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WBC世界ライト級1位 荒川 仁人選手が調整地ラスベガスを発ちサン・アントニオ入り、 いよいよ同級3位 オマール・フィゲロア選手(メキシコ)との王座決定戦が秒読み段階を迎えた。 オマール・フィゲロア選手といえば、21勝中未だ無敗で、かつ1ラウンドKO8度、3ラウンド以内のKOが16度と、正に超短期速攻型パンチャーの極みの様なレコードを誇る。 それも、 “プエルトリカン・バズーカ”ウィルフレッド・ゴメスや“ロシアン・ロケット”コンスタンティン・チューのようなタイプというよりは、 ジェラルド“GーMAN”マクラーレンに似て、プレスから左右の鋭いロングレンジの打ち下ろしやフックで切って落とすタイプだ。 そこにスィッチという要素が加わるから実にいやらしい。 だがこれまでのデータを集約すると、超短期速攻型パンチャーは決して、難攻不落ではない。 むしろ彼等のパーフェクトレコードは、ある時、実にあっけなく幕は降りていて、そのパターンにはまた、実に共通項が多い。 まずは真っ直ぐ下がらず、プレスにリードを合わせサークリングし、じらす。 じれて強引に打ちにきたところに、カウンターを強く合わせ、またサイドへ。 それらを基本に3ラウンドをしのぐ。 後の組み立ては出入りを中心に、インでボディ、外でカウンターを、コンビで合わせる。 そして、効いて動きが止まる瞬間を待つ。 止まった時にまとめる。 これが定石だ。 だが、超短期速攻型パンチャーのプレスは想像以上に凄まじい。 つい後ろに下がれば、戦略は決壊し倒される時を待つのみとなる。 果たして荒川仁人がその “ある時” を演出し幕を下ろせるか。 運命のゴングの秒読みはもう、始まっている。 |
ボクシング
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オリンピックチャンピオン&ゴールドメダリスト
村田諒太選手のプロ・デビュー戦が発表された。 対戦相手は東洋・太平洋チャンプの柴田選手(ワタナベ)。 八王子中屋ボクシングジムの戦士達とは二勝一敗と、中屋戦士が勝ち越してはいるが、距離感とフットワーク、スピードに秀でた好敵手だ。 村田選手の苦戦を占うメディアもあるが、それは村田選手の過小評価がすぎると、言わざるを得ない。 現プロで村田選手と比肩するキャリアを持つ選手を捜すと、真っ先に挙げられる選手が、 “ゴッド・オブ・ウォー” 現WBA世界ミドルウェイトの覇者にしてカザフの英雄、ゲンナジー・ゴロフキンだ。 ゴロフキンは世界選手権金、アテネ五輪銀。 ちょうど世界選手権銀、五輪金の村田選手とは逆の戴冠劇だが、アマでは300戦以上闘って僅かに5敗と、その勝率は突出している。 身長は低いが、長いリーチと広い肩が幻惑の要で、長距離砲の射程の長さはミドルウェイトの上位ランカーと比較しても、一二を誇る。 下からの軌道の、長く強く速く多種のパンチは対応困難な必殺無二の武器だ。 そのファイトスタイルも、万能型の攻撃的ストライカーで、プレスで手を出させスピードの緩急を自在に駆使しながらの効かせて連打し早々にフィニッシュするスタイルは、村田選手に非常に近い。 ゴロフキン選手は1ラウンド、プレスをかけずにベストショットをほおって相手の反応を確かめるのが通過儀礼だが、村田選手がデビュー戦の立ち上がり、どの位時間をかけるかで、決着のラウンドは異なってくるだろう。 ボクシングは何が起こるかわからないが、 余程コンディショニングに失敗しなければ、村田選手の勝利は不動だと感じている。 自分として見てみたい要素が2つある。 1つは、村田選手の肩の入れ具合と回転の速さ。 次に出入りの速さだ。 ロンドン五輪時は、ガードで適正距離をつくり、強打でねじ伏せる結果、打点の距離をコントロールする必要が、さほどなかった。 だが、プロの舞台で世界の強豪と伍してゴロフキンをねじ伏せるには、 肩を入れ射程を伸ばす必要性と肩を入れる分落ちる回転の速度を補うトレーニングと、リーチの長い選手と打点でイーブンにもっていく為に出入りの速さを磨く必要が生じる。 