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よわい八十過ぎの徳積み。
彼は自身の辞書にない事柄を今になって、強烈に、求められている。苦手なそれらを。 しかも、悠々自適になってから、立て続けにふってくる、彼にとっての災難。 これも因果応報か。 思えばそれは、それぞれに異なるだろう。 ある人にとっては、我慢かもしれないし、忍耐かもしれない。 あるいは、開放であったり、奉仕かもしれない。 蹂躙であったり、凌辱であったり、無慈悲なんていう場合もあるから、人生は正に修行の連続だ。 意味化する性を宿命付けられたヒトには、だから、色即是空はある面、無情そのものに写る。 周りの者達にとって、彼の災難は、周りの者達の災難でもある。 その関わりの深さにもよるが。 では、如何に関わるか。 それが即ち、未来への道程造りそのものだろう。 だから、かつて、 “人の振り見て我が振り直せ” という警鐘が出来た。 今はすっかり、 “人の振り見て我が振り真似ろ” の風潮だが。 さて、 意味は、在って、無いものだとすれば、創ってみて感じるしかない。 だとすれば、 “今” の出来事から彼は、私は、何を感じ、そこから何を学ぶべきなのだろう。 まだ、判らない。 ただ一つ、その試練の、目的だけは、判る。 それは乗り越える関わりを通して、彼の、私の人生に奥行きを与える為であろう。 痛みを知り、悩み、愁い、眠れぬ夜を経る。 その果てに産まれ育まれる、赤子のような思いやり、慈しみ。 それらの積み重ねの結果、すべからく生を、命を、豊潤なものに足り得るか、実感として我が物と出来るか。 だからこそ、在りたい自分に向かって今日も、関わりたいと思う。 試練を糧とするために。 |
色即是空
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