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新習志野駅に到着した小久保たちはシーンとしている駅のホームのベンチに腰を下ろした。
小久保:ここ始発の東京行きがあるから調査してみるか?
渡辺:してみよう!余韻までは鳴るとは思うよ・・・。 榎田:でも千葉支社だからどうかなぁ? 小久保たちは2番線から発車する、新習志野始発の東京行きの調査を開始した。
新習志野駅で使用されている発車メロディの製作会社はテイチク製であり、4番線を除けば大概鳴りやすい。
そして、2番線の発車メロディ「夏色の時間」が静かなホームに響き渡った。
調査を終えた小久保たちは、
渡辺:これは凄すぎる!6コーラスも鳴るかよ!?
小久保:確かに・・・。最後の打ち返しは惜しかったなぁ〜。エノキッさん、収録した? 収録担当である榎田は、満面の笑みを浮かべてこういった。
榎田:もちろん!新習志野の駅でこんなになるとは本当に想定外だよ〜。いや〜、嬉しいなぁ〜!
小久保:時間に余裕があったのかな? 渡辺:たぶんそうだろうな〜。でも始発だからといって、こんなに鳴るとはなぁ・・・。 小久保たちは嬉しそうにしていた。その背後にもう一人、もの凄く嬉しそうにしている人が居た。
小久保:私たちの後ろにいる外人、マイクなどの収録機器を持っているけどもしかして・・・?
渡辺:外人の音鉄っているのか〜! その外人は、小久保たちの話が耳に入ったのか、自ら小久保たちに話をかけてきた。
ジム:はじめまして。ジェームズ・クレビッツといいます。ジムと読んでください。
小久保:こちらこそはじめまして、ジム。私は「発メロ研究会」会長の小久保 泰と申します。 渡辺:俺はこの会のメンバーの、渡辺という者です。 榎田:同じくメンバーの榎田。よろしくね。 小久保:ジムは今発車した電車のメロディを収録していたの?
ジム:はい、そうです。自分、日本に来て7年と少しになるんですけど、日本に初めてきた時にこの発車メロディに感動してしまって・・・。 ジムは現在、赤羽にあるビジネス会社に働いている。日本人学校を昨年卒業したばかりで、再来年に母国のアメリカに帰ってしまうという。
日本語学校に行ってたので、日本語の使い方も丁寧でなによりもイントネーションが良くて、使い方が上手だ。
榎田:発メロで一番好きな曲とかってある?
ジム:そうですね・・・、ユニペックス製の「せせらぎ」ですね。なんというか、日本って感じでいいです。 渡辺:発メロの製造元の会社名も知っているんだね。ジムはかなりの発メロ好きかな? ジム:自他共に認める、「米(べい)の発メロキング」です。 小久保:ほぉ〜、それは凄いね。突然で申し訳ないんだけど、もしよかったら私たちの研究会に入ってくれないかい? ジム:もちろん、大歓迎です。ぜひ、よろしくお願いします。 小・渡・榎:よろしくお願いします!!! こうして、ジムことジェームズ・クレビッツは、「発メロ研究会」のメンバーとなったのだった。
小久保:今日はもう遅いから、引き上げよう。
渡辺:そうだね。なんだか寒くなってきた・・・。 小久保たちは早々と引き上げるのであった。
つづく・・・。
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鉄道小説
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久しぶりの鉄道小説です。主な登場人物の紹介をします。
主人公:小久保 泰(全章)
仲間:渡辺樹多(全章)