そのモデルチェンジさえ成せば、 傑出した対応力と類い希なパンチ力は世界広しといえど、村田選手に比肩する選手は見当たらない。 対ゴロフキン選手に限れば、下からくるあらゆる長いパンチの軌道を、マス・スパーで身体に刻み、見なくとも反応できるトレーニングと、対動時のパンチ精度を上げる取り組みが不可欠だ。 さて、8月25日の日曜日、有明コロシアムでのデビュー戦。 もちろん録画をセットしつつ、五輪ではそのポテンシャルの半分で金メダルを獲得した村田選手の初陣は、間近でライブで、楽みたい。 |
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スーパーライト級12回戦
極めて興味深い対戦が実現した。
IBFスーパーライト級のチャンピオン、
アミールカーンを下し、
パンチの速さとレンジの長さ、
ディフェンス能力と脚の速さに定評がある、
レイモンドピーターソン(30勝16KO1敗1分)
と、WBC暫定チャンプ、
1RKO10度の超短期速攻型フィニッシャー
33勝31KO1敗のルーカス・マティセが激突した。
試合は169㎝の身長のマティセがリーチのビハインドをものともせず、
かすったパンチを全部効かせ、
3ラウンドに豪快に倒してフィニッシュ。
ノンタイトル戦ながら技巧派を倒した。
ダニーガルシアがアミールカーンとの闘いで見せた、
スピードに勝る選手に同時打ちで効かせた手法と異なり、
打ちにいってのノックアウトは圧巻。
次戦ガルシアの気性では真っ向勝負に向かうこと必至で、
パンチの精度によって、勝敗は決することとなる。
パーフェクトレコーダーのダニーガルシア(26勝16KO)が
相打ちに出れば、ワンパンチの威力の差に沈む公算が強い。
クレバーに闘えるか、
否が応でも盛り上がる対戦となろう。
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現世界タイトルホルダーの中でも、
パーフェクトレコーダーは少ない。 真っ先に挙がる現役組の双璧は、といえば、アトランタ五輪の銅メダリスト、 フロイド“マネー”メイウェザー と、 サウル“カネロ”アルバレス であろう。 して、この2人の対戦が決まった。 文字の通り、ファン垂涎のビッグマッチだ。 彼らを含め、これまで名だたるパーフェクトレコーダーの変遷を見てみると、タイプが2つに別れる。 1つはディフェンシブな迎撃型のオールラウンダー。 そしてもう1つは、超短期速攻型のパンチャーだ。 では、どちらのタイプがレコードを継続せしめるか、といえば、圧倒的に前者だ。 故にこの両者の対戦結果を占ってみると、 よりオフェンシブなカネロの分が悪い。 ディフェンスの精度はハードな被弾の回数が増えるにしたがって、その切れ味が削がれるが、“マネー”は“カネロ”に比べ、圧倒的にハードパンチの被弾経験が少ない。 ただし“カネロ”もすくみが出るほど被弾の後遺症は見られず、防御感も健在につき、試合が歴史に昇華できるか否かは、ひとえに“カネロ”がどこまでクールに戦術を行使出来るか、に掛かる。 一方で後者である“超短期速攻型パンチャー”で、パーフェクトレコーダー同士の闘いは、確実に歴史に名が残る。 試合はエキサイティングにならざるを得ず、ボクシングファンによってその衝撃と魅力が、語り継がれるからだ。 打ち合って白黒をハッキリつけるKO決着は、ボクシングという競技が持つ魅力の、 大きなエレメントだ。 1977年4月、29戦29勝29KO、ミュンヘン五輪の銀メダリストにして稀代のフッカー、WBAバンタム級チャンピオンのアルフォンソ・サモラと、46戦46勝45KO、WBCバンタム級チャンピオン、ストレートパンチャーのカルロス・サラテが相見えた。 このメキシコ人同士のノンタイトル戦は、世界中の注目を集め、結果は4RTKOでディフェス力に長けたカルロス・サラテに凱歌が挙がった。 