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構造方程式モデルは、観測変数と潜在変数の2つの変数を扱うことができる。観測変数とは実際に測定されているデータのことであり、性別や体重のように、質問紙上での数字的な反応データとして扱うことができるものである。構造方程式モデルでの観測変数は、通常連続的変数である。潜在変数とは調べたいが直接観測できない変数のことをいう。潜在変数を観測するためには、観測変数に関連させて潜在変数を表すモデルを構築する必要がある。
構造方程式モデルでいう潜在変数とは連続的変数であり、理論上、値の数は無数である。マーケティングにおける潜在変数の例をあげれば、ブランドへの態度、顧客の満足、ブランドの価値をどう感じているか、また買いたいという意志があるか、品質をどう感じているか、などがある。さまざまな形式の構造方程式モデルが発展しているにもかかわらず、大多数の人は変数の関係を線型で表している。このことは同時に、回帰分析や因子分析モデルにおいて変数がどのように関係しているか、つまり他の変数の重みづけされた線型のくみあわせとして、1つの変数を表現している。
パス図では、構造方程式モデルを端的にわかりやすく表すことができる。Amosのグラフィックツールを使うと、非常に簡単にパス図を作成することができ、作成したモデルに適合させるために必要な方程式を作ることも可能である。
観測変数は四角で表され、潜在変数は円か楕円で表される。パス図では、誤差項目が潜在変数として表されることに注目してほしい。誤差は推定されるものであって、直接定量化されるものではない。ある変数がもう一方の変数の「原因」と考えられるときには、変数間を原因となる変数から影響される変数にむけて、直線の片羽の矢印で結ぶ。どちらの変数がもう一方の「原因」であるかという仮説は自分で立てるものであって、データが提示するものではない。
構造方程式モデルには、ある変数が他の変数にどの程度従属しているかを表す、1つ以上の線型回帰方程式も含まれる。これらを構造方程式と呼ぶ。この方程式の集合が、時に構造方程式モデル、あるいは構造方程式モデルの構造モデルと呼ばれるのである。どの程度従属変数が独立変数に左右されているかを示す係数のことをパス係数と呼ぶこともある。
構造方程式では従属あるいは独立変数として、潜在変数を使用することもできる。構造方程式モデルで潜在変数を使用する場合には、通常「指標」変数と呼ばれる2つ以上の観測変数を用いてモデルをたてる。たとえば、潜在変数として、ブランドのロイヤルティをモデルに使いたいとする。あるブランドをどの程度利用しているか、そのブランドを利用し続ける意思はあるか、他人にそのブランドを推薦したいと思うかについて、顧客に程度の判断をしてもらう。1つの潜在変数としてロイヤルティを使ったモデルを作るときに、これらの質問に対する回答を指標変数として使う。それぞれの指標変数がロイヤルティにどの程度関連しているかは、因子負荷量で示される。
因子分析モデルと、構造方程式モデルによる推定は、似てはいるが異なるものである。因子分析でもっとも適用されているのは「探索的」、すなわち一連の変数間に存在している関係性を探し出すことを目的とするものである。また、変数の数をより小さい、扱いやすい数に減らすことを目的とすることもある。探索的因子分析(EFA)、主成分分析(PCA)のどちらでも使用することができる。
探索的因子分析、主成分分析のどちらにせよ、ある因子に対するある観測変数の負荷量に、どのような数値を仮定することも可能である。つまり、どの因子にどの変数が入るかは確定していないのである。固定するものは因子の数と因子間の関係をゼロにすることである。しかし観測変数はすべての因子に付加することができる。
構造方程式モデルを使用する場合には、確証的因子分析(CFA)のアプローチが取られる。どの負荷量とパス係数が自由に変動できるか、どれが特定の値に固定されるべき負荷量やパス係数かを自分で特定するのである。どの変数が互いに独立しているか、どの変数がともに変動するのかも自分で特定する。探索的因子分析と確証的因子分析のさまざまな違いについての詳細な考察はBollen(1989)を参照
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