日本の感性をよみがえらせよう

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井上雅夫同志社大学准教授の論文(平成19年)のつづきを転載します。


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京都御所


天皇様の祈り――国安かれ民安かれ

幕末の維新の時、尊皇倒幕運動が起こりました。そして日本は開国していく。その時孝明天皇様は日本の行く末を大変憂慮されました。その孝明天皇様はこんな歌を歌っておられます。

 此の春は花うぐひすも捨てにけり我がなす業(わざ)ぞ国民(くにたみ)のこと (文久三年)

とお詠みになっておられます。更に少し前に、

 国民(くにたみ)のやすけきことをけふここにむかひて祈る神の御前(みまえ)に (嘉永七年、安政元年)

 日々日々の書につけても国民(くにたみ)のやすき文字こそ見まくほしけれ (文久三年)

国民が安らかであることを一番願っている、とおっしゃっているのです。この孝明天皇様の御気持を、当時の徳川将軍は持っていたでしょうか。維新の運動というものは、孝明天皇様の御心を皆が受け取って動いたと言われています。維新が大きな運動になり得たのも、こういう陛下のお気持ちのおかげだったのです。

当時日本が国難の時、一歩間違えば西洋の餌食になる可能性が大いにありました。それを免れたのはこの陛下のお祈りであり、維新の運動であるのです。更に、幕府は進んで大政を奉還しました。これも素晴らしいことです。大政というものは本来常に天皇様が持っておられるのですが、ここでは現実の政治をももう一度返し奉るといっているのです。しかも整然と行われた。外国ではありえないことです。やはり江戸時代でも皇室の権威がいかに高かったかを示しています。

終戦の時もそうでした。日本という国は皇室によって守られているのです。陛下が祈っておられるのはいつも「国安かれ民安かれ」なのです。
  
 
天皇様の御仁慈
 
ドナルド・キーンさんが「明治天皇を語る」という本を書いておられます。この本の中で言っておられるのですが、日清戦争が日本の勝利で終わった時、明治天皇は、「勝利できたのは国民すべてのお陰である。・・・日本が勝利に驕慢(きょうまん)となり理由なく相手国を侮辱するなど友好国の信頼を失うようなことがあってはならない」とおっしゃった。

これに対してキーンさんは、「これは意外な発言です。大体において、当時の王や大統領は、戦争が終わってすぐに言うのは、憎むべき敵に勝ってよかったというようなことでしょう。」と述べています。ところが明治天皇はそんなことを一言もおっしゃっていないのです。「清国とまた伝統的ないい関係を早く結べること」を望まれたのです。昨日の敵は今日の友なのです。明治天皇様の御歌の中にも、

 国のためあだなす仇は砕くとも 慈しむべき事な忘れそ (明治三十七年)

敵に対しても慈愛を持て、とおっしゃっていたのです。そういうことを言う君主は他国にはいないのです。キーンさんも言っておられるように、普通なら、憎むべき敵に勝ったから良かった、と誇るのが普通です。しかもさらに明治天皇様は、日露戦争においても旅順が陥落した時、最初に言われたことは、相手の将軍である「ステッセルの武人としての名誉を大切にせよというものでした。よかったとか、素晴らしい勝利だということではなかった。敵の将軍のことを心配して」おられたのです。

さらに日露戦争後に、次のような歌を歌っておられます。

 神がきに涙たむけてをがむらし かへるをまちし親も妻子も (明治三十九年)

陛下は戦いが終わったあとも、兵士を、そしてその家族のことを思っておられたのです。ある意味では勝敗のことなど思っておられないのです。そういうお気持ちを常に持っておられました。そして、こんな御製も詠んでおられます。

 国のためたふれし人を惜しむにも思ふはおやのこころなりけり (明治三十七年)

戦死した人を考えると、その親がどんなに悲しんでいるかを常に考えておられるのです。決して戦争を賛美しようとか、煽ろうなどと、そんなことは微塵も考えておられないのです。それが日本の天皇様なのです。昭和天皇様も、昭和三十七年にこんな歌を歌っておられます。

 忘れめや 戦の庭にたふれしは 暮らしささへし をのこなりしを

もう昭和三十七年ですから、戦争から十七年経っています。そのときでも陛下は悲しんでおられるのです。ですから日本という国は、他の国とまったく違うのです。そういう国柄なのです。