翌年、世界中が望んだマッチメイクが実現する。 激闘を征したカルロスサラテが今度は、一階級上のパーフェクトレコーダー、24勝24KO1分アマ世界選手権優勝の“プエルトリカンバズーカ”ウィルフレッドゴメスと対峙した。 ワンツーフックのオーソドックスなソリッドパンチャーであるサラテに対して、未だ破られていない17連続KO防御の世界記録を持つ生粋の倒し屋ゴメスの闘いは、パンチの精度勝負の様相を呈し、先に効かせたゴメスが強打の連打でフィニッシュ。 プエルトリコ対メキシコ戦争に終止符を打ったこの試合は、パーフェクトレコーダー同士の闘いとしては、マニー対カネロに比肩するビッグマッチの筆頭と言えよう。 他にビッグマッチ候補のパーフェクトレコーダーといえば、世界一位荒川仁人(八王子中屋)のターゲットであり、 WBAウェルターの覇者、ポール・マリナッジとのビッグマッチに臨む、26勝22KO無敗、WBCライトチャンプのエイドリアン・ブロナーやアテネ五輪の金メダリスト、“エルサイクロン”ユリオルキスガンボア23勝16KOと内山高志(わたなべ)20勝17KOがおり、特にこの2人の対戦が実現すれば、パーフェクトレコーダー同士のビッグマッチに日本が誇るパンチャーがその名を刻すこととなるだろう。 ところで、ウィルフレッド・ゴメスだが、奇しくも彼のパーフェクトレコードは、フェザー級のメキシコ人チャンプ、サルバドール・サンチェスによって終止符を打たれた。 打ち急いだゴメスをカウンターで迎撃しフィニッシュ。
プエルトリコ対メキシコ戦争2に勝利を飾ったメキシコの雄サンチェスだが、ほどなく23才の若さで、自動車事故で夭折してしまった。 パーフェクトレコーダーの落日にはドラマが付きまとう。 が、現在のレコーダー達は若さと勢いを維持し、衰え知らずな印象が強い。 フロイド“マニー”メイウェザー、 サウル“カネロ”アルバレス、 “ザ・プロブレム”エイドリアン・ブロナー、“エルサイクロン”ユリオルキス・ガンボア そして、 ノックアウト・ダイナマイト、我らが内山高志 希少で、しかし滅法強い彼らの燦然と輝く、 “ビッグマッチ” という晴れ舞台に、期待したい。 WBC
バンタム級
山中慎介18勝13KO ライト級 エイドリアンブロナー25勝21KO ウェルター級 フロイドマネーメイウェザー44勝26KO スーパーウェルター級 サウルカネロアルバレス42勝30KO WBA ライトフライ
ローマンゴンザレス34勝28KO ライトフライ級 井岡一翔12勝8KO スーパーバンタム級 ギジェルモリゴンドー12勝8KO ミドル級 ジェナディゴロフキン25勝22KO スーパーミドル級 アンドレウォード26勝14KO |
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プロの選手は文字のとおり、
ボクシングという競技を行うことと引換に、
対価を得る選手のことを言う。
プロボクサーもしかり。
しかし、
プロボクシングの競技に殉じる選手たちの中で、
ボクシングだけで生活を成り立たせることの出来ている選手は、
一握りだ。
後は本当に、明日を夢み、壮絶なまでに己の肉体を酷使し、
そしてジリ貧な生活に耐えて耐えて、耐え続けている。
だからこそファンとして、彼らとの付き合い方が大切になる。
ボクシングという文化をさらに花開かせるためにも、
ファンの側にもモラルとルールが必要だ。
それが選手を守ることになる。
選手は言えないから、私が代弁したい。
自分自身、自分が関わっていないジムの選手の有望株にほれ込み、
一ファンとして4回戦の頃から激励賞を出し続け、
その選手が見事に華開けば、本当にファン冥利に尽きると思う。
自分のようなファンは実は大勢いる。そんなファンが大勢いてくれるお蔭で、
この余りにも、ハイリスクな競技が、なんとか成り立っていることを十二分に知っている。
正に、ファンさまさまだ。
だからあえて本日は苦言を。
キング・オブ・スポーツ
世界のボクシングの中心、アメリカでは、
