古城の風景

戦国期の東日本の山城紹介

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 『東北の名城を歩く 南東北編』が、吉川弘文館から今月出版されました。「名城を歩くシリーズ」の第8巻で、関東2巻・近畿2巻・甲信越3巻に続くものです。10月にも「北東北編」が出るようです。
 東北地方の山城が掲載されている城郭本としては、『日本城郭全集』・『日本城郭体系』・『図説 中世城郭事典』があります。ですが、『日本城郭全集』や『日本城郭体系』は、刊行されたのが『全集』1967年、『体系』1980年で『事典』が1987年で、30〜50年前のものです。これらは、現在の城郭研究の基礎を築いた書籍といえますが、その後の発掘調査や文献史学・縄張り研究の進展に伴い城館の現状の内容理解に合わなくなってきています。そのためか、ここ10年ほど前から出版されてきた『山城ベイト50を歩く』シリーズや『名城を歩く』シリーズは、、最新の研究内容・発掘調査の成果や新たな視点も加味して書かれてます。また、とかく伝承等に頼る歴史背景についても最新情報を踏まえての記述も見かけられます。
 本書もこのような傾向で編集されているようで、「刊行のことば」の中に選定基準が示されていますので、引用しておきます。
①国・県・市町村指定史跡を優先した。
②遺存状況が良好で現地に行きやすい。
③地域バランスを考慮する。
④11〜17世紀に成立した城館で寛永年間(1624-44)を下限とする。
 妥当な選定基準と思われます。
 内容は、城ごとに担当した執筆者が地元で城跡にかかわっている方々ということもあってか、様々な視点から詳細かつ丁寧に記述されていています。しかも、過度にマニア向けでなく、かといって初心者向けでもないというバランスの良い内容記述になっています。
 掲載城館は、宮城県21城、福島県24城、山形県21城の計66城です。このうちの37城を訪城していますが、どの城址も見ごたえるある城址でした。この本で初めて知った城址もあり、この本を持って山城めぐに行きたくなってしまいます。

※一読しての感想
 城の構造・縄張りについての考察が、もう少し詳細であるといいと思いました。ページ数の制約や専門が発掘調査や文献史学でちっと縄張りは苦手なのかもしれませんが。

   ゛東北地方の山城案内の入門書として最適な一冊だと確信します。゛
更に、北東北編を期待します。 

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会津の中世史の本

 会津の中世史を探る中で、葦名氏の存在は大きいものがあります。ですが、東北の中世ということで伊達氏のかかわりの中でしか葦名氏の動きは語られることが多く、しかも戦国末期における伊達政宗との抗争で敗れ去った敗者として登場することが多いようです。そんな葦名氏ですが、室町・戦国期には、南奥羽の戦国大名として伊達氏と肩を並べるほどの勢力を誇っていました。
 伊達氏についての書籍はかなり見かけますが、葦名イメージ 1氏については見ることがありませんでした。で、ようやつと葦名氏の本を見つけました。
 会津若松市史です。全25巻の一冊の中にあります。
 よくある分厚い市史ではなく、80ページの分冊形式で、写真・地図をかなり取り入れて読みやす九、わかりやすく書かれています。お城についても縄張り図も取り入れてわかりやすいです。これで定価1000円です。かなりのお得といえますね













イメージ 2 ついでにもう一冊、ご紹介します。戦国期の伊達氏と葦名氏の抗争を扱ったもので、戦国期の城について詳しく書かれています。この方面のお城址にいかれるときには、とてもちょうな本です。

















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                                             齋藤慎一・向井一雄[著] 吉川弘文館 \4536

 今月、吉川弘文館から出版された齋藤慎一・向井一雄[著]『日本城郭史』の紹介です
 イメージ 2普通の方が、「お城」と聞いて
、思い浮かべるのは姫路城やイメージ 3松山城のように堅牢な石垣に囲まれ、そそり立つ天守閣あるお城だと思います。また、雲海に浮かぶ「天空の城」と有名になった竹田城のような石垣だけの残る城も思い浮かべるかもしれません。しかし、それだけでなく我々が住むすぐ近くの山の中にひっそりと姿を残している数多くの山城もあります。それらの城の多くは、戦国期から江戸時代に使われていたものですが、お城はそれらの時代のみではなく古くから存在していました。お城が、戦国期の戦の中や江戸期の政治舞台の中で語られることが多いのですが、「城」自体の歴史については語られることはあまりありません。
 この本は、その稀な「城」自体の歴史(弥生時代から掘り起こし、奈良〜平安〜鎌倉そして現代人が城と認識する形を作る南北朝〜室町〜戦国〜安土・桃山〜江戸時代)の変遷を分りやすく書かれています。その中に、新たな指摘や興味深い解釈があまた見受けられ、内容の濃い記述です。
 さらに、「城とは何か」という哲学的な問いも発しています「城」の概念や形態は、その時代を生きた人々の生き様を映しているといえるでしょう。その人々のの生き様が、「城」を造り使ったわけですが、そこにある「城」とは?何か。かなり難問といえるかと思いますが、読み進める中で熟考するのもいいです。(まぁ〜小生にとってはボケ防止になりそうでした)

