原題も「L'ARMEE DES OMBRES」(影の軍隊)第二次世界大戦勃発後に起きたレジスタンス運動を ドキュメンタリー・タッチに描いた ジャン・ピエール・メルヴィルの代表作 凱旋門をバックに、シャンゼリゼ通りを行進するナチスの行列 これはもうオープニングから傑作の香り ただ、フランス人なら誰でも知っている英雄なのかも知れませんが なぜ彼らがレジスタンスになったか一切説明されないうえ 当時の時代背景も知らなかったので、内容がわかりにくいのは事実 それでも中盤以降はグッと盛り上がりました 1940年、ナチス・ドイツがフランスに侵攻しパリは陥落 フランスでは抗戦派にかわり和平派が政権を握りヴィシー政権が発足 ペタン元帥が首相となり、元部下だったドゴール将軍はロンドンに亡命し "自由フランス"を結成します(本作のレジスタンスもドゴール派) つまり、ヴィシーとロンドンにふたつの政府があったということです なので、フランスのレジスタンスに協力するのもイギリス軍 国と国の移動には、潜水艦や落下傘降下を利用しています 41年以降はフランス共産党も反独となり 共産党組織である"国民戦線"には、共産党以外の人間も参加できたことから 一大勢力となっていきます (刑務所内で主人公と共産党の青年が協力するのもそのため) 44年のノルマンディー上陸作戦を経てパリは解放、ヴィシー政権は倒れ ドゴール将軍による臨時フランス共和国政府がパリに移転 本作ではその解放前の、フランスの複雑な国情を描いています ストーリー的には抜けているところも確かにあるのですが 主人公ジェルビエを演じたリノ・ヴァンチュラはじめとする 俳優たちの演技が素晴らしいですね 表情や仕草だけで感じる意思の強さ 裏切りは決して許さない冷酷さ だけど一方では、仲間と無事に再会した時や 久々に煙草を吸うときの儚い喜び そしてパラシュート降下前のヘタレっぷり (そういうギャップに私はヨワイ 笑) ゲシュタポやヴィシー警察に見つかれば 惨い拷問に、銃殺ゲームが待っている そんな過酷な状況の中でも生き延びようとする 彼らの秘めた思いが伝わります そんな共同体の中、なぜジャン・フランソワ(J・P・カッセル)は 仲間のもとを去り、ゲシュタボに密告したのか 裏切りなのかと最初は思った、でも違った 捕虜になったフェリックス(P・クローシェ)に マチルド(シモ−ヌ・シニョレ)の救出作戦を知らせるため だけど医師は瀕死のフェリックスの輸送を止めます せめてを楽に死なせてあげたい ジャン・フランソワは自分のたった一粒の青酸カリを フェリックスに飲ませることにするのです とにかく捕虜になった同志を何とでも助けようとする マチルドの活躍がすごい、プロ中のプロ 映画の中の飾りでもマドンナでもないのです (ヴァンチュラを救ったシーンは、もっと詳しく作戦を知りたかった) だけど愛娘の写真を持つというミスを犯してしまいます レジスタンスに身を投じても捨てきれなかった”母の愛” それでも頭のいい彼女だからこそ 娘を助け、ゲシュタポをも満足させ レジスタンス活動への被害も最小限で済ませる そんな条件を考え出したのでしょう しかし、たとえ今は命があっても明日はどうなるかわからない 仲間たちはマチルドを殺す決意をします だけどマチルドを殺しても殺さなくても 彼らを待ち受けていた運命は同じだったのです そう、メルヴィルは何も残さない ヒロイズムが無残に死んでいく悲壮 ロンドンで陽気に笑い踊るイギリス軍の女性兵士たち 「風と共に去りぬ」の上映 理想も、信じる未来も、無意味な犠牲にしかなりませんでした なのに、この美しい ”犠牲の美学” お気に入りにさせていただきます 【解説とあらすじ】映画.comより
