今、そこにある映画

傑作も駄作も、ともに見る。ともに、愛する。 変態です。出来れば映画はフィルムで見たい。別ブログ「昔の映画を見ています」もあるでよ

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「コクリコ坂から」

 たまたま、映画を見れるぞ、というときに、時間的にこれがベストということで、思わず見ちまったぜ(笑)。
 劇中、当時のTVから、坂本九「上を向いて歩こう」が流れる。同時期に見た、成島出「八日目の蝉」では、同じく「見上げてごらん夜の星を」を、登場人物が歌う。
 おりしも、311震災の後、サントリーCMでは、この2曲をフィーチャーして、大勢のタレントが歌ったものだ。時代は、永六輔・中村八大・坂本九の、689トリオ、再びか。
 民間応援ソングとしての、坂本九。政官は、クズな民主党政権で、当てにならんからなあ。
 誰しもが思うように、東京オリンピック直前のころを舞台にした本作は、まるで吉永小百合主演の日活青春モノのような趣き。
 ヒロイン(声・長澤まさみ)、そのボーイフレンド(声・岡田准一)は、ほとんど、吉永小百合・浜田光夫コンビの、暗め版といったところか。
 ジブリは、これまでは、わりと大作、ないし大作風の映画を作ってきた。その合間合間に、力を抜いた小品風の青春映画なんかを作ってきたわけだ。
 つまり、専属のアニメーターを多人数抱え込んだ中小企業として、大作だけでは、組織が持たない。コンスタントに作品を作って、社員を養わなければ、ならない。それが、今までは、小品を作ってきても、本来のジブリは大作のイメージに守られて、何とかしのいできたわけだ。
 小品のはずの、ネコの恩返しとか、農村回帰少女とか、も、何とか、ジブリの、<やや力を抜いた佳作>の位置をキープしていたわけだが。
 本作にいたって、まあ、監督の才能のなさか、<会社存続>のための<プログラム・ピクチャア>ということが、ロコツにばれてしまいましたな。社員を養うための、低予算映画。
 いや、それ自体が、悪かろうはずもなく、組織存続のためには、まあ大作だけでは、喰っていけまへんやろ、アニメーターも遊ばせてるわけにはいきまへんやろ。で、ちゃちゃっと、言い方は悪いかもしれんが、粗製濫造で、そこそこの映画を作って、そこそこ、今年度の営業利益出さな、あきまへん。
 そういうとき、いや、ワシは、そんなん手抜きのような映画、よう作りまへんわ、と宮崎駿。ジャ、手のあいてる兄ちゃんつこおて、そこそこの映画を、文句もイワンと、ちゃちゃっと作っちゃるのは、おらんかいな。
 おりますがなおりますがな、ほれ、宮崎のボンボンが。
 おー、あいとるあいとる。じゃ、ボン、お頼みしまっせ。
 あー、まかしときなはれ、なーに、オヤジが、こりまくって作る何分の一かの予算で、ちゃちゃっと、いてこましたりますわ。
 あー、あんじょう、やってや、たのむで、ボン。
 まかしときいな、鈴木の叔父貴。
 ということで、カントク宮崎吾郎にとっては、何の思い入れもない、1960年代初期の映画が、作られるわけだ。
 そのいちいちが凡にして庸な描写。
 ゆいいつの美点?が、主演の長澤まさみ・岡田准一から、脇に至る声優陣が、元の顔を思い出せないほどの、そっけない声技。あー、ホントに地味。ホントに、オーラなし。
 前作「ゲド戦記」を見ないままいうと、長澤まさみからすら、オーラを消しまくる、監督の特性か。
 