 以上、まことに持って大雑把なご紹介でしたが、内容は最新の研究成果がいたるところにちりばめられていますので、今まで知っていた事項を修正し、新たな歴史認識を得られるかと思います。ちっと値が張りますが、それ以上の収穫が得られる本と確信しています。本屋で見かけましたら、手にとって「序」と「展望」をちらっと読んでみてください。

 ゛新たな指摘や興味深い解釈があまた見受けられ゛ると書きましたが、その中でわたしが特に気になる箇所をいくつか書いてみようと思います。
①「城」を説明する際に、よく「土から成る」といった感じていうことがありますが、どうもそんな生半可なものではないようです
P178の「「城」とは平時の政治拠点と軍事拠点を両端に置き、時代的な背景のなかで、右に左へとウェートが変化しつつ、両方の意味を常に含む存在であったことが考えられ。」と、さらに、「軍事的に多様性を帯び機能分担が極端に求められた戦国時代は、城館の歴史において特殊な時代に位置づけられるべきものだろう。」
この指摘は、かなり刺激的なものでして、「戦国時代の城が城館の歴史の中で特殊な時代」であると。戦国期の城を追い求めるだけでは、「城とは何か」を知りえないということのようです。

②本書は、北日本や琉球などを独自の地域としてとらえ、かなり丁寧に言及しています。本書の記述からすると、日本列島を大きく四つ程に区分けする感じのようです。北日本(陸奥・出羽)−東国―西国―琉球といった感じでしょうか。この区分けは、網野善彦氏の東西論や赤坂憲雄氏の「いくつもの日本」論に繋がる感じがします。特に赤坂氏の列島4区分(※1)は民俗学からのアプローチですが、城の地域区分とも類似するというとても興味深いものがあります。その4区分の中でも北日本(陸奥・出羽)は、何か惹かれるものがあります。

P135の『城館づくりにおける東北地方の地域性は列島の城館史の中でも特筆に値する。」は、11〜12世紀の大鳥井遺跡・鳥海柵や柳之御所などから導き出されてものですが、その後のこの地域の城館の特色を濃厚に表すものといえるようです。列島の西部・中央部では古代山城がイメージ 5イメージ 4奈良期に途絶えますが、北日本では円弧を描く堀を持つ城館が16世紀半ば過ぎまで存在します。浪岡城・九戸城・根城・黒川城などは、そのような特徴を持つとともに群郭式の城館(※2)でもあります。この群郭式の城館も東北地方の城、とくに北東北に顕著にみられるものといえるようです。

※1 赤坂氏の4区分を市村氏が簡潔にまとめていますので、引用しておきます。(『岩波講座日本歴史』第9巻)
「道南―北東北と南九州ー薩南諸島に異質な地域が重なる領域を設け、北海道を中心に北方へ繋がる地域、奄美・沖縄を中心に南方へ繋がる地域、それらに囲まれた中央部に広がる地域に分け、中央部にも異質な地域の重複領域を設けて東西に二分し、列島を四つの地域に区分した。」
※2  群郭式の城館は、非求心的な構造で強固な権力構造を構築されていない後進的な地域のものと解釈されているようですが、本書では、それは「ピラミッド構造ではなく、連合による領主のイエ構造がそのまま城館の構成に反映している」としています。群郭式の城館が、南部氏の城館に多く見られる事にも関わるようで、戦国末まで南部一族間のイエ・一揆構造が克服されずに最後に九戸の乱に至る歴史的な経過になることとも符合するようです。

方形館
方形館が、開発領主が本拠地に構えた城館ではないといわれているのは知っていましたが方形館が、荘園内の政所に近似するものという指摘は初めて見ました。
P178「都市などに居住する領主が遠隔地にある所領を支配するために、いわば役所のような機関が方形館の様相でかまえられた」

④戦国大名の本拠のありよう
戦国大名の出自によって、様相が違ってくるとP325〜326の「守護の系譜を引き継いでいる本拠は、いずれも方形館と方格地割りが基調となった都市づくりをしており、本格的な要害を保持していなかったようである。」と。一方「守護家でなかった大名家は山城を構えた事例が多い。」と。
この指摘もかなり刺激的なもので、さらに、後北条氏では、伊勢宗瑞段階は非守護系で北条氏綱になって守護系になると。言われてみると納得し得る感じです。


まだ続きますかな?