仲間:榎田武蔵(全章)
仲間:ジェームズ・クレビッツ(第2章から最終章)
榎田の知人:入江早菜絵(第3章から最終章)
それは、1989年の春の頭であった・・・。山手線の利用者の一人、小久保 泰はいつものように渋谷から乗車した。
小久保は、道玄坂に「コーヒーショップナポリ」と言うコーヒーショップを開いている。
住まいは、東五反田にあり、いつも山手線を利用している。 でも、その日の山手線の渋谷駅の様子はなにか違った。 いつものように、205系が到着すると聞いたこともない、和む音楽がホームに響き渡る・・・。
小久保が最初に聞いた発メロだったのは、「ミュートピアノと鈴」だった。 小久保は発メロに惹かれてしまった・・・。
あれから20年・・・。
首都圏の路線では、ほぼ全駅に駅メロが導入されている。
小久保は最近になって、「発メロ研究会」と言うものを結成した。
小久保が中心となり、榎田武蔵、渡辺樹多がメンバーとして参加している。 発メロ研究会と言うのは、発メロを調査することだ。 渋谷駅の発メロも、すっかり変わってしまった。
小久保:渋谷駅の発メロも当時と比べて明るくなったよなぁ〜。
榎田:うん。でも当時の発メロはそれでよかった気もするけどね。 渡辺:俺はYAMAHAの方がよかったよ。 3人はいつものように、コーヒーショップナポリで発メロについて熱く語った。
小久保:そういえば最近、発メロの新曲や再採用が増えてるよな。
渡辺:例えば巖根駅の幸せチャイムやVerde Rayoのエンドレスだね。 榎田:数年前には京葉線で相次いで新曲が採用されたな。 小久保:京葉線ってオリジナル曲が多いよね。 榎田:よぉ〜し!今度、調査だ! 数日後、発メロ研究会のメンバーは東京駅に居た。
渡辺:この東京駅の発車メロディ(Verde Rayo V2)もいいよな〜。
小久保:でもなかなかフルコーラスは鳴らないけどね・・・。 榎田:よし、早速行くか! 小久保:まず最初は「舞浜駅」から調査だな。 そして3人は、海浜幕張行きの205系電車に乗って、舞浜駅まで行った。
そして舞浜駅に到着した。
榎田:さすが舞浜!ディズニー客で混んでるな。
小久保:早速、調査だ! 乗ってきた海浜幕張行きがどのくらい鳴るか調査した。
なんと、3コーラスも鳴った。 調査後、渡辺はおもわず、
渡辺:こりゃスゲーな〜!!!
小久保:まさかのまさかだな(笑) その後も東京方面を調査したがだいたい2コーラスくらい鳴った。
榎田:次、どこ移動する?
渡辺:リーダー、新習志野とかどう? 小久保:ナベさん、グッドアイディアだね!早速向かおう。 各駅停車蘇我行きのE331系電車に乗り、新習志野駅まで向かった。
つづく・・・。 |
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そして、時は2008年・・・。 真紀美は立派な運転士として、また209系を彼氏として、成長を遂げていた。 が、209系が導入されて15年もの月日が経ち、209系も老朽化などが進んでいった。 真紀美の彼氏の209系も、廃車がどんどん進み、相次いで彼氏も居なくなってしまった。 偶然、堤との乗務だった。運転する電車はもちろん209系。 堤:「おう、長谷川!209系もここ最近ですっかり見かけなくなったよな〜。」 真紀美:「あ、堤くん。私の彼氏、最近相次いで居なくなっちゃってるんだ・・・。」 堤:「最近はE233系と言う電車に置き換えられてるからなぁ〜。」 209系独特のVVVF音などはもう二度と聞けなくなってしまうのか・・・。