今、そこにある映画

傑作も駄作も、ともに見る。ともに、愛する。 変態です。出来れば映画はフィルムで見たい。別ブログ「昔の映画を見ています」もあるでよ

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 ううむ。なんという・・・・繊細にして大胆な・・・・傑作ではありませんか。
 今年度日本映画、および世界映画の、ぼくが見た、暫定ベストワンね。ぼくが見た、てところが何の権威もないけれど。
 なんというか、次々の展開が、まったく予想を裏切る。小ネタの連続がまったくもって、素晴らしいとしか言いようがなく、その連鎖が大ネタに化してしまう、幸福な瞬間がある。これ、ジェットコースター・ムーヴィーなのよ。なのに、実に淡々とさりげなく、映画を流していく。こういう映画作家をぼくは知っている。成瀬巳喜男だ。
 成瀬といえば、もちろん駄目な男と、その腐れ縁の女たちを描いた映画作家だが、本作でも、堺雅人が絶妙演技。詐欺師としても、どう見ても脇が甘いが、絶対的に女にもててしまう結婚詐欺師が、ひたすら素晴らしい。堺雅人、平成の森雅之か。雅の字も共通してるぞ。女に、もててしまう駄目男。「ヴィヨンの妻」は未見だが、太宰治の堺雅人も見たいものだ。
 そういえば、太宰原作「グッドバイ」のモテモテ男がモリマだった。去年は助演男優賞連発だった堺だが、今年は「ジェネラル・ルージュの凱旋」「南極料理人」、それに本作の駄目押しで、主演男優賞は、もう確定でしょう。とにかく、うまい。しかも、いやみがなく、ひたすらキュート。「ココニイルコト」以来の出演映画の傑作率が異常に高いのが、要注目だ。堺雅人の演技が、傑作映画を呼び起こすのだ。
 ただ、成瀬映画の比較で言えば、女優陣が、いささか、弱い。なかでは、「プライド」で、かなり気色の悪いヒロインを演じた、満島ひかりが、ここでも印象的。彼女は、平成の(美人過ぎる)中北千枝子か。いや、これは、まずい比喩だな。松雪泰子の弟・新井康文もいい。
 ある一定の年齢以上の人なら、誰でも知っている、キング・オブ・三面記事、両親がエリザベス女王とカメハメハ大王の縁につながる、自称アメリカ空軍パイロット、片言の日本語で女性をだます結婚詐欺師、クヒオ大佐、この実在するちんけな詐欺師に、日本中が突っ込みを入れた。そんなんでだまされて、女はお財布を開き、おまたを開くのかよ、と。
 繰り返すが、堺雅人、超絶美技、そして展開は予断を許さない。脚本も監督もベスト。なのに淡々と。笑えないコメディーというのは普通はケナシ言葉だが、本作においては、絶対のほめ言葉だ。憎いくらいに抑制された、完璧なコメディー、凡人が作ったら、付け鼻のニセ外人のコントにしかならない素材で、かくも繊細にして大胆な映画を作りうるとは。
 なお、湾岸戦争当時の日米関係を、アメリカがせこい結婚詐欺師、日本がそれにだまされるドジで間抜けな女、という比喩は、きわめて正しい。この映画、次のアメリカ・アカデミー賞外国語作品賞の日本代表に強く押す。アメリカ人にも興味深いと思うよ。ニセのアメリカ軍人になる話だし。

●追記● <映画流れ者>にて、heroさんから、ご指摘がありました。上記感想文で、新井康文は、新井浩文の間違いでした。すいません。酒をかっくらいながら、怪しげな記憶で書いているので。って、言い訳になりませんが。
なお、ネットを徘徊していたら「クヒオ大佐」つまらんの声多数あり。一方でぼくみたいに傑作だという声もあり。極端な賛否両論、キヨホーヘンの映画なのですね。
なんとなく「二十世紀ノスタルジア」(笑)を思い出しました。あれもキヨホーヘン激しくて。ぼくは絶対的肯定派でしたが、あれも「繊細にして大胆な傑作」でした。そういうのは、世間では受け入れられないものなのか。ううむ。

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