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歴史家の城歩き


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             『歴史家の城歩き』 中井均・齋藤慎一編                                     
                             高志書院、2500円+税

 こうゆう形でのお城の本は、あまりというより全くありませんでした。最近出版されているお城の本といいますと、縄張り図が載せられ、築城時期、築城主体(城主はだれか)や廃城時期という城の歴史を述べ、、現在に残る遺構の説明や発掘調査がなされていればその調査から見える見解などがかかれています。代表的なものとして、サンライズ出版の『○○の山城ベスト50を歩く』シリーズや吉川弘文館の『○○の名城歩く』シリーズがあります。これらの本は、一般の人がお城をめぐる際に利用するに好都合ですが、一般向けとしてはほどほどに高度な内容になっています。
 この本は、そうゆう形でお城を紹介、説明はしてはいませんで、長らく城郭研究に携わり革新的な考えで城郭研究をリードしてきた二人の「歴史家」が、お城に向かい合うそれぞれの思いや考えを論じ合う対談形式になっています。
 前半は、「実践、城の見方と考え方」として、お二人が実際に現地(城跡)におもむき、遺構を観察して、あれこれかたっています。普通の城好きが訪れ見過ごすような遺構の箇所でも、専門家の目にその遺構がどのように映り、読み込まれて行くのかが、隣にいてお二人の会話が手に取るようにわかります。まさに臨場感があふれています。図版や写真も多く、とてもわかりやすくなっています。ただ、細かい遺構のお話もあり、ページを前後にめくらなくてはなりませんし、丁寧に読み取りませんとお二人の会話を理解するのに骨が折れますね。(笑)
 実践例として、置塩城、由井城、滝山城、三木城攻め陣城群が載せられていますので、この本を持ってそれらの城跡を訪れると、今までと違う城の姿が見えてくるのではないでしょうか。

 後半は、南北朝・戦国時代・織田・豊臣・近世の時代変化の中での城を語り、それに関わる城郭研究のさまざまなテーマや問題を扱っています。対談方式ですから、テーマに沿ってある程度お話が進みますが、「えっ!」そうなのといったような予想外なことや、もう少し詰めていただければいいのというところもありますね。例えば私の関心で見ると、「甲府の躑躅が崎館が武田氏時代は単郭で、現状のものは豊臣氏時代。」や「通説の名胡桃事件は上杉・真田の文書によるでっち上げではないかと」などで、読み進んでいきますとまだまだあります。中井氏が、「家康は秀吉がいきている間は「絶対に石垣の城は作らん」みたいな感じがあるね。」などと、さらっと云ってしまうところなど実に面白いです。また、杉山城問題も扱っていますので必見ですかな。

 最後に、論考があります。これもかなり示唆に富んだ内容になっています。

 どこからでも、自分の興味のある所から読み進められますが、初めに読んでいただきたいのは、「序 城歩きの心得」ですかな。縄張り図を持って、城跡を訪れてみてください。縄張り図やブログ・HP等の写真を見ていただけでは、その城跡のすごさや良さは分りません。私も、つい最近訪れた山口城小城や高柳城でその実感を新たにしました。

『戦国の城がいちばんよくわかる本』という本もありますが、この本が「さらによくわかる本」といえます。書店で見かけましたら、是非手に取っていただきちらっとでも読んでみてください。(序を読むだけでいいですがね) お勧めです。


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黒嶋敏著 講談社現代新書 ¥864
 天下統一をよく目にしますが、どうも中世の世界では「一統」というコドが普通だったようです。その『天下一統』は、織田信長にはじまるのではなく、豊臣秀吉からでそれも『プロジェクトの全体像に大きな修正がないとすれば、豊臣から徳川への政権交代は、じつは担当者の交替にすぎない。」という見方は、結構刺激的です。まだ、読み途中ですがかなり面白く読んでいます。

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