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 蒼井優主演「洋菓子店コアンドル」も快調だった、深川栄洋の宮崎あおい助演作。
 本作も、なかなか快である。
 ほんのワンショットのみ出演のチョイ役に至るまで、快演。この監督の、役者の演技を引き出す演出力の確かさ。「ほんとに断酒できる人は、そのタイミングで、宣言しないから」の患者氏には、酒飲みとしては、ついつい爆笑。
 ただし、例外がある。主演の桜井翔が、微妙。というか、ひとり演技陣の足を引っ張っている。これは、最終的に監督の責任といっていい。
 宮崎あおい、絶品。桜井と夫婦役だが、こんなに夫婦で<演技格差>があっていいのか(笑)、というくらい。いちいちの、<顔のたたずまい>こそが絶品という、あおい=蒼井の、快。
 友人役・原田泰造、もっと映画に出て欲しいぞ。その顔、声、演技、全てが快。
 要潤おおこんなにいいヤツだったか、柄本明最近の数ある出演作でもベスト、池脇千鶴相変わらずいい地味だけど(笑)、吉瀬美智子快調、新人らしい浅倉あきも快、ンな中にあって、主演だけがダメ。
 基本的にヘタ、という、素人演技なのに、<非常に難度の高い、演技力を要する、微妙な演技に挑戦>というチャレンジャー、もちろん、失敗している。
 なんだろう、感情が豊かな、よく泣きじゃくるキャラが、仕事に目覚めて、自らの感情の吐露を封印、いっけん無感情なままプロフェッショナルにこなしていく、という役柄。
 それを桜井は、ゆっくり、ボーっと演じているのだが、ただの、ゆっくり、ボーっ、にしか、見えない。プロフェッショナルにも、センシティヴにも、見えない。
 主演が、演技力あったら、この作品は、とても、素晴らしかったに違いない。
 かつて鈴木清順が、「あなたの映画はつじつまが合わないことが多いようだが」と言われて、「つじつまを合わせるのは役者の仕事だ」と応えた。
 どんなに<ご無理ご無体>な清順映画であっても、主演スタアが圧倒的な存在感があれば、<つじつまは合う>というのだ。まあ、清順も無茶だが、ある意味真実。この映画も、桜井が<演技力>か<存在感>があれば、それなりに感動できたのだ。
 ジャニーズでなくても、もっと存在感のある役者がやれば、というところか。
 
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 飯田橋ギンレイホールにて。大森立嗣「まほろ駅前多田便利軒」との2本立て。 
 同時上映「まほろ駅前多田便利軒」には、大森監督の兄弟・大森南朋、父・麿赤兒も出演。
 本作は、青森で100年続く大森食堂の、大森家4代の歴史を描くもの。大森が、大盛な二本立てであった。大森家の話だから、監督に大森が選ばれたのか? 何か、安易に選ばれたようにしか思えないのも、本作の不徳のいたすところか。
 安易な、安いヴィデオ撮りの、見るに耐えない映像は、さておき? かつての<青春映画の旗手>も、薄いドラマ作るようになっちゃったナーと。
 オリエンタル・ラジオの<アゴヒゲのほうのちゃらいヤツ>が、明治時代の、屋台から始めて、店を構える大盛食堂一代目。オリエンタル・ラジオの<メガネのほうのちゃらいヤツ>が、現代の四代目を継ぐかどうか悩む青年。
 ちゃらいアゴヒゲのほうは、明治の青年というのは、やや難役だったようで、というか、もともと演技力がないのか、顔つきや台詞が、間がもたない感じ。たびたび、間があく演技。
 ちゃらいメガネのほうは、現代のちゃらい青年をそれなりに好演。これから、脇役で演技もありの可能性。カンニング竹山、宮迫、ほか多数の、本業お笑い、副業シリアスものの演技、で、いけるんとちゃう。

 ちょっとした、ギミック。
 以下、ネタバレ
 
 
 一代目の、ヒゲ面の親友は、何かと一代目の面倒を見る、馬買い。
 四代目の、これまたヒゲ面の親友は、稼業の馬を、オートバイ・サーカスに、乗り換えた男。これも、四代目を好アシスト。
 さらに。
 一代目の連れ子が、四代目の祖母。
 これが、まったくおざなりな演出で、うまく、活かされない。さりげない演出とも、違うのだ。
 大盛一樹、やっつけ仕事だなー。
 この一代目連れ子の養女はじめ、青森弁ネィティブの出演者は、好演。
 
 なお、本作のラスト・クレジットには、めったに見られない光景が(笑)。ふつう、このての地方発・地方密着映画には、ありがちなことだが、地元の撮影協力の会社・個人・団体の名前が列挙される。本作では、さらに何人も何人もの前・元を含めた政治家の名前(全部、肩書きつき)も列挙。それもすごいが、<安倍洋子(安倍晋太郎令夫人)>の、肩書きにも、びっくり。
 いや、別に政治家が協力するのは、いいけどさ、何で肩書きをつけるかという。なお、聞いたことがない有象無象の政治家の名前は覚えていないのだが、令夫人の肩書きがあまりに衝撃的だったので、安倍洋子さんのみ目に焼きついてしまいました(笑)。
 映画の中身より、衝撃的なクレジット。そこがこの映画のキモか。
 
