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僕は不愉快だ。
苛立っているのが、自分でわかる。
今や家にいるときには、常に妻のケータイを視野に捉えている。
リビングに妻がいる時、大抵ケータイはテーブルの上か電話台の上に置かれている。
そうでなければ、妻の掌の中にいる。
リビングにいる時には、大体ゲームをしている筈だが、時には僕の目の届かぬところでメールも打っているようだ。
そんな場合には、僕が室内を移動しようとすると、パタンとケータイを閉じる。
そして、何気なく黙って階下に下りて行く。
夫がいるその部屋で、よその男にメールを打ち、寝室に下りて発信をしている。
入力はできても、そのままリビングで窓際に移動して発信すると、メールを打っていたことがばれてしまうからだ。
昨夜は、もう夕食の準備が整っているというのに、妻はなかなか寝室から上がって来なかった。
妻が要求していた通り、「7時の夕食」に間に合わせるために、僕は慌ただしく料理し準備をしたというのに。
僕がテーブルに食器を並べ始めた時点では、妻はリビングにいた。
次男に「ご飯よ」と声をかけ、妻は確認するようにケータイを開いた。
多分、着信メールがあったのだ。
まだ、夕食には間に合うと思ったのだろう。
そして、すぐに返事をしなきゃと思ったのだ。
妻はそのまま黙って、ケータイを持って階段を下りていった。
寝室でケータイの文面を読み、そして返信を打っていたに違いない。
僕はそんな妻を急かさぬように、なるべく音を立てずに夕食を盛りつけた。
子供らは既に椅子に座り、母親の着席を待っていた。
それでも妻は戻らない。
僕は「食べよう」と子どもに声をかけ、先に食べ始めた。
妻はリビングに戻ってくると、明るく「まぁ豊かな食卓」と明るく言い放った。
「何これ?エリンギ?」などと言いながら、食べ始めた。
自分が階下で、何をしていたのか、尋ねられることを封じるように。
妻は、学校の行事のことや子供らの級友のことを話す。
良い母親だ。
ほんの十数秒前まで、家族に隠れて男にメールを打っていた女とは思えない。
たいした嘘つきだ。
男の僕の方が、不器用だ。
妻は場面によって、ころっと表情を変えられる。
僕はそんな妻を見てて、むかむかして不機嫌になる。
妻からすれば、ますます一緒にいてもつまらない男になり下がる。
僕は、テレビ画面を背に、黙って食事をする。
夕食が終わると、すぐに長男は自室に引き上げる。
妻は、ソファに座ってテレビを見る次男に寄り添うように、ウッディフロアの床に座る。
傍らにケータイを置いて。
僕は換気扇の下で一服してから、食器を洗い始める。
妻がケータイを手にしているのが、視界に入る。
妻は座ったまま後ずさりし、子どもにケータイの画面が見えないようにしている。
メールが届いたのだ…。
妻が座っていた位置は、圏外にならないで済む位置なのだろう。
しばらくケータイを見つめた後に折り畳み、ほんの少しの間、子どもとテレビを見ている。
そして、何も言わず黙って立ち、寝室に下りていく。
僕は反射的に時計を見る。
そんなに長いメールではないだろう。
10分か15分というところか?
予想通り、妻は16分でリビングに戻ってくる。
ケータイを持たずに。
何事もなかったかのように。
僕は、入れ替わりに寝室に下りてみる。
ケータイは充電器に差し込まれ、赤いランプを灯している。
夜10時半、次男が風呂に入ると、リビングには妻と僕だけだ。
黙ってテレビを見ている。
妻は何も言わずに、階下に下りていく。
リビングには、僕ひとりだ。
僕は、テレビなど見ていない。
ひたすら明るく、陽気に賑やかに騒いでいるタレント達。
目障りだ。
僕は、ただソファで座っている。
妻は、僕の足の下で、ケータイをいじっている。
僕は、腹立たしい。
むかむかしてくる。
次男が風呂から上がり、牛乳を取り出して飲む。
冷蔵庫からヨーグルトを出し、テーブルの椅子を引いて、スプーンで食べ始める。
つけっぱなしのテレビ画面を、僕と一緒に見ている。
妻がリビングに上がってくる。
たまたまではなく、次男が風呂から出た気配を察してだ。
子どもとの時間を、とても大切にしているのだ。
たいした母親だ。
夫の僕には、一言もかけない。
自分のしている不自然な行動を、誰にも気づかれていないと思っている。
不器用な僕は、うまく誤魔化すこともできないので、ただ黙ってテレビを見ている。
いや、見ているふりをしている。
そんな、我が家の団欒の時間…。
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読んでるほうもイライラ・・・・
リュウさんはお食事の支度 荒い物までやるんですか??
奥さんは 携帯ばっかりやってるの??異常ですね〜
恋愛異常??
ま〜!!女は演技がうまいですからね^^;
頑張っているリュウさんにぽち!
2011/6/21(火) 午前 9:33
あれれ・・・漢字間違いでした
洗い物・・ことらが正しいです
2011/6/21(火) 午前 9:35