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朝、長男がクラブに行くため、7時台に起きようとした。
妻が寝返りを打って、時計を確認する仕草に目が覚めた。
妻が、布団の中で身を寄せてきた。
妻の体を抱き寄せ、朝立ちしている自分の下半身を押し当てた。
妻のウエストに手をまわしても、身を離さなかった。
妻の腰から下に手をはわせていくと、明確にはねのけられた。
起きようとすると「いいよ。私が起きる。夕べまた遅くまで起きていたんでしょう」と妻が言う。
ありがたく、寝坊させて貰うことにした。
それからまた眠り、気が付くともう11時近かった。
やばい!と思った。
滅多にない寝坊だが、自分が行うことを求められている家事を一切やらなかった事になる。
リビングに上がると、次男も起きたばかりだった。
妻は洗濯物を干していた。
「おはよう」と声をかけたが、返事は無かった。
機嫌が悪い。
眉間に皺を寄せて、目が吊り上がっている。
既に化粧もしっかり済んでいた。
本当は、午前中から出かけるつもりだったのかもしれない。
何も言わず、僕と入れ替わりに寝室に勢いよく下りていき、シーツと布団カバーを剥がし洗濯機をまた回し始めた。
僕が次男と二人だけの遅い朝食準備をしている間も、妻は苛立ちを露わにした表情で動き回っていた。
僕が声をかけても、一切返事はなかった。
11時20分。
妻は寝室に下りていった。
冷凍の米飯をレンジで解凍し、即席みそ汁を作り、大根をおろしシラスをかけ、のりを出して、僕は次男と納豆ご飯を食べた。
11時40分。
洗濯機が仕上がりを告げると、妻は上がってきて手早くシーツ等を庭に干すと、また寝室に下りていった。
静かだった。
メールをしているのだろう。
僕は新聞を少し読んでから、リビングの掃除を始めた。
12時20分。
妻は寝室から上がってきて、今度は風呂の掃除をし出した。
20分程して、また寝室に下りていった。
しばらく寝室で、ガタガタ何かしていた。
1時頃には、また静かになった。
僕は階下に物音が伝わるように(今、決して夫は階下に下りて来ないという保証を妻に伝えながら)家具を動かしてフローリングの掃除を進めた。
その後、気になっていた台所のクロス壁を拭き始めた。
1時20分。
長男から電話があった。
「昼飯食ってくから」という短い内容だった。
「ん、わかった」とだけ返事した。
多分、妻はその電話のやりとりを、ベッドの上で類推していたろう。
1時40分。
妻が上がってきて「お兄ちゃん、食べてくるって?」と僕に確認した。
「みたいだね」
今日始めて交わした、夫婦の会話だった。
続けて次男の所在を尋ねるので「部屋にいるよ。出かけるって」と答えた。
この二言だけのやりとりで会話は終わった。
次男が出かけた。
妻は、食卓でナンプレを始めた。
僕は、台所で煙草を吸っていた。
家の中に夫婦二人だけだ。
会話はない。
何か話すべきだろうと思った。
別に妻のメル友のことを直截に話題にする必要はない。
最近オープンしたショッピングモールに行ってみることを、後ろから妻の背中に提案した。妻は「今から?」と肩をそびやかして、呆れたというように黙った。
僕は寝室に下りて、ようやく着替えた。
寝室には、妻の捨てた古い化粧品類がレジ袋に詰め込まれていた。
ケータイは充電器に差し込まれ、赤いランプを灯していた。
リビングに戻ると、妻は入れ替わりに寝室に下りていった。
僕は、リビングのソファで本を読み始めていた。
一緒に出かけることを拒否された以上、どうしようもない。
少し腰を落ち着けて、なぜ今朝不機嫌だったのか、聞いてみても良いだろう。
本から目を上げると、ハーフコートを着て外出する格好になっている妻がいた。
唐突な展開に「出かけるの?」と尋ねると、妻はどこへとも言わず、バッグの中味を確認していた。
「家にいたくないんだ?」と僕は尋ねた。
僕としては、夫と一緒に、という意味合いで伝えたつもりだったが
「一日いたくなんかないわよ。前から言ってるでしょ!」
と妻は挑みかかるように冷笑した。
妻は、続きの会話を避けるように、さっさと玄関に向かった。
僕はソファに腰掛けたまま、「今朝機嫌が悪かったのは、なぜなの?」と声をかけた。
妻は一瞬怪訝な表情を浮かべ「シーツを洗いたかったからよ」と靴を履きながら答えた。
「僕が寝坊してたから、シーツを洗えなかったということ?」
「そうよ」
それだけ言って、急いで出て行った。
夫と余計な話を交わすつもりは無いと宣言するように。
あるいは、待ち合わせに遅れることに苛立つように。
直後に、マンションの集合玄関の呼び出しが鳴った。
次男が帰ってきた。
友人との待ち合わせが、上手くいかなかったようだ。
妻は一緒に玄関に戻ってきて「お母さん出かけるからね」と次男に言い、すぐに出て行った。
夫とコミュニケーションを図ろうとする努力は一切見られないが、息子達とは本当に寸暇を惜しんで会話を図っている。
大したものだ。
次男と一緒に、カップラーメンを食べた。
次男のケータイにメールが届き、30分後に次男も出て行った。
長男は帰ってこない。
休日、僕は家に一人だ。
天気の良い祭日の午後を、所在なく過ごした。
テレビで駅伝を放映していて、僕はずっとリビングにいたのだが…。
どの国が、何着だったのか、僕は、まるで知らない…。
【おわり】
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ここで終わりになったということは、その頃、その後、自分自身になにかがあったのかな。
そして、その後、ブログをはじめた。
2011/7/5(火) 午前 8:51 [ MEME ]
自分の手をブログにUPしたね。
2011/7/5(火) 午前 8:52 [ MEME ]
間違ってあたしに送信してしまった「あの写真」はこの後に起こったことなのかな^^
2011/7/5(火) 午前 8:53 [ MEME ]