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荒川仁人のモデルチェンジは成しえなかった。
テキサスのサン・アントニオで行われたWBCライト級暫定王座決定戦に臨んだ
同級1位 荒川仁人は2Rと6Rにダウンを奪われ、判定で敗れた。
「ここまで応援してくれた人たちがいるので、
あきらめるわけにはいかなかった」
この試合後の言に、
モデルチェンジを成しえなかった仁人の特徴がよく、表れている。
彼は相変わらず、心やさしきボクサーであった。
天から授かったパンチ力。
その長所を特化すれば、
全戦全KOのキャリアを積み重さねることも不可能ではなかった。
そんな傑出したタレントはしかし、
自分の為よりも人のためを優先し考えるような、
やさしい心に宿ってしまった。
そしてその、やさしき心は、
彼のウォーリアーとしての適性を疎外し、
その成長する幅を鈍化させることになった。
世界戦線の最前線に立つには、
強烈な闘争における勝利者欲求と、
自分の強さを世に知らしめたいという、
あくなき顕示欲が不可欠だ。
「俺が世界で一番強い!」
そう言行で主張して止まないウォーリーヤーであって始めて、
重い扉は開かれる。
こればかりは生まれ変わらなければ、
成しえないであろう。
だが、それ故に荒川仁人の姿勢は、同じく心やさしきフアン達に大いなる魅力を植え付け、
そのファイトスタイルは感動を呼び起こし、
応援したくなる気持ちを奮い立たせた。
ウォーリアーとしての適性を度外視して。
効かされた時を想定した練習という、
短所是正の是非は、敗戦という結果が全てだ。
驚異的な粘りを見せた仁人が、及ばなかったベルト。
あと一歩で戴冠を成すか成さぬかは、
フィジカルよりもむしろ、
メンタルの在り方に依るところが大きく、
時代はあくまで長所特化に走るであろう。
だが、君の真摯な自己研鑽。
実直な姿勢。
人を思いやる心音。
そんな稀有なボクサー荒川仁人をぼくは大好きだし、心から尊敬する。
願わくばこんなボクサーらしからぬボクサーが、
世界のベルトを腰に巻く姿を見たかった。
最後に、このブログの8年間の足跡は一重に、
荒川仁人のお陰にほか、ならなかった。
仁人が世界チャンピオンになるまでを記録しようと始めたブログだが、
改めて仁人に、この8年の歳月の芳醇な積み重ねに、
感謝したい。
世界初挑戦、お疲れ様でした。
しばし戦士の休息を。
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ボクシング
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