フランス人のポール・ボネさんという人が、三十年ほど前初めて日本にきた時、新年の皇居参賀を見てびっくりしていました。この国では、皆が新年を天皇陛下と共に祝っている、こんなことはヨーロッパではまずない。ヨーロッパ人が、慶びを元首と分かち合うのは、せいぜい戦争に勝ったときぐらいのものである。ところが、日本では天皇陛下と喜びを分かち合っていると。こういうことも、天皇陛下と国民の深いつながりがあるからこそなのです。

この度の悠仁親王様のご誕生でもそうでした。みんなが心から喜びました。そして親王殿下が産院からお帰りになる時も多くの人が沿道に並んでいました。ここにも皇室への自然な敬愛が表れています。グローバル化だとか日本は欧米化したらいいと思っている人もいますが、世界にない誇るべき国柄をもつ”日本”というものをしっかりと守っていくべきです。



日本ほど平和な国はない

日本という国は皇室と国民が非常に素晴らしい関係であったのみならず、古来「日本(やまと)は浦安の国」と言われたように日本ほど昔から平和な国はないのです。日本は決して好戦的ではない。日清戦争、日露戦争など、全部日本はやむを得ず戦った戦争ばかりです。

「よもの海みなはらからと思ふ世になど波風のたちさわぐらむ」という明治天皇様の御歌でも、やむを得ず戦ったことを歌っておられます。西欧では君主というものは戦いの先頭に立つ戦士王という性格が強く、そうでなければ駄目なのです。日本はそうではありません。国旗にしても国歌にしても静かで穏やかです。ヨーロッパの国旗国歌の多くは軍歌であり軍旗に由来しています。

先ほどのポール・ボネさんも、「多くの国の国家はきわめて戦闘的である・・・日本の国歌には、敵もなければ剣もない」、「君が代」が「軍国主義につながる」というのなら、フランス国歌は「どうなるのだろうと反問したい気持ちにさせられる」と言っておられます。君が代を歌っていたら戦争する気もなくなるでしょう。こんな平和な感じの国歌は世界に稀なものです。


京都御所の美しさの根源


保田與重郎先生が「京あない」という作品の中で「京都の様々な名所旧跡、人文芸術の遺品と現物を数へあげて、最後の最後に於て、何が最も京都であらうか。ためらひもなく私にいへるのは、それは御所であるといふ一言である。その美しさ、気分と雰囲気、それは京都の最高のものであるのみならず、日本の最高の美であらう。旧江戸城のの皇居と異なり、わが京の都の御所には、一重の普通の塀の他に、なんの防壁も関所もない。この無防備の王城は、世界に比類ないものともいはれた。この無防備の王城は、国初めよりつねに国民結合の精神の中心として尊崇されてきたのである。この尊崇のこころが、無防備といふ事実の原因である。そしてその無防備はわが国がらを端的にあらわしてゐる。そしてそれが御所の美しさの原因である」と書いておられます。

つまり御所の美しさは国民の皇室に対する敬愛から来るのであり、それがそこに表れているのです。このような御所とともに、平安時代の京都には里御所、里内裏というものがありました。いわば仮の御所で庶民の住む町中にあり、これを里御所といいます。そういう所だと、ますます国民と非常に近い関係にあられました。堅固で豪壮な宮殿にいて国民から本質においてかけ離れている西洋の君主とはおよそ違うのです。我々は「開かれた皇室」などという浅薄な議論に惑わされず、外国には見られない神代よりの皇室と国民の深い絆を大切にしていきたいものです。




日本において、天皇と国民が対立したという事例は、一例もありません。常に皇室は尊崇の対象であり、また天皇も、国民をわが子のように慈しまれました。天皇は一年を通じて、祭祀をとり行われ、神々に祈られます。そこには敬虔なお気持ちと、天照大御神の御神勅の精神を自らの心とするという強い信仰がおありになるのだと拝察されます。

常に「国安かれ民安かれ」と祈られる無私の御心は、御所の無防備を疑う必要もないほどに、徹底していたということだと思います。その無私の精神は、終戦後の昭和天皇のマッカーサーとの会見、及び全国ご巡幸が、なんの警備もなく無防備の中で行われたことにもよく表れています。

これほど徹底した無私の心というものが、世界の歴史上の他国の君主にあったでしょうか、日本の天皇という存在の不思議さは、日本の神秘の中の一番の神秘といえるのではないかと思います。



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