶ森羅。あ、しまった! 降車駅の手前って数分ほど電波が届かない区分があった!! 「もしもしー―」 で電話が切れました。う〜ん… 降車時間を過ぎて… 今は切符を買っているだろう時間で… 改札を抜けて… ホーム探しをしている所かな?? 乗り継ぎの良い電車は行ってしまった後だから、ホームも静かだろうから確認の電話を入れましょうっか。 「もしもし? あ、お母さん。もう乗ったよ! 我遜おばちゃんには電話入れたよ。時間がなくってお母さんに電話しなくってごめんなさい。」 との事。 はぁ? 無理だと思っていた最速の乗り換えをしてしまったんですか?? 難易度C級だと思うんだけど…
予定より一本早い電車に乗れてしまったサクラン、慌てて到着時刻をチェックして我遜に連絡を入れて。到着2分前にサクランに電話をし、降車駅の確認を。1分後、「お母さん、駅に着いたよ。AD君、何処に居るのかな? いつものコンビニの所に行けばいいの?」 と電話が掛かって来ました。 「改札って、切符を食べちゃう機会があるでしょ? そこの所に来てくれるって言ってたから、その場を動かないでね。」 とリモートコントロール。
さてそれから20分ほど後。 「もしもし、お母さん、お寿司を残しておいたらいい?」 とサクランから。出発前のスッタモンダなど何処に言った風に無事に到着したサクラン。 「あのさぁ、上手に駅で乗り換えられたんだねぇ。私が書いた紙を駅員さんに見せて書いて貰ったの?」 と尋ねる森羅に 「ううん、しなかった。」 と答えるサクラン。 ええ? じゃ、口頭で必要な情報をやり取りしたって訳? と幾分、サクランの能力を評価しようと思ったら… 「あのね、ワウンちゃんと一緒だったの。」 と言うサクラン。 「え? ワウンちゃんって誰?」 と聞く森羅。「大学生だって。」 と答える物の、何が何だかさっぱり不明。うう、やっぱりサクラン、訳が判らん…
除夜の鐘が鳴り終わり、キンシコウの作業に多少の進捗が見られました。今までになく神妙に 「お母さん、ここまで片付けが出来たんで、我遜おばちゃんの所に連れて行って下さい。」 と頭を下げて来ました。モリラフと森羅、視察の上、上出来とは言えないにしても妥協点には達したと判断。それではと新年早々に車に乗り込み、暗い街の中を走りだした森羅。とても残念だったのですが、森羅が狙っていたお寿司は完売してしまったそうで… でもお寿司が頭にインプットされた森羅、道々のコンビニエンスストアに立ち寄り、江戸前寿司を探した物の玉砕でした。うう、キンシコウ… 君の所為でお寿司を食べ損ねたよぉぉぉ!! (; ;)
やっとで到着した我遜宅。残り物でしたがすき焼が出されて、あらぬ時間に腹ごしらえする森羅とキンシコウ。その周囲に年越し参りをホクホクして楽しんで来たAD君とサクラン。で、サクランにスムーズに乗り換えが出来たトリックを尋ねたのです。
「あのね、お家の駅のホームで、お母さんに言われた通りに乗り換えの駅に行くかどうかを聞いたの。ワウンちゃんがね、一緒に行こうって言ってくれたの。乗り換えの駅もワウンちゃんと一緒に走って行ったの。AD君が待つ駅もワウンちゃんが教えてくれたの。」
どうやら、話を統合してみると… 最寄りの駅でホームの確認をするのに、一番辺りが良さそうな女子大生を選んだのがワウンちゃんで、なんと偶然にもワウンちゃんの目的地はサクランの目的地よりも先の場所。そんな訳でサクラン、電車に乗る前から道先案内人を捕まえてしまっていたのだそうで… 顔だけはラブリーなサクラン、気の良い女子大生に上手に取り入り、道々の話し相手にもなって貰い、切符を買う際にも教えて貰い―― うま過ぎるぞ、サクラン!!
事情を知った我遜と森羅、大笑い!! 以前にキンシコウを一人で送り出し際、乗り換えの駅で到着時間を我遜に知らせる予定だったのが、公衆電話が無いのを理由にお迎えの駅まで移動。お迎えの駅に到着して公衆電話を掛けようとしたものの、故障か何かで使えず。どうしたものかと駅員さんに相談したら、駅の電話で我遜に電話を掛けて一件落着と電話代を浮かした事がありました。が、今回のサクラン、それの数倍上手を行くお上手さ! キンシコウもキンシコウでお上手だったのですが、サクランまで… ある意味、世渡り上手なヤツラって事なのでしょうか??
こうして初のサクランの電車での冒険、結果オーライとなりました。案ずるより産むが易し―― とは言いますけどぉ… ただただ笑っちゃいましたわ! って、見ず知らずの女子大生のワウンちゃん、ありがとうございました。貴方がサクランにしてくれた事は、将来、サクランはワウンちゃんを見習って誰かにお返しするでしょう。出来るなら、お目に掛かってお礼を言いたいけれど… ありがとうございました。 m(_ _)m
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こんばんは〜。サクランちゃん、なかなかの策士ですね(笑) よくがんばりましたのぽちです。
2012/1/19(木) 午後 11:40 [ - ]
ますいかい様>頑張りましたのポチ、ありがとうございます。全く、世渡り上手と言うか… 出掛ける前にあれやこれやと指南したのに… とチョッピリ思っちゃいましたわ。 (苦笑)
2012/1/22(日) 午後 4:54 [ 森羅・bang-show ]
今晩は
サクランちゃんの賢さは森羅様のDNAの為せる
わざ。将来が楽しみです。ポチです。
2012/1/22(日) 午後 11:23
buginnoseさま>賢さと言うよりは、本能的に嗅ぎ付ける力と言うか、第六感と言うかの不思議な物を感じます。将来、どんなになるのか… どうぞ見守ってやって下さいね。 (^−^)
2012/2/5(日) 午後 5:51 [ 森羅・bang-show ]