今、そこにある映画

傑作も駄作も、ともに見る。ともに、愛する。 変態です。出来れば映画はフィルムで見たい。別ブログ「昔の映画を見ています」もあるでよ

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 ジョニー・トー監督による、香港=フランス合作の、暗黒街銃撃戦ハードボイルド。
 スタイリッシュな、おなじみトーさん節が冴えに、冴える。相変わらず、渋いかっこいいアンソニー・ウォンにくわえ、フランスから、これまた、渋いジョニー・アリディを迎え、男たちのシブさ炸裂の痛快編だ。
 ただ、原題が「Vengeance 復仇」と、これまた、渋すぎる。これでは、日本では、受けんと、考えを絞った結果だろう、多分。「冷たい雨に撃て、約束の銃弾を」と、ハードボイルドっぽくしたつもりだろうが、あまりに饒舌すぎて、なにやら少女趣味めいた成分が添加されたような気配。ちょっと、お間抜け。
 でも、まあ、日本では、ハードボイルドと少女趣味は、意外と相性が、いいのだ。感傷と貴種流離譚の野合という、ハードボイルドの、出自の部分ゆえか。
 そして、もちろん、トーさん映画も、クイクイと、男の弱みに付け込む、浪花節とハードボイルドの野合で。男と男が、寡黙に目を合わせて、にっこり微笑む、健さんと池部良の現代版で。これに、名前はわからぬながら、トーさん映画や香港ノワールでたびたび目にする、でぶなナイスガイも加わり、これはさしずめ長門裕之、山本麟一あたりのの役回りか。
 悪い奴らを見つけるも(あまりに簡単に見つけるので、ミステリ趣味は薄い。これまた、健さん映画みたいに、タメはない、オトコギ一本道か)、妻や幼い子らと、野外バーベキューの真っ最中。楽しい家族たちのパーティーをじっと見逃し続ける主人公たち。ハードボイルドと、少女趣味が一本につながる。
 やがて、家族たちを先に家に帰した、対戦相手と、主人公たちが、静かに、向き合う。月が照らす、月が曇り真っ暗闇になる、その野外戦の美しさ。トーさん節の、美しき炸裂。
 もっとも、そのあとの第二戦、運動会めいた、巨大ごみキューブ転がしは、ちょっと、失笑気味でしたけどね。いや、ほんと、運動会そのものなんよ。様式美が、あまりに様式めきすぎた、ということか。
 友情、勇気、勝利、でしたっけ。少年ジャンプの三原則は。確か。ハードボイルドは、友情、勇気、苦い勝利、ということで、少女趣味や、少年漫画と、かぶるもんなんだよねー。
 目のご馳走やね、トーさん映画は。酒の、当てに、最適。ま、映画館では、飲めないけれど。

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