□■□ひとり静かに思うこと□■□

六白金星、今年は最高の運気の年だとか?ほんまかいな?

初恋の頃

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高校の卒業式を迎えた。

受験した大学はすべて、落ちた。
たいして受験勉強もしてないし、当たり前だ。

卒業式の日、サークルの解散式をやった。
僕の横には、いつも寄り添うようにケイがいた。

今も、写真が一枚残っている。
僕が手を振りながら話す横で、身を寄せて座るケイ。
彼女は、つまらなそうに自分の爪を見て黙っている。

その夜、ケイを家まで送った。

ケイの家は、隣の駅で少し距離があったが、わざわざ回り道した。
ふたつの駅を中心に拡がる住宅街の間には、まだ田んぼが拡がってた。

暗い夜道で、ケイが突然立ち止まった。
「ん?」
僕が振り返ると、ケイは泣いていた。

「どうした?」
僕が肩に手をやると、ますますケイは泣きじゃくった。

僕はケイを抱き寄せた。
ケイは僕の腕の中で、激しく泣いていた。

街灯もまばらな、田んぼの中のアスファルト道。
僕たちは、ずっと何も言わないで抱き合っていた。

僕はケイの髪の毛に頬ずりし、頭をなでていた。
ケイは僕の胸の中で泣きやんで、静かになった。

ケイが、ふと自分から身を離した。
僕の顔を見上げ、それから静かに目を閉じた。

僕の前に、目をつぶる彼女の唇があった…。

彼女は、求めていた。
僕のキスを…。

まだ、一度もかわしていないキス。
ケイにとっても、僕にとっても、生まれて初めてのキス…。

僕は、迷った。
彼女は、静かに目を閉じたまま、待っていた。

僕は、彼女を引き寄せた。

そして…。

再び、彼女を抱き寄せて、ケイの頭を撫でた。
僕の肩までしかないケイの、おでこにキスをした。
彼女の髪の生え際に、ずっと唇を押し当てていた。

彼女は、目をつぶったまま、じっとしていた。
僕も、彼女を抱えたまま、じっとしていた。

遠くの電車の音と、田んぼのカエルの声が、やたら耳に響いた。


…………


4月、新しい生活。
ケイは高校2年になり、僕は浪人生になった。

予備校にも行かず、僕は自宅で受験勉強を始めた。
高校が自宅の近くだったので、しょっちゅう顔を出していた。

ケイは、バトミントン部で張り切っていた。
時々、夕方、いつものように遠回りして、彼女の家まで送っていった。

自宅での受験勉強は、僕には苦ではなかった。
むしろ自由に時間を使えて、自分にはケイがいることが励みになった。

ケイと以前のようには逢えなくなったけど、何も変わってないと思ってた。
僕はケイを、いつも愛しく思っていた。
ケイも、いつも僕をとびきりの笑顔で迎えてくれていた。

まさか…。

突然の別れが訪れるとは、思ってもいなかった…。


(つづく)
(次回、最終回)

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高校生活の終わりが近づいていた。

卒業式を間近に控え、謝恩祭が行われた。
在校生が、卒業生に贈る文化祭のようなものだ。

生徒達は、体育館に集められる。
ケイは、僕と一緒に行きたいと言っていた。

同じ校内で、わざわざ待ち合わせをして行くような場所ではないのだが。
僕は、体育館に続く渡り廊下で、ケイを待っていた。

もう開会の間際になって、ケイはやってきた。
生徒達は、大方もう体育館に入っていた。

体育館の入り口に、マリコがいた。
ケイと一緒に現れた僕を見て、目を大きく見開いた。

すべてを理解したマリコの瞳は、一瞬にして曇り、うるんだ。
なかば開いた口は、なんの言葉も発しなかった。
僕を待っていたマリコは、すぐに顔をそむけて、体育館の中に消えた。