プロ競技選手の年収のトップは必ずプロボクサーが占めているように、
今やタイトルホルダーよりも、人気と集客力が高い選手に富みが集中する。
一位のフロイド“マネー”メイウェザーの年収は92億弱、
二位がNBAのレブロン・ジェームスで、4割り減だ。
ちなみにタイガーウッズは5位。
したがって、ランキング上位の選手との対戦よりも、
タイトルがかからなくとも人気選手同士の対戦の方が、
圧倒的に興行として成功をおさめる。
だから、アメリカを中心に中南米のプロボクサーは、
弱肉強食で、仕事をしながら明日を夢見るプロボクサーが圧倒的に多い。
日本で、給料をもらいボクシングを専業に出来るのは、
プロではなく、アマチュアの自体校のみ、と言える。
旧共産圏のアマは自体校のように、国家がボクサーを丸抱えのケースが多い。
だが、彼らにしても、世界ボクシングの中心国がもたらす富の魅力は大きいようで、
オリンピアンにしてゴールドメダリストのキューバ選手は、おしなべて亡命という
リスクをあえてチョイスしてアメリカの日向で活躍している。
やはり一流の選手が稼ぐ収入は、給与の安定性をもって余りある額なのだ。
“たにまち”
というコトバがある。
これは治療代をとらなかった医師が住んでいた谷町が語源で、
相撲、芸能界が有名で、特に角界では古くからの後援者も、力士の出世に応じて、
代替わりするのが当たり前という、合理的なシステムを普及させている。
何故なら、格が上がるにしたがって、応分の負担が発生してしまうからだ。
さて、本題に入ろう。
プロ・ボクサーはボクシングによって収入を得ている。
だから、彼らと付き合う場合には、
必ず対価を払うのが礼儀だ。
私設ファンクラブや応援団であれば、上乗せ会費制にし、ボクサーに必ずキャッシュを還元する。
飲み会はジムの会長に確認した上で、飲み代+金一封+車代を必ず負担する。
勿論お金が払えないファンにも大切な役割がある。
対価は労力で貢献すれば良いのだ。
例えばファイトマネーはチケット販売代金である場合が大半だから、
必ず定額で購入する。
更にありがたいのは、
選手のチケットを預かり、購入者との窓口になる、
それだけでも選手は練習に集中でき大変に助かる。
または、サイトやブログの更新者を買って出る。
メールの連絡先となり、選手の指示で選り分ける。
最悪のパターンは、
ジムに知らせず、
選手を飲みに連れ歩いて、自分のいきつけの飲み屋に顔だし、挨拶をさせ、飲み代しか負担しない。
祝勝会と称して、選手にただ酒を飲ませるだけ。
選手に個人的な付き合いを求める、などだ。
選手はちゃんと必要な時は、個人的に息抜きをしている。
だが、座敷がかかれば、顔を出さざるをえない。
そこでただ単に、飲み食いさせられれば、
コンディション作りの弊害にしかならない。
そればかりを重ねれば、お座敷は選手に不健康と悪癖をもたらし
良い結果につながらない。
私は、選手に求められない限り、
自分からは誘わない。
せいぜい
“美味い寿司屋があるから、飲みたくなったら遠慮なく言って”
ぐらい。
選手が貴方と飲みたくなれば、ほおっておいても選手から、連絡はくる。
プロと飲むということは、相応の金銭が掛かる、負担する、ということだ。
それが出来なければプロと飲む資格はない。
例えば芸能人は、金にならない宴席など、出ない。
それと同じことだ。
始末に負えないのは、月額・年額会費制もひかず選手にも還元しないファン・クラブや私設応援団だ。
これは選手にプラスにならない。
繰り返すが、プロの選手と付き合う時には、
対価を必ず負担して当たり前だ。
家族や友だち以外には、特別な関係など存在しない。
対価を負担することが、プロに対する礼儀だ。
一番良い貢献は、ジムの理解の元、
選手をスポンサードすることだ。
それが最も選手が喜び、選手を強く育てる方法だ。
将来的にはボクシング界にも“たにまち”文化が育まれれば、
ボクサーも救われると感じている。
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