独軍占領下のフランスで、第二次大戦中、悲劇的な抵抗運動に命をかけたレジスタンス闘士たちのエピソードをつづった作品。製作はジャック・ドルフマン。ジョゼフ・ケッセルの原作を、「ギャング」のジャン・ピエール・メルヴィルが脚色し、自ら監督した。撮影はピエール・ロム、美術はテオバール・ムーリッス、音楽はエリック・ド・マルサンがそれぞれ担当。 フィリップ・ジェルビエ(L・バンチュラ)は、ある日、独軍に逮捕され、キャンプに入れられてしまった。そして数ヵ月後、突然、ゲシュタポ本部へ連行されることになった。だが、一瞬のすきをみて、そこを脱出した彼は、その後、抵抗運動に身を投じることとなった。そうしたある日、彼はマルセイユに行き、フェリックス(P・クローシェ)、ル・ビゾン(C・バルビエ)、ルマスク(C・マン)等と一緒に裏切り者の同志ドゥナ(A・リボール)の処刑に立ちあった。その後に、彼は、ジャン・フランソワ(J・P・カッセル)に会った。ジャンの仕事は、名高いパリの女闘士マチルド(S・シニョレ)に、通信機をとどけることだった。彼はそのついでに、学者である兄のリュック・ジャルディ(F・ムーリッス)を訪ねたが、芸術家肌の兄を心よくは思わなかった。一方、新任務のためリヨンに潜入したジェルビエのところへやって来たのは、意外にもジャンの兄のジャルディだった。やがて無事、その任務を果したジェルビエのところへフェリックス逮捕さる、の報が伝えられた。さっそく、救出作戦を展開したが、ジャンの犠牲も空しく、失敗に終ってしまった。ジェルビエが再び逮捕されたのは、それから間もなくであった。独軍の残虐な処刑に、もはや最後と思っていた彼を救ったのは、知略にすぐれたマチルドであった。それからしばらくたった頃、隠れ家で休養をとっていたジェルビエを、ジャルディが訪ねて来た。彼の来訪の目的はマチルドの逮捕されたことを告げるためと、口を割りそうな彼女を、射殺するということだった。現在、仮出所中の彼女も、それを望んでいる、と彼は伝えた。ある日、エトワール広場を一人歩く彼女に、弾丸をあびせたのは、彼女を尊敬するジャルディ、ジェルビエ、ル・ビゾン、ルマスク等仲間たちだった。しかし、遅かれ早かれ、彼等の上にも、同じような運命が待ち受けているのだった。... |

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これぞメルヴィルの凄い傑作、、、北野ブルーっていうけど、この映画をはじめとしたメルヴィルブルーが本家だからね、、、地下で走らされるシーンとか、その後の一連の動きとキャメラワークが最高です、、、褒めどころ満載の傑作!
[ たっふぃー ]
2019/7/9(火) 午後 10:10
「サムライ」「影の軍隊」「仁義」と”Cool!”な傑作ですね♪
ティビー、TB、トラバを。
2019/7/9(火) 午後 10:30
ヴィシー政権といえば、傀儡政権だから
個人的に親独じゃないけどヴィシー支持のため
戦後、本国で不遇を託ち、ファン多い日本で救われたピアニストを思い出す
検索キーワード:「アルフレッド・コルトー」
資産家のファンから孤留島という島を贈られたそう
影の軍隊を理解出来るのは今や、メルヴィルがわかる者であって
フランス人にも少なくなったでしょね
2019/7/9(火) 午後 10:46
ここ数日、冒頭から駄作って感じの作品を観てしまったので是非とも鑑賞したいです。「犠牲の美学」なんとも思い言葉。
[ mitsu13 ]
2019/7/10(水) 午前 10:34
シモーヌ・シニョレはいい女ですね、大人な女なので犠牲が似合います(意味不明・・・笑)
ケッセルはユダヤ人作家で、原作はたくさん映画化されています、本作は観ていないのですが。
「昼顔」、「過去を持つ愛情」、「サン・スーシの女」
どれも良かったです。
2019/7/10(水) 午前 10:43