暗澹たる気持ちの僕の横で、ケイは上機嫌だった。
「今の、ファンクラブの人でしょう?えへへ〜」

体育館の中は、もう一杯だった。
後ろから席は埋まっており、わずかに最前席だけが空いてるのが見えた。

「わぁ〜、いっぱい〜。どうしよう〜リュウさん?」

僕は、一瞬躊躇したが、横にいるケイの肩胛骨あたりをそっと押して、前に歩いて行った。
ケイはびっくりしたようだが、背中を押す僕に従った。

既に生徒達で一杯の、体育館の中。
僕はケイの肩にそっと手をやり、座席の間の通路を前に歩いた。
ざわめきと波紋が拡がっていった。

「なに?なに?」
「うわっ!大胆〜っ!」
「あれ、3組のリュウ?」
「誰、あれ?」
「1年だよ。確かバトミントン部の…」
「うっそ〜、いつのまに…」
「いっや〜、信じられへん…」

僕たちは、一番前の席に着席した。
うしろから、ずっとザワザワとふたりを揶揄する言葉が耳に入ってきた。
ケイは身を固くしていた。

館内が暗くなって、舞台があくまで、ざわめきは止まらなかった。
ケイが、少し僕の方に身を寄せて、耳元でささやいた。

「リュウさん…」
「ん…?」
「ありがと…」
「うん?」
「好き…」
「うん…」

この日の謝恩祭は、最前席のふたりのために行われているようだった。
僕たちは、幸せだった…。


(つづく)

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彼女の家まで見舞いに行った。
両親とも在宅の、日曜日だった。

リビングのソファで、父親と対面した。
どうにも居心地の悪い、緊張の時間。

「ケイさん、大丈夫なんでしょうか?」
「ふむ?まぁ軽い貧血らしい。心配するほどのことはない」
「そうですか、よかった」
「ええっと、君はケイの・・・?」

「やだぁパパ。ケイのボーイフレンドよ」
そういいながら、ケイが紅茶を持って入って来た。

「その、なんだ、そうすると・・・?」
形勢は逆転して、父親のほうがおたおたし始めた。

「はぁ、一応おつきあいさせて頂いてます」
しゃちこばる僕の横にケイは座り、ニコニコしてる。

「ケイが好きなひと、格好いいでしょ、パパ?」
「うん?ふむ、まぁ、そう、なんだ・・・」

年頃の娘の前では、父親というのは弱いものだ。
その後、ケイの母親も入って来て、女ふたりは和気藹々。
男ふたりは、なんとなく居心地悪かった。

その前に、ケイは僕の家に遊びに来て、僕の母とも会っていた。
「かわいいお嬢さんね」
それが、息子の最初の恋人への母親の評価だった。

そんなこんなで、僕とケイは、両家公認のカップルになった。
ケイは僕の家に遊びに来て、僕の2階の部屋で過ごした。

でも、決して不純な(?)交遊には発展しなかった。
僕は、彼女にひとつ条件を出していたのだ。

必ず、誰かと一緒に遊びに来ること。
ひとりだけで来て、ふたりきりにはならないこと。

「え〜、なんで〜?
 ケイ、リュウさんとふたりになりた〜い」

僕の「ダメ」という言葉に、ケイは口を尖らせていた。
結局仲のよい女友達を連れて、遊びに来ていた。

まだ彼女は16歳だった。
去年まで中学生だったのだ。
僕は、彼女を大事にしたかった。

本音を言えば、むらむらすることもあった。
悶々としていたといったほうが正しい。

愛しくて、抱きしめたかった。
まだ一度もしてない、キスもしたかった。
彼女のやわらかな胸に、そっと触れてみたかった。
夜ひとり、ケイを想いながらマスターベーションもしてた。

でも、大事にしなきゃと思った。
彼女を傷つけるようなことはするまいと思ってた。

「清く正しい男女交際」を心がけた。

僕は18歳、ケイは16歳。
まだ、童貞と処女だった。


(つづく)

