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君は、見事にシラを切ったね。
完璧に、演じてた。
僕の問いに、すべて、身をかわして。
ある意味、僕の想定内では、あったけどね。
今日は、初回のジャブ程度だからね。
君が、どんな反応するか、知りたかったんだ。
でも、どこかで、まだ、僕は期待していたね。
君が、正直に話してくれることを。
夫に対して、後ろめたさを、なんらかの形で表明してくれることを。
さすがに、無理だったね。
言うはずないよね、自分から。
君の人生を賭けた、嘘だもの。
今日、僕はね、興信所に行ってきたんだよ。
これまでの君に関する、調査報告書、すべて見せてもらった。
裁判資料としては、申し分のない、完璧な資料だった。
それを、直接、君に示して、事実を認めるか、迫ることはできる。
でも、僕は、それをしなかった。
僕は、できれば、君の口から真実を語ってもらいたかったから。
そんな、露骨なことじゃなくても、いい。
「私、好きな人がいる。今、つきあってる」
謝罪しなくてもいいから、君が、自分に嘘をつくのは、見たくなかったんだ。
でも、やはり、無理だった。
君は、嘘をついた。
「嘘をつくような生き方はしない」という、君のポリシーは、完全に崩れた。
「この前、君が言ってた『お互いに自由に生きればいい』って、どういうこと?」
2月14日に、8ヶ月ぶりに話した会話の内容から、僕は君に尋ねた。
「自由に生きたいって、どういうことなの?」
「家庭に縛られていて、自由がないからね。
具体的には、夕飯の時間を常に意識して、帰宅しなきゃいけないことね。
あなたは、自由に、夜の会議とか平気で入れられて、いいわよね」
さっそく、君は、ファイティングポーズを取りながら、話しをずらす。
僕は、今日は、君とやり合うつもりはないので、穏やかに話す。
「恋愛も含めて、私は自由にやる、って意味かと思った」と僕は返す。
「今さら、恋愛はないでしょう?こんな、おばさんが」
「恋愛に、年齢は関係ないでしょう?」
「そうなの?」と、君は肩をすくめて、不思議そうな顔をする。
君は、今、恋しているのにね。
「大好き…」「愛してる…」って、さんざん彼に告げているのに。
ドキッとしたことはオモテにも出さず、「何、言ってるんだか?」と態度をとる。
そのポーカーフェイスは、一級品だ。
「君を、先月の12日の土曜日、ブルーベリーで、見たっていう人がいるんだ。
一緒にいた男性と、すごく楽しそうに会話していたって。
そんなことを、夫に告げ口するのも、どうかとは思うけどね」
僕の発言は、嘘だ。
君が、相手の男と、ブルーベリーで食事してるのは、ビデオで撮れている。
そのあと、ラブホテルに行くとこまでね。
でも、君がどう答えるか、聞いてみたかったんだ。
君は、おかしそうに満面の笑みを浮かべて、シラを切る。
「ブルーベリー…?
あぁ〜、あの多摩湖の近くの?
随分前に、家族で行ったことあるわよね?
そんなとこ、行ってないわよ。他人のそら似じゃない?」
そして、君は、巧妙な反撃に出る。
「そんなことを、わざわざ告げる人って、普通じゃないわね。
よほど、あなたと親しくないと、言わないでしょう?信じるの?」
君が、認めないことを確認した上で、僕は君に問う。
「嘘はつかない、後ろめたい生き方はしないっていうのが、君のポリシーだよね?」
君は、動揺をオモテに出さず「うん、うん」と、当たり前のようにうなずく。
「そんな告げ口、くだらないと思うよ。
別に、妻が男性と食事してたって、いいじゃないか、と僕は思う。
でも、一応、気にはなっていたので、聞いてみたかったんだ」と僕は答える。
君は平静を装いながら、僕の話を聞いている。
表情を変えない君に、僕は、第2弾を繰り出す。
「君を、先週の夜、中央公園の体育館のところで見たって人もいるんだけど?」
君が、仕事終えてから、男と待ち合わせ、彼のセレナで行ったところだ。
君は、公園の駐車場に止めた車の中で、彼とずっと楽しそうにおしゃべりしてた。
その一部始終は、赤外線ビデオに収められている。
「君が、体育館の販売機に、飲み物を買いに行ったのを、見たって。
駐車場の車のなかで、どこかの男性と、親しげにずっとしゃべっていたってさ」
僕は、君の反応を見る。
君は、表情ひとつ変えずに、言ってのけた。
「私って、結構、似てる人、何人もいるみたいよ?