ナチへのレジスタンス活動には当然大儀はあるんだけど、組織を守る為には非情にならざるを得ない。落ち度があったとはいえ多大な貢献をしてきたメンバーを粛清してしまう「組織」の怖さを感じました。硬派な社会派映画ではなく娯楽映画風に演出されている分だけ、余計痛切さが滲み出ていますね。
リノ・バンチュラっていうと日本では『冒険者たち』ばかりが有名だけど、他の出演作にも目を向けて欲しい…と我思う。
[ 原達也 ]
2019/7/10(水) 午後 1:14
私はタイトルを観て、「影の軍団」と勘違いしてしまいました(@_@;)
ええ、千葉真一が出てるドラマです。
2019/7/13(土) 午前 11:08
たっふぃーさん北野組の撮影監督は海外での評価が高いようですね、もしかしたらメルヴィルの影響も受けているのかも知れませんね
メルヴィル映画はセリフがほとんどないのですが(笑)苦も無く最後まで見れるのはやはり映像の美しさがあるからなのでしょう
2019/7/14(日) 午後 4:14
fpdさん、どの作品でもメルヴィルは、何も成し遂げずに、主人公を犬死させますね(笑)
でもその世界観が”Cool!”なのです
トラバありがとうございます♪
2019/7/14(日) 午後 4:16
mathichenちゃん、やっぱりこの時代に生きていて、フランスやドイツと関わっていたんでしょ?(笑)
コルトーはヴィシー政権と関わっていたのでフランス国内での活動ができなくなってしまったのですね
それにしても島を贈るファンって・・・(*´▽`*)
2019/7/14(日) 午後 4:23
mitsuさん、”男の美学”もいろいろあるので(笑)
サム・ペキンパーは”滅びの美学”と呼ばれているので、ほかの監督は勝手に命名しています
メルヴィルは「犠牲の美学」(笑)
2019/7/14(日) 午後 4:28
じゃむまるちゃん、「昼顔」は結構な変態だけど、私もお気に入り
シモーヌ・シニョレはいい女ですね、この頃からはかなり貫禄もついてきて凄みがでてきました(笑)
2019/7/14(日) 午後 4:32
原達也さん、リノ・バンチュラはわき役が多いですがいい俳優ですよね
初出演作で共演したギャバンが彼の才能を見抜き俳優を続けるよう助言したそうです
「組織」を助けてきたメンバーが「組織」を守るために犠牲になる
それって人こそ殺さないですけど、今の社会でもあることですよね
2019/7/14(日) 午後 4:41
ジーナちゃん、実は私も見るまで千葉真一が主演していると思っていたんです(笑)
きっと「影の」シリーズというのがあるんだろうなって(*´▽`*)
2019/7/14(日) 午後 4:43
フランスの反ドイツ感情ぶりについて追記すると
https://www.youtube.com/watch?v=ae1AoOc8X7s
有名なシャンパン醸造元の御曹司
ドイツ系だけなら問題じゃないと思うけど
コルトーの愛弟子いうのが、不味かった
ユダヤ系のダニエル・バレンボイムがパリ管弦楽団シェフ就任の結果
フランス楽壇から干されたに等しい
https://blogs.yahoo.co.jp/borussiamagdala/6945485.html
バレンボイムも後年丸くなったんですけどね
とにかく、占領された側の感情って、戦後四半世紀程度では…
拗らせると、終戦から70数年後の極東の現状ですからね
…自分の前世が、独仏二重スパイに思えて来たw
2019/7/14(日) 午後 8:47
mathichenちゃん、前世は独仏二重スパイか、レジスタンスか、ジャーナリスト?(笑)に間違いないです( *´艸`)
シャンパン醸造元の御曹司は(検索の結果ww)エリック・ハイドシェックのことかな
ダニエル・バレンボイムもロシア出身のユダヤ系移民の子でアルゼンチン出身・・
芸術や美しさへの感動は誰もが等しいのに、
世界って難しい〜(-_-;)
2019/7/15(月) 午後 10:17