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いつものように、放課後に美術室で過ごしている時。

僕が仲間と一緒にいると、疲れた顔したケイが入ってきた。
「うん?…どうした?」
「…うん…ちょっと…」

そのまま、彼女はその場でふらっと倒れてしまった。
僕たちは仰天した。
ひとりが保健室に走っていった。

僕は抱き起こして「おい!ケイ!」と体を揺さぶった。
「…ん…う〜ん…」
血の気の引いた顔が、真っ青だった。

僕は、そのまま小柄な彼女を抱きかかえて、走り出した。
階段を下りる時は、さすがに両腕に体重がずっしり感じられた。

廊下を歩く生徒達は、あっけにとられて見ていた。
丁度、下校時でピロティには人があふれていた。

皆振り返り、僕たちのために道をあけた。
僕は「ケイ!…ケイ!」と呼びかけながら、保健室に走った。

僕の腕の中で揺れている、目をつぶったままのケイの顔を見た。
このまま意識が戻らなかったら、どうしようと思った。
自分にとって、かけがえのない人になってることに気付いた。

家族が迎えに来るまで、ベッドサイドで横たわるケイの手を握っていた。

母親が着くと、養護教諭が僕を紹介した。
「この彼がね、抱きかかえて飛び込んできたんですよ…」

この出来事は、翌日には、校内中の者が知ることになった。
「よっ!色男!」
クラスメートにからかわれた。

僕はムッとしたまま、やり過ごした。
学校を欠席しているケイのことが心配だった…。


(つづく)

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僕とケイは、つきあい始めた。

僕が根城にしてた、美術室にケイは訪ねてきた。
だいたい、誰かその場にいた。
二人っきりになることは、滅多になかった。

高校は小高い丘の上にあった。
冬の夕陽がいつもきれいに見える部屋だった。

ケイは、天真爛漫、天衣無縫。
ストレートに自分の気持ちを表現する子だった。

「ねぇ、りゅうさん、デートしよ?!」

僕は、ケイのそんなひとことで、実はドキマキしていた。

「ん〜、じゃぁ、しようか?」

僕は、少し上級生としての余裕を見せるように努力してた。

「え〜、リュウさんはしたくないの〜?」

ケイは、たたみかける。
僕は、内心焦る。

「いや、いいよ〜」

これでも、必死に抵抗してるのだ。
ケイは、口をとがらせる。

「なんか、私だけデートしたがってるみた〜い…」
「そんなことないさ…」

ふたりで、日曜日に京都の繁華街に出かけた。

高校ではいつも制服姿だったケイ。
私服で会うケイは、どこか大人びていた。

アイボリーのセーターの胸が、驚くほど豊かだった。

三条京阪から河原町。
寺町京極、新京極。
四条河原町から、八坂に至る祇園の商店街。

どこへ行くでもない。
ふたりで人混みを歩く。

「はぐれちゃうよ〜」
ケイは、僕の左腕に、手を絡ませて来た。

僕の肘に、ケイのやわらかな胸のふくらみがあたった。
祇園の人混みの中、それは強く僕の腕に押しつけられた。

八坂神社前の交差点。
僕が何かを指さそうとしてる時、ふたりはたまたま人混みに押された。

僕の右手が、彼女の左の胸にタッチした。
やわらかく弾力のあるふくらみを、僕はたしかに感じた。

僕はあわてて手を引っ込めた。
ケイは恥ずかしそうにうつむいた。

横断歩道の途中で、ふたりは立ちつくしてしまっていた。
ケイの顔は赤く上気していた。
僕の心臓は、飛び出さんばかりに脈打っていた。

信号の音楽に促され、ふたりであわてて横断歩道を渡った。

そのあと、八坂神社、円山公園と、一緒に歩いた。

どんな話しをしたのか、まったく覚えていない。

覚えているのは、僕の腕に残ったケイの胸の感触…。

そして、図らずも触れてしまった、ケイの胸のやわらかな弾力…。

それだけ…。


(つづく)

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