そんな、夜に体育館行く理由がないじゃない?」
「前は、ママさんバレーで、よく行ったけどね。息子のサッカー観戦でも行ったけど。
先週?あり得ないじゃない」
君は、さもおかしそうに、僕に笑いかける。
認めるはず、ないよね?
わかっていたけどね…。
でも、君が「嘘はつかない」というのは、嘘だって事は、ハッキリわかった。
「一応、夫としては、そんな告げ口が、二度続くと、気になってね。
12月以来、夜の外出、多いでしょう?
君が誰と会ってるか、詮索するつもりは、毛頭無いんだけどね」
「ひとりでドライブに出てるだけよ。あと、イオンとか買い物に行くだけ」
君の言うこと…、みんな、みんな、嘘なんだね。
君の言うドライブって、彼と待ち合わせて、ラブホテルに行くことだものね?
それから、ふたりで「自由な生き方」と「離婚」を話し合ったね。
君は、結局「仕事と家事と子育てに追われた13年間のリベンジ」を語った。
今のふたりについて話していても、どうしても、君は、昔の恨み節になっちゃうね。
僕からすれば、それは共働き夫婦の当たり前の生活なんだけど。
君からすれば、僕と結婚したから余計な苦労を背負い込むことになったという捉え方だね。
よほど「友達とランチを楽しむ専業主婦」への憧れがあるんだね。
「君の、そのリベンジには、出口がないね。
どちらかが先に死んで、葬式の時に、終わったなって実感するのかも知れないけど。
さすがに50を過ぎると、残りの人生、それじゃイヤだなと僕は思うんだ」と僕は言った。
君は「子ども達も成人してしまって、あなたに同じ思いさせることも、今さらできない。
離婚するならお金で解決するしかないわね。慰謝料は、それなりに頂かないとね」と言う。
…おいおい、君は今、そんなこと言える立場にあるのかい?
もう、午前2時、僕は、君に確認する。
「嘘はつかない。他人様に後ろめたいような生き方はしないっていうのは変わらないね?
そうでなくなったら、君が、君じゃなくなっちゃうものね?」
君は、さも当たり前のように「もちろん」と、笑顔で応じる。
君は、いつも自信たっぷりに、上から目線で僕に話すね。
でも、君の右目、眉との間、まぶたの上…、ひくひく痙攣しているよ?
君は「寒い。もう寝る」と、寝室に降りて行こうとする。
僕は「最後に、ひとつだけ、いい?」と、君を引き留める。
僕なりに、君への想いは告げておかなきゃね。
「こうして話していると、どうしてもネガティブな言葉の応酬になっちゃうけど。
僕なりに、ポジティブに君を愛そうと、愛情を込めて努力してきたんだよ?
君からすれば、自分勝手な言い分だろうけど、僕の想いはそうだったから…」
「私だって、あなたに一生懸命、笑顔で話しかけてきたじゃない。
でも、あなたは、押し黙って、私に応えようとしなかった」と君は言う。
そう、僕たちは、お互いになんとかしたいと思って、それなりに努力はしてきたんだよね。
「でも、僕にたいしては、愛してるって、とうとう言わなかったね?」
僕は、最後のひとことを、君に告げる。
君は、僕をちらっと見て、「おやすみ」とだけ、ひとこと残して、寝室に行った。
こんな時間でも、君は、これから、彼に電話をするんだろうか?
「マズイことになったの…。知ってる人に見られてた…。」と相談するんだろうか?
彼は、そんな君に、どう応えるんだろう?
僕は、パソコンに向かいながら、君とのやりとりを、改めて考えた。
あくまでもシラを切り通した、君の気持ちを、考えていた。
でも、もう、午前4時半だ。
明日も仕事だし、寝よう…。
(3月18日未明記)
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顔色変えず嘘を突き通す…
でも心の中では動揺が広がっていることでしょう。
興味津津ですので記事アップ楽しみにしております。
2011/4/20(水) 午後 3:49
あなた自身も悲しい人にならない様に、良き人生を歩んでください。
2011/4/21(木) 午後 8:31 [ kaz*89* ]