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懐疑が夢を、現実へと誘った。
フェンスによじ登り、鉄条網越しに旋回し黒に乱反射するヘリを認めた時、
記憶が作動したらしい。
この電線には高圧電流が流れている。
その後どうやって、フェンスを乗り越えたかは、記憶がきれいさっぱり間引いた。
次の瞬間ぼくらは、壁際に身を伏せていた。
建物の陰に回り込む時間はなかった。
歩兵がサブマシンガンを抱え、辺りを警戒しながら近づいてきた。
彼らとぼくらを隔てるものは、尖った建物の、影の陰影のみ。
歩兵が何事か騒いでいる。
そしてとうとうぼくらは彼らに、発見された。
ここで目が覚めた。
或いは覚めたという記憶ごと、夢の一部なのかもしれない。
水を飲んだ気がする。
ただその時ぼくは、まるで今もターゲットにされたままのような、
砂を噛みしめ続けるような、
イヤな感覚に捕らわれられたままだった。
だから寝床に潜り込むとすぐに、無意識はぼくに夢の続きを見せた。
そんなにすぐに、ぼくがレム睡眠に到達しえたのか、
わからない。
ぼくの無意識は、夢の結末をぼくに、どうチョイスし見せたか。
サブマシンガンで一斉掃射される直前、相手は横からこめかみをヒットされ、人形のように横に転がった。
歓声が上がる。
次は後ろの奴。
次は先に、ヘリの操縦士をいってみよう。
実態のないスナイパーが、的確にピンポイントをヒットする。
宿り主に不快を与えたと自覚した無意識は、落としどころを探し、斯様に意識に披瀝した。
現実にかえって、
消えかかっていた夢を、もう一度この様にコトバで手繰り寄せてみると、ズルズルと鮮やかな光景の記憶が、次々と鮮明に蘇る。
あれっ、コレじゃ、現実の記憶と、何一つ変わらないじゃないか。
そう、
もしかしたら蓄積された記憶すら元々、このようにセルフィッシュなものかもしれない。
さすれば、
現実とは?
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