真紀美は心の中で悲痛に感じた。 そして真紀美は決めたのだ。 真紀美:(私の彼氏が引退したら私も引退する!) そして、2010年・・・。 最後まで残った、ウラ52の引退とともに、真紀美も引退した。 山本:「真紀ちゃん、まだまだ出来たのに・・・。残念だわ・・・。」 堤:「お前と仕事ができて嬉しかったぜ!」 そして、真紀美は大きな庭つきの家を購入し、209系を1車両分置いた。真紀美は彼氏をいつまでも、見ることは出来て、歓喜の笑みをこぼした。 完 次回の小説はまだ考案中です。お楽しみに〜。
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波高が永眠して、数年後、真紀美はJR東日本に入社した。そしてまた数年後、試験を受け見事合格。運転士になれた。 真紀美最初の乗務は彼氏の209系だった。真紀美は歓喜した。 真紀美が運転する電車は、大宮を13時32分発車する、快速蒲田行きだ。 そしてとうとう乗務する日がやってきた。真紀美は興奮が止まらなかった。真紀美は209系に向かって・・・ 真紀美:「よろしくね、彼氏くん。」 そう言って真紀美は乗務員室の扉を開け、運転台に向かった。保安装置など確認して、準備も万端。真紀美は終点の蒲田まで乗務するので、少し緊張していた。なぜかというと、自分の地元まで運転するからだ。 そう思っているうちにドアが閉まり、戸閉め灯が点灯していた。 真紀美はあわてて、 真紀美:「点!信号45!大宮、定発!」 張り切って言ってみせた。彼氏の209系がそれを答えるように、209系はぐんぐん加速していく。 電車は、田端や東京・品川の駅を通り過ぎた。そしてとうとう終点の蒲田だ。 終点の蒲田ではほぼ0cmで停車させていた。 真紀美:「滅!蒲田定着!」 そう言って、バッグなどを持ち乗務員室から出てきた。真紀美は209系の顔の方へ向かって、こう呟いた。 真紀美:「ありがとうね。彼氏くん。」 そう言って休憩室に入っていった。 休憩室には同僚の山本向日葵と堤 嘉夫が丁度居た。 山本:「あら、真紀ちゃんじゃないの!209系どうだった?」 真紀美:「あっ、向日葵ちゃん!209系はやっぱり最高だったよ!」 堤:「お前は筋金入りで209系を愛しているもんな!」 真紀美:「愛しているよ。209系は私の彼氏だもの。」 休憩室は209系の話題で盛り上がった。 およそ20分の話の末、山本と堤は乗務があるので休憩室から出て行った。 真紀美の乗務は今日はないので、運輸区に戻った。 運輸区に戻った真紀美は上司の並木夕真が居た。 並木は真紀美の研修時代の恩人で、現在もいろいろとアドバイスを貰っている。そんな並木ももうすぐ定年だ。 並木:「やあ長谷川くん。一人での最初の乗務、ご苦労さんだったね。どうだったかい?」 真紀美:「並木先輩、どうもです。やはり209系の乗務は最高です!」 並木:「君は209系だけしか乗務したくないって言ってるからなぁ〜。やりがいがあっただろ?」 真紀美:「もちろんです!」 そして数ヵ月後・・・。 真紀美:「並木先輩、定年おめでとうございます!」 並木:「いやいや、とんでもない。」 山本:「私は並木先輩を見習っていきたいと思います。」 並木:「頑張ってくれよ!」 堤:「本当にお疲れ様でした!」 並木:「ありがとう。」 その後、並木先輩を送る会と言う催しをやった。 並木は入社から現在に至るまで無事故で努めてきた。社内の方から賞状が渡されていて、並木も大変喜んでいた。 真紀美は並木を見習いながら、209系を使いこなしていった。 最終章へ続く...
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真紀美は念願の209系に乗ることができた。 座り心地は103系より硬めだ。ドア上の次駅表示板は、「蒲 田」と言う表示を何度も点滅させていた。そして車掌のアナウンスが・・・。 車掌:「おはようございます。ご利用の電車は、品川・東京・田端・赤羽・浦和方面の大宮行きです。蒲田を出ますと、大森・大井町・品川の順に、終点まで各駅に停車致します。まもなく発車時刻となります。ご乗車のままでお待ちください。」 新鮮とした車掌の声が、真新しい車内の中を響き渡った。 そして発車メロディが鳴る。有名な蒲田行進曲だ。始発らしく2コーラス鳴らした。 とうとう発車だ。ドアが閉まったとき、ドアの方から音が3回鳴った。ドアチャイムだ! 真紀美は心の中で思った。 真紀美:(この電車、最先端の技術を採用した電車だわ。私がこんな電車に乗っているなんて、信じられない!) 発車時、今まで聞いたことがない音が・・・!VVVFだ。 真紀美は、このまま興奮を抑えきれず、終点の大宮まで行ってしまった。 折り返しなので、209系をパシャリと撮った。 今度の電車は、磯子行きだ。方向幕や車内の細部などを撮ったりした。 そして、磯子行き乗車。蒲田まで乗車した。蒲田で降りた真紀美。時刻を確認すると、10時ちょっとすぎだった。 日曜日で波高も仕事がお休みなので、早速家に帰って波高に報告しようとした。が・・・、波高が居ない。今日は特別な用事がないから、ずっと家に居ると言っていたはずなのに・・・。 真紀美は急な用事が入ったんだと思い、夜まで待っていた。が、なかなか帰ってこない。 時計を見上げると、既に23時を回っている。 真紀美:「遅いなぁ〜、お父さん。どうしたんだろう?」 ふと思った瞬間、黒電話が鳴った。 真紀美は恐る恐る電話に出た。 真紀美:「はい、長谷川ですけど・・・。」 警察:「夜分に恐れ入ります。蒲田警察署の者なんですが・・・。」 真紀美:「はい、何かありましたか?」 警察:「大変言いがたい話なんですけども・・・。」 警察官は数秒間無言のままだった。そして・・・。 警察:「実は、20時頃に南蒲田の交差点でですね、環八通りから第一京浜に向かう大型トラックが人を轢きましてね・・・。」 真紀美:「はい・・・・・・。」 警察:「その被害者の身元を確認しましたところ、波高さんであることが判明しましてね・・・。」 警察からそう言われた瞬間、真紀美は頭の中が真っ白になり、手から受話器が落ちた。 しばらくして、真紀美は受話器を持ち直した。 警察:「もしもし?大丈夫ですか?」 真紀美:「はぃ・・・、大丈夫です・・・・・・・・。」 警察:「一応、ご本人確認の為に署まで来てもらいたいのですが、よろしいですか?」 真紀美:「・・・・・・・はい。」 警察:「ではお願いしますね。」 そう言って警察は電話を切った。 真紀美は途端に涙が一滴、ポロリ、と床に落ちた。しばらくはその場で大粒の涙を流してしゃがみこんでしまった。 しばらくして落ち着いた真紀美は、自転車で蒲田警察署の方へ全速力で走った。 警察署に到着した真紀美は、重たい足でゆっくりと入口に踏み入れた。 霊安室の方へ足を運んだ。 霊安室の扉を開けると、手前の椅子には、北品川に住む、波高の父と母がわざわざ来てくれていた。 波高の母:「あら、真紀ちゃん、波高がこんなことになって非常に残念だわ・・・。」 波高の母は涙ながらにそう言った。 波高の父:「私の所にも連絡があって、咄嗟に着替えて、北品川の駅に向かったのさ。最終に間に合ったからよかったけど、間に合わなかったら、波高に会えていなかったかもしれない。」 波高の父は歯を食いしばって言った。 真紀美:「・・・父の為に、わざわざ遅い時間に駆けつけてくれてありがとうございました。」 真紀美は目頭に涙を溜めながら言った。 真紀美は波高の眠っている所へ近づいた。本当に波高だった。大粒の涙をボロボロこぼした。 真紀美:「なんで死んじゃうの・・・。なんで先に死んじゃったの・・・。ねえ、返事してよ・・・。」 波高の母:「真紀ちゃん、現実を受け入れたくないのかもしれないけれど、現実を自分の体で受け止めないと駄目だよ。」 波高の母はハンカチを片手に持ちながら言った。 数日後・・・、波高の告別式の日・・・。 家から波高が火葬場まで運ばれる。 真紀美は、波高の顔を撫でて、こう話かけた。 真紀美:「お父さん、209系は私の彼氏にする!」 真紀美はそう決心したのだ。209系は波高がとても気にしていた車両だったから・・・。 そして、波高が見守ってくれている、そう思ったから・・・。 真紀美は209系を彼氏として、ずっと愛し続けることを決心した。 第3章へ続く...
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