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 飯田橋ギンレイホールにて。大森一樹「津軽百年食堂」との2本立て。
 「まほろ駅前多田便利軒」には、大森監督の兄弟・大森南朋、父・麿赤兒も出演。
 同時上映の大森一樹「津軽百年食堂」は、青森で100年続く大森食堂の、大森家4代の歴史を描くもの。大森が、大盛な二本立てであった。
 最初に見た「津軽百年食堂」が、安いヴィデオ撮りで、あまりに雑な色合いの映像に、やや、がっくしきて、本作もそうかと危惧したら、本作は心休まる(笑)風合いのフィルム撮り。それだけで、最近は、高評価にならざるを得ない(笑)。
 大森立嗣のデヴュー作「ゲルマニウムの夜」は、よく言えば真摯な問題作、本音で言えば、独りよがりなオナニー実験作。その年の個人的ワースト1であった。
 そこから見れば、本作の娯楽映画ぶりは、えらい進歩だ。安心して、見られる。
 ただ、瑛太がある方向を凝視するショットの長回しなど、まだ、オナニーの残滓が残っている。瑛太の演技力では、まだまだ、長回しに耐えられる<密度>がない。同時に監督の演出も、ペラ過ぎて、長回しに耐ええるものではない。この監督は長回しがお好きなようだが、何の工夫もない長回しは、観客を素に帰らせるだけである。
 松田龍平には、弟・松田翔太にはあまり感じられない、父・松田優作譲りの気色悪さ、ぬめぬめ感ねちょねちょ感とでもいうものがあり、面白くなりそうだ。清潔感の瑛太との、コンビも、ナイス。
 短編連作らしい原作ゆえか、エピソードの串刺しで、やや弱い話だが、まあ、こういうまったり物も、たまにはよい。
 チンピラヤク売人・松尾スズキ、地元のクールな顔・高良健吾は、グッド。ハードボイルド感を出そうと、主人公たちにまとわりつく刑事・岸部一徳は、出てくる意味が弱い。
 面白い小品。
 
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 阪本順治「大鹿村騒動記」(脚本・荒井晴彦、<今、そこにある映画>に感想駄文あり)を見たら、この面子で「寅さん」行けるんではないか、と。オドロキの発見。そもそも、根暗な映画ばかりの、監督・脚本コンビなのに、ずぶずぶのプログラム・ピクチャア・コメディがイケルなんて、新発見(笑)。
 というわけで、「大鹿村騒動記」つながりの「寅さん」ヴァージョン。
 
モダン寅さん 原田芳雄
さくら        梶芽衣子
おいちゃん  岸部一徳(むっつり路線の岸部ではなく、当然コメディ路線の岸部で)
おばちゃん  大楠道代(元祖・純情愛情異常に過剰) 
博         沢田研二
満男       瑛太
御前様    三国連太郎(笠智衆亡き後は、この人しか考えられない)
源公       佐藤蛾次郎(「反逆のメロディー」以来40年ぶりの原田との共演か)
マドンナ     松たか子
マドンナ恋人 佐藤浩市
タコ社長    でんでん
ぽんしゅう   石橋蓮司
 
 うわ、これ何十年前かの、若き日の彼ら版「寅さん」見てみたいぞ。
 「大鹿村騒動記」と「寅さん」の親近性が、これでも、証明されますな。
 ついでに、民主党版「寅さん」(笑)。
 
寅さん     菅直人(共通点は顔のほくろ>笑)
さくら       辻元清美
おいちゃん  小沢一郎
おばちゃん  田中真紀子 
博        岡田克也
満男      原口一博
御前様    渡部恒三   
源公      鳩山由紀夫
マドンナ    レンホウ
マドンナ恋人 細野豪志
タコ社長   河村たかし(元だけど)
ぽんしゅう  孫正義
 
 うッわ、見たくねー(笑)
 
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