今、そこにある映画

傑作も駄作も、ともに見る。ともに、愛する。 変態です。出来れば映画はフィルムで見たい。別ブログ「昔の映画を見ています」もあるでよ

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 <歴史の修正力>が働いて、仁が江戸で行った医療行為・存在は、歴史の彼方に消えていった。まったく、無駄だったのか。であるならば、思い切り無駄な人生の6年間なのだろうか。
 仁が救った命は、<ほかの誰か>によって救われた、のだと、思いたい。
 しかし、仁の存在自体が、江戸の人々の記憶から消えたとしたら、南方仁=見なかった仁(御仁=人)になったのか(笑)。としたら、ナイスなネーミングなのだが。この部分では、後出しじゃんけんな、このドラマの脚本が、原作に勝った瞬間か。いやいや、原作も、当初は、こういう悲恋の結末を想定していたのかも、知れぬ。
 しかし、もし、南方仁の存在が、江戸の人々の記憶から消えなかったら、大変なことになる。
 勝海舟は、その回顧録に、「そういえば、一時期、不思議な医者がいた」と談話するかも知れず、龍馬も乙女姉さんに、変わった、ゆかいな医者の存在を報告するかも知れぬ。
 そうなったら、<歴史の修正力>もカタナシで。
 やはり、仁は消えるべくして、江戸の人々の記憶から消えたのか。
 ということで?坂本龍馬である。
 実際の坂本龍馬の血液型は知らないが、おそらく典型的B型タイプであろう。このタイプは、主役であるより、準主役のほうが、のびのび存在感を示せる。ということもあり、内野聖陽龍馬は、ぼくたちの<龍馬的欲望>を満たして、完璧ですらあった。こんご、これ以上の<ぼくたちの内なる龍馬>が、現われるとしたら、それは奇跡というものだろう。
 準主役、脇役でこそ、光り輝くタイプ。その、輝き。内野龍馬の、思い切りたがを外した快演。素晴らしい。目の快楽。
 で、お竜さんの出番は、ほんの一瞬。寺田屋騒動では、裸で危機を知らせるのも、ほんの一瞬。瞬殺で、消えた。これは、たぶん、内野龍馬を、永遠の漂流者、永遠の独身者として、描きたかったんだと思う。
 たぶん、主人公の仁先生が、友永未来にも、橘咲にも、野風にも、そしておそらく喜市の母ちゃん(喜市が持っていけばいい枝豆を、いそいそと届けて、辻斬りに切られてしまう)にも好かれる、モテモテ男。
 この主人公に対抗するため、準主人公の竜馬は、女にモテナイ、というところでバランスをとるしかなかったのだ。かくて、野風にも瞬殺でふられる。一番龍馬を思う女が、寺田屋女将・室井滋に<偽装>される。
 そして、龍馬発案の新政権プランに、龍馬自身の名がないという(きわめて日本人好みな)展開に、西郷隆盛が「おはんの名がないが?」と聞き、いやもう自分は、四角四面な大臣・官僚になるのは合わない、世界の女たちと<あばんちゅーる>するのだ、と応える。そのためにも<日本初の新婚旅行>お竜は、都合が悪かったのだ。仁先生と真逆で、男(仁、勝、西郷、東)には<人たらし>で、惚れまくられるが、女には、まったく、モテナイ、そういう龍馬を描きたかったのだろう。
 かくて、お竜(真中瞳)は、瞬殺で、消えた。
 そして東(佐藤隆太)だ。<タテマエ>のうえでは、兄の仇をとって龍馬を討ち取った事に、なって、いる。なぜ、自害しなければ、ならないのか。タテマエとして、おかしいだろ。その、龍馬への好きよう、ということでは、なかったのか。龍馬の死を結果として仕組み、龍馬に殉じたのだ。
 勝海舟も「あいつとおいらは一緒なんだよ。あいつはまだ死んじゃいねえんだよ」という。
 男たちは、みんな内野龍馬と一心同体なのだ。だからこそ、余計、女には持ててならず、だからこそ、世界中の女たちとの<あばんちゅーる>を夢想する、しかし、その夢想は、暗殺によって、とうとう実現しないのだ、ということを、あらかじめみんな、知っているのだ。
 仁先生(「私も咲さんをお慕いしておりました」)は女たちのアイドルであり、内野龍馬は男たちのアイドル(「あいつとおいらは一緒なんだよ。あいつはまだ死んじゃいねえんだよ」)。きわめてまっとうな、主人公・準主人公の役割分担、素晴らしい。
 内野龍馬が、もてないには、モテナイだけの理由が